第四話
~意味腐(不)生徒会~ 第四話「会長、見失う…そして」
一通り、この空間の説明が終えて、私と美優の緊張が解けた。
緊張が解けた瞬間、豪上院先輩から何かを渡された。
「鈴木さんと鎌倉さんには、此れを渡しておきますね。」
《此れは?》
「携帯用通信機です。耳に付けておくと、第二生徒会との通信が出来る様に成ります。」
「お前等は、第一生徒会にも狙われているからな。」
「えっ!?」
「如何してっ!?」
「鈴木さんと鎌倉さんは、私達の会長様の声を聞いた人ですからね。」
声…?あ、あの幼い声をした女の子の………えっ…あの声の持ち主が、会長さんっ!?
美優も幼い声を聞いていたらしい。私と美優は、携帯用通信機を耳に付ける。
「第二生徒会しか、会長様の声を聞いた事が有りません。それに、会長様には特別な力が有ります。」
「此処では言えないが、近い内に会長様直々に、お前等に言うと思う。」
「会長様の声と力は、第一生徒会の会長様が欲しがっていますからね…。」
「会長様の声を聞いて、そして空間までも飛んだお前等は、完全に標的って訳だ。」
これは…此れは、大変に成りましたなぁ…。
熱くも無いのに、汗が止まらない。
【ピィー…ン】
耳に付けた通信機が、小さな音を出した。
≪味季、剛志君っ!≫
「はい、通信繋がってます。」
「カリナね。如何したの?」
≪如何したもこうしたも無いわよっ!会長様を見失ったわっ!≫
《えっっっ!?》
私と美優、豪上院先輩と桐橋君の4人は、大声を出した。
狙われている会長さんを見失うなんて、不幸なミスだ…。
≪声が多いけど、空間を飛んだ子達が、目覚めた感じ?≫
「そうよ。」
≪そっか!だったら、短いけど自己紹介しとくわね。私は、小森カリナ。宜しくね!≫
「よ、宜しくです!」
「よろしゅ~!」
「一応、お前等より小森先輩は年上だぞ。」
《え…!?す、すみませんっ!!》
年上って…そ、そうだよねっ…!!
だって、豪上院先輩の名前を呼び捨てした位だもんねっ…!!
≪いいわよ、そんなの!それよりも、君達2人に頼み事をして良いかしら?≫
せ、先輩から頼み事っ!!
来たっ!!何か、凄く嬉しいっ!!
《何ですか?》
≪君達に、会長様を探して、お守りして欲しいの。≫
………えっ!?
薄々、嬉しさの中に危険な感じもしてたけど…当たるなんて…。
「芙美、如何する?」
「………やる。会長さんを助けないと…あの声が導いたんだから…。」
「分かった。行こう、芙美!」
「うん!」
≪じゃ、お願いね。≫
【ツゥ…】
「通信終了しました。」
通信は途切れた事を桐橋君が言う。私と美優は出掛ける準備をする。
「ちょっと、待って下さい。」
豪上院先輩に声を掛けられ、私と美優の動きが止まった。
「何ですか?」
「…。」
(芙美…。目が変わった…。)
内気な私にも出来る事が…有るかもしれないって…ずっと前から考えてた…。
そして、その時が来たから…。
「会長様を頼みます。」
「お前等が会長様をお守りするんだ。」
私と美優は、まだ子供っぽい顔で笑顔をし…。
《はい!》
豪上院先輩と桐橋君は生徒会室で、会長さんに付けている発信機をパソコンで調べていく。
私と美優は、その間、学校近くを探索中。
「第一と第二生徒会って、会員全員に発信機が付いてるんだね。」
「そうみたいやな~。やけん、うち等も付けられてんねん。」
「身体には発信機が、耳には通信機。」
これ全部は、争いが起こった時から付けられたそうだ。
「争い…どんな事が有ったんやろ…。」
生徒会の会長さん2人しか知らない秘密の争い…。
其れが、何だろうと…今は、会長さんを探すしか無いんだ…。
「うん…。」
私は、空を見上げた。
朝と夜しか無い空間に、昼と言う…真の光なんて無いのだろうか…。
【ピィー…ン】
耳に付いていた通信機が反応した。
直ぐに返事をする。
「はい、鈴木です。」
「相棒の鎌倉です。」
≪桐橋だ。会長様を発見した。鈴木と鎌倉は、保元駅に向かえ。≫
≪保元駅の場所は、瞬間移動でしろ。≫
《了解!》
【ツゥ…】
「保元駅…。美優!」
「分かってるで!」
顔を見合わせ、深呼吸をする。
そして、手を繋ぎ、言葉を言う。
《保元駅に移動!!》
弱い風と共に、2人の影が消えた。