最終話 そして再び(社会人になってからのホワイトデー)
イラストは社会人になった田中さんです。
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今お勤めしているサロンの“代表”をなさっている詩音さんとは元は“レイヤー”繋がりで……私がア◇スタでコスデビューした時に知り合った。
こちらのサロン、お仕事の大半はブライダル関係なのだが、時折メディアメイクのお仕事もある。
“メディアのお仕事”は専ら詩音さんへご指名が掛かるのだが、元々、4人きりのこじんまりしたサロンなので、詩音さんは私達3人をスキルアップさせようと、交代で現場に連れて行ってくれている。
斯様に、お人柄も一流の詩音さんを私達3人は姉の様に慕っており、とても雰囲気の良い職場だ。
その日常は和気あいあいが嵩じて姦しくなりがちだが……こちらにお勤めして、私自身は随分と“女子力”を引き上げてもらったのだと思う。
そんな中で迎えた3月14日!!
私には思い出の多い日だ!!
で、本日の話題はホワイトデーの“捕らぬ狸の皮算用”へと流れている。
明奈さん、陽菜ちゃんの皮算用の話題の後、私にお鉢が回って来た詩音姉様は……今年のバレンタインは“義理”と“友”のみだったので……専ら聞き役だった)。
私のお相手の芳政は何回かサロンや現場にも顔を出しており、例によってみんなの好感を得ているので……私は興味津々にイジられた。
「芳政くんの方は千景ちゃん一筋なんでしょ! 」と詩音さん。
「えっ?! それって私の方はそうじゃないみたいじゃないですか?! 」と私。
「だって!! 熱烈な初恋の相手はリヴァイ様だったんでしょ?! 」と明奈さん。
「それは私の“精神世界”のお話です! 生身は芳政だけです! 」と私。
その挙句の
「うふふふ!! “生身”ですかぁ?? やっぱり違います? ナ・マ・ミは? 」との陽菜ちゃん発言に「陽菜ちゃん!! 」と私はつい声が大きくなるが……詩音さん、明奈さん、陽菜ちゃんは生温かい目を私に向けている。
まあ無理は無いよね!! ついこの間の打ち上げで……ご機嫌に酔っぱらった私は“一世一代”のバレンタインコスの話を披露しちゃったから……
先月のバレンタインデー、私はブティックホテルをリザーブし、カラーチョコペンでエチなメイクを施したこの身を、リボンを模したお手製のランジェリーに包んで芳政の前で“披露”したのだ!!
だもんで、明奈さんの「そのお返しなんだから左手の薬指を飾る物である事は間違いない! 」とか、陽菜ちゃんの「センパイのブライダルメイク! 私にもやらせて下さいね」との気の早いコメントに私は照れ照れなのだが、詩音さんから
「じゃあ今まで一番印象に残ったホワイトデーは? 」と聞かれ、私は高二の時のホワイトデーを思い出した。
「高二のホワイトデーに芳政から貰った99本のひまわりの花束かな……あの時の私は芳政から愛想尽かされたと思って、学校の屋上で、もう泣けて来ちゃって……ふと、下を見たら花屋のクルマが見えて……そのクルマが乗せて来たのは芳政が私の為に用意してくれた花束のプレゼントだったんです! 」
「それって! ちょうどあんな風に? 」
詩音さんが指差した窓の外には、あの時と同じ光景が!!
花屋のワンボックスカーが!!
こっちへやって来る??!!
えっ??!!
まさか??!!
だって!!!
芳政とは今、400キロも離れた“遠距離”なんだし!!
でも、明奈さんと陽菜ちゃんがパタパタと行ってドアを開けると
ちょうどエレベーターがチーン! と開いて
花屋はサロンにやって来た。
大きなひまわりの花束を台車に乗せて……
あーっ!!!!
みんなニコニコしてる!!!
知ってたなあ!!!
これは私へのサプライズだったんだ!!!
「凄いね!!! ひまわりの花束!! 」
「この時期のひまわりって!! 尊い!! 」
「サロンに太陽がやって来たみたい!! 」
と口々に感想を述べられて……
もう!!!!
私の胸の中は色んな感動が渦巻いて……
震える手でメッセージカードを広げた。
『この花束は108本あります! “108本のひまわり”の花言葉に対し、どうかイエスの返事を下さい! 待ってます』
ええええええ!!!!
花言葉の意味って??!!
やっぱり!!!
プロポーズ???……
私の頭の中はグルグルとぱっつんぱっつんだ!!
そんな私の肩に手を置いた詩音さんはニコニコと申し伝えた。
「たった今から! 千景ちゃんはお休みです! 次の出社日は来週の月曜!! 」
こう言われて……
「えっ?! えっ?! 」
と尚もパニクってる私に詩音さんは訊ねる。
「来月はまたコスイベだけど!幸せ太りとかしてないよね!? 」
「えっ?! も、もちろん!! 」
「じゃあ! 私の餞別は無駄にならないわね! 」と綺麗な包装がされたふんわり軽い箱を渡された。
「あと、この新幹線のチケットは芳政くんから頼まれていた物」と封筒?まで渡され、私はアセアセだ!
「あの! この餞別って?! 」
「あなたに“ピッタリフィット”のオーダーメードランジェリー! あなたのサイズを熟知している私からのエールよ! 間違いなく指輪をゲットしてね! 」とウィンクする詩音さんに……
私は真っ赤になりながらも抱き付いた。
さて、このお話の続きは……
もちろん芳政とのムニャムニャなのですが……
恥ずかしいから!!
今はナイショで~す!!
『和田くんと田中さん♡♡』 おしまい




