第9話 腐女子の悩み
えっと!……和田くんから告られてパニくってしまった。
『告られる』なんて、私には“初体験”の事で……私の人生においてまさしく“想定外”の出来事だった。
そのせいでパニくって、『お付き合いする』みたいな感じの流れになってしまったのだけど……
果たしてこれで良いのだろうか??
クラスの皆は和田くんに頼ってたりするけど私はとてもそういう気持ちにはなれない。
けど、美珠帆姉様は頼りになるからなあ~
あながち悪い話でもないか……
それに私の“腐女子っぷり”はお母さんの悩みの種なんだろうから……「クラス委員の和田くんとお付き合いする事になった」って言えばお母さんの口撃も少しは減るのかもしれない。
こう考えれば悪い事ばかりでは無さそうだ。
リア充かあ~
なんか、やっぱ面倒くさい!
初っ端から他人の想いをぶつけられてさぁ~
よりによって、その想いの相手が私自身なんだから……
めげるぜ!
「やっぱお断りしようかな……」
って言葉を口に上らせたら和田くんのしょんぼり顔が目に浮かんだ。
それも今更、かわいそうかあ……
でも!
そう言えば……
揣摩さんとか……和田くんの事を好きな人は居るじゃん!
だったら彼女たちにもっとアプローチしてもらった方が良くない??
人ってぇのは『好きな人より好かれる人と付き合った方が上手くいく』らしいじゃん!知らんけど!
あ、それからしたら私は和田くんと付き合った方がいいのか……
理屈?としてはそうなるよね!
でも恋敵がいる人と付き合うなんて
この私の……か弱い神経が耐え切れるかしら……
なんだかすっごいイバラの道に思えて来た!
やっぱ止めようかな……デメリットの方が多そうだし……
う~ん!!
なんだが和田くんの情けな~い顔がさっきからチラチラとして消えやしない!
アイツは生霊かぁ!!
仕方ない!
付き合ってやるか!
この私の発言に
『何を偉そうに!!』って言われるかもしれないけどさ!
私の方が声を大にして言いたい!!
「そもそも腐女子はリアルな男に興味は無いの!!」
唯一あるとしたら……これは前に漫研でも話題になった事なんだけど……
『オトコの子の胸ボッチ問題』くらい!
私、“やおい”を描く時には、節度あるリアリティを追求するタチだから……“胸ボッチ”をチラ見せするくらいで留めたいのよね!
この描写をリアルに責めたい!!
もちろんお父さんの中年胸ポッチは見た事はあるわよ!
目の穢れだけど!
そうじゃなくて!
私の求めるのは若さピチピチの男の子のモノ!
ゲッ!!!
発言がエロオヤジ化してる!!
いかんいかん!!
とにかくだ!
色々トラブルを避ける為には
私が大人になって我慢するしかないね!
さしあたって!
和田くんには……
公的な立場では今まで通り「田中さん」と呼ばせよう!
で、二人っきり(もちろん打ち合わせとかの“健全な”場面でだよ)の時には「千景」と呼ばせよう!
やれやれ、これでやっとお風呂に入れる!
お風呂から上がったら……
「和田くんから告られた」ってお母さんに報告しようかな。
次話へ続く




