手と手を取り合いたい
……それどころではない、と、切り捨ててもよかったのだが。
一応外に出る。対応する。
「……俺はダニー。ダニー・アーバンクライン」
「……はい。ダニーさん。……」
ピンク髪の少女はまた何かを考え込んでいる。
「どういう要件だい」
いつものように髪を下ろしてはいない。高い位置でポニーテールにして結んでいる。より溌剌とした印象が強まる。
「……そうですね。どこから話そうかな……」
「……長話なら今はよしてほしいんだが」
「できるだけ短く話します。……そうですね」
少女が胸に手を当てる。
「……内緒の話をしますよ?……私。実は。予言の力があるんです」
「……予言?」
「そう。少しだけ今とか、未来に、起こるかもしれないことがわかる」
……光魔法の特権か?
……そんな魔法はこれまで一度も聞いたことがない。
魔法は理論的なものである。お嬢様に散々言って聞かせられた。
「だいぶ嘘くせえが」
「そうかもしれませんね。……でも。多分。今日、食堂で事件があったじゃないですか。さっき」
……ぎくっとする。
「お皿が割れたって事件。友達に聞いたら、どうもシルフィー様が割った、らしいんですけど。どうも私、声かけられたような記憶があるんです。シルフィー様に」
こりゃお弁当事件が起こったんじゃないか?って。
「……」
「そろそろ起こる時期なんですよ。マドレシア家にちゃんと養子にも入ったし……」
「…………お弁当事件?」
「はい。私が……まあ勝手に名付けてます。このくらいの時期になると……シルフィー様が、私に声をかけて……というかいちゃもんをつけてきて。私のお弁当を勝手に奪って、捨ててしまうんです」
……………………それ、は。
今。起こるはずだった。ことではないか?
「気味が悪い」
「うへえ……そんな反応しないでくださいよ。そういう予知があるんです。でも、今、それは起こらなかったでしょう?……たぶん。」
……そうだ。
俺が未然に防いだ。
「貴方に協力してほしいんです。つまり、貴方には何か、予知を変えるだけの力がある」
……そんなもんはないと思うが。
俺は日々を精一杯生きてるだけだぞ。
「私の、特大の予知を一つ、貴方にお話しします」
「公爵令嬢、シルフィー・ド・バージリアン。あの子は……」
「――近い将来。高い確率で、魔王へと変貌し、世界に災厄をもたらす」
「私はシルフィーちゃんを救いたい……この未来を防ぎたいんです。」
「協力してくれませんか」
「あの子を魔王にしないために」




