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入学の準備

「それではこれから、お嬢様の魔法学校ご入学についての会議を始めさせていただきます」

 久しぶりに出てきたなスージーさん。


 会議はお嬢様の寝室で行われている。(お嬢様は未だに絶対安静のため)スージーさんががらがらと滑車のついた黒板を引っ張ってきた。そんなものがあるのか。

「まずお嬢様の体調に関してはこちらも了承しております。そしてダニーさんから要請のあった入学延期もしくは屋敷内でのご教育に留める件ですが」

「い、や!!!!!!!」

 本人から猛反発が来ている。

「魔法学校よ!?魔法のことを習いに行く学校なの!絶対に行くの!」

「ですがお嬢様……屋敷から学校まで通うということになると……」

「王立高等魔法学校は全寮制でございます」

 あっ。あっそうだったそういえば。いや……いやでも……

「寮から学校だとしても俺は反対しますよ。毎日馬車で送ってくれるわけでもないんでしょう?」

「可能は可能だと思うけれど……」

「まあそもそも、入学に関しては、どうにも取り止めることのできない状況ではございます。王立高等魔法学校は貴族息女の通う学校、入学しないとなると体裁、世間体もございますし、何より一番の問題なのは……」

「問題なのは?」


「お嬢様はこれまで一度も屋敷から出て教育を受けたりしてはおられませんので」

「ん?」

「このまま入学しないとなると、人生で屋敷内の者以外と一切喋ったことのないままご成人を迎えてしまうこととなります」

 ……それは……

 ………………それは……

「……お嬢様学校行ってないんですか?中学校とか、せめて小学校とか」

「あれは平民用の学校!」

「本来貴族も通ってよい王立の学校ではあるのですが。財力をアピールする、などの慣習として初等教育、中等教育は個別に教師を雇って済ませるのが貴族間の慣習となっております。まあはじまりは『平民と同じ学校にうちの子を通わせたくない!』という事情だったそうですが」

「……なるほど」

「高等学校ともなるとほとんど貴族の方しかいらっしゃいませんので。そのような取り決めが年々受け継がれ、少しずつ形を変えていったのが現在の形となります」

 ……まあそれはそれとして。

「……流石に、箱入りすぎる。問題ですね」

「はい。ですから入学の取り止めは難しく。これは決定事項とさせていただきましょう」

・入学の取り止めはしない。

「行けるわよ!歩けるもの!」

 ……うーーーーん………………

「魔道具を使えば、の話でしょう?」

「んむむ…………」

「幸いにも学校内は自由に魔法が使用できるようになっております。行うこと、自体は不可能ではございませんでしょうが」

「んんんん……」

「行くの!」

 ……………………意思の力は固いようだ。

 体がそれに追いついていないだけで。頭を捻らせる。

「一番近い位置の寮を準備」

「学校医に対する情報の伝達、協力の要請、栄養状態の管理と把握」

「運動科目の削減」

「馬車の使用も視野に入れて」

「食事は全部やるのは無理がある、寮なら個別に食堂とかが――」

 ああお嬢様がなんにもわかっていないというあんとぽんのたんのような顔を……不敬すぎるな……やめておこう。

 ばさっとお嬢様が扇を開いた。そんなの持ってたのか。

「とりあえず私は魔法学校へ行けるのね!?」

「……そうなりますね。恐らく」

「やったわ!」

 るんるん!としている。……まだわりと、やる事自体は山のように積まれているのだが。

 やりがいはある。


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