Same as usual, but
目が覚めると誰もいなかった。
それ自体には、ひどく、慣れているけれど。
「……ダニー?」
枕元に食べ物。魔力を注ぐと火の灯る魔道具の上に、くつくつ煮立っているお鍋。
火を消す。熱いのは嫌いだ。
部屋の中には誰も見当たらない。
……タンスを開けようとしたけれど、体がちっとも持ち上がらない。
魔道具があれば動けるのはわかっているけれど、手の届く範囲に見当たらない。
このままずっと起き上がれなかったらどうしよう。
「……だ、ダニー!ダニー!」
怖い。怖い。動けない!
泣きそうになる。無理にでも、
魔法は使えない訳ではない。反発力がかかるだけだ。
起きて、起きてよ、動いてよ、なんとかしてよ!
落ち着きたいのに……
「…いはいはいはい。どうかしましたか。どうかしましたお嬢様。ご飯ですか。お手洗いですか?」
……この人は。
何だか。毒気が抜かれるような顔をしているのよね、と思う。
ほっぺを撫でまわしたくなる。…格好いいのだけれど。
「おなかがすいたの」
「はい。…起き上がれなかったですか?」
「それをしてほしかったら、私の魔道具を返してもらわなくちゃ」
「じゃあ俺が起こしますね。熱さはこれくらいで平気ですか?」
にこにこしながらスプーンをこちらにやってくる。
……毒気が抜かれる。
思わずふふっと笑ってしまいそうになるのだ。




