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色々

 ……つまり、こういうことだ。

 お嬢様は類い稀なる魔法好きから子供用の魔法が使えるようになる魔道具を常に装着。

 そしてその状態で無意識に身体強化を発動、かつ、その状態で風邪をこじらせたのか何なのか体調・体力が悪化……

 体の体力・筋力は衰え食欲も減り食べたくないものを食べる生活になるが、無意識の身体強化魔法と豊富な魔力量のおかげで一見するとなんのそつもない、ただ我儘で、好き嫌いや気まぐれが激しくて、魔法以外の何事もやりたがらないご令嬢……

 ……しかし魔道具の腕輪を外すとこうだ。

「だ、だにー……目がちかちかする……目がちかちか…くらくらして……」

「はいはいはい」

 本当に大丈夫か。

「そのまま休んでいましょうね」

「て……おてて……にぎって……」

「はいはいはい」

 お嬢様は現在ぶっ倒れている。

 食事は未だに取れていないので医者が医療用ポーションを置いて行った。体力の回復ではなく栄養の補給のためのポーションらしい。成程。

 よくこの環境でここまで衰弱できたものだと。医者が言っていた。


 ……医者の診察によれば。病気ではなく『衰弱』らしい。

 体に見たところ問題はないが体力・筋力が著しく衰弱しているのだと。

 ベッドに眠るお嬢様を見る。少し自分も気疲れしてきた。気を抜こう。

 ……かわいらしいよなあ……。

 ……側にいられる環境を確かに望んだが、実際なってみて。正に体温すら感じられるような距離にいると。全く変な気を起こしそうになるというか……

 …好きな子だ。そう思ってしまっても、仕方がないとは思うのだが。それからあんな喋り方をずっとしているのは中々大変である。

 ……可愛らしい。愛らしい。撫でたい。触れたい。唇と唇を合わせて……

 ……とりあえず。撫でるくらいは、許されるのではないかと。病人であることだし……

 頭を撫でる。あ〜〜〜〜〜〜かわい…………………………………………

 いやこれ無理じゃないか?と。俺ここに長く居られる自信がない……しかしこの手を離すことができない……

 とんとんとん、と部屋の扉が叩かれる。

「失礼します。お召し物の取り替えを」

「あ〜〜……ちょっと待っていてくださいね。お嬢様」

 名残惜しそうな手を揺らして離す。勉強部屋の方に走っていってゆっくり扉を開けた。気品というのは難しい、が……メイド長だった。

 からからとワゴンを押してきていて、そのまま扉を通り抜けて寝室の方へ向かおうとしている。無視か?

「…家庭教師の先生方には既にご連絡を済ませました。明日以降の授業は休講となります」

 ……何故それを、俺に……

 …いや……

 ……いや……?

「…本来、こういったことを管理するのは貴方の役目ではありません。お嬢様自身か、専属の執事の役目です」

 ……。

「ですがお嬢様自身には現在それを管理するお力がない。本来ならば私が務めるところですが……貴方の利点はたった一つあります」


「それはお嬢様に信頼されていることです」


「…貴方に、お嬢様の体調が直るまでの間、専属の執事としての役目を言い渡します」

 えっ!?

 執事……執事……?

 できるか……?んなもん……

「勿論それ相応の教育を。言葉遣い・所作・礼節、それから執事は使用人より上の立場となりますので、勿論使用人の行う家事・掃除に簡易的な炊事、主人の行う物事を補佐するための極めて基礎的な。知識・常識的項目の習得」

 ひ、ひええ〜〜〜〜っ!

「まずこれらを完璧に。習得していただきます。平民の貴方にとっては身に余る光栄の筈です」

 まずってことは次があるんですか…そうですか……

 拒否権はないのだろうな……と。はい、と答える。

「よろしい。それでは本日から。まずは使用人としての指導を開始させていただきます」

 アワワ………………………………

 …待っててくださいねお嬢様……

 俺はきっと…立派な執事になって……帰ってきますからね………………。

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