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晴れてその後-①

「まあお嬢様が大きな声がお嫌いというのはわかったのですが」

「なあに」

「お嬢様機嫌が悪いとき明確にご気分がすぐれないという顔をなさいますよね」

 見ろこのシワシワの眉間を。『私は明確に気分が優れない』という顔をしている。

「そんな顔してますとまたメイドに怖がられちゃいますよ」

「……。……………………」

 あっ本気で悲しそうな!あっ!

「え、ええといえそういう顔をなさっていますと!お嬢様のカワイイ額に!皺が寄っちゃうなあと!」

「気遣いなんていらないのだけれど」

 あっ気難しい!

「いえお嬢様の大変お美しい額に皺が寄られるのは。こちらとしてもちょっと見過ごせません」

「……?」

 お嬢様は前髪越しに額を触っている。

「……そんなに?」

 ………………ん?

 妙な間が……

「シルフィーお嬢様。剣術の指導の先生がいらっしゃられましたが」

「わかったわ。下がって」

 扉を開けたメイドが頭を下げてからもう一度扉を閉める。お嬢様が窓のあたりをごそごそしている。

「さ。ダニー」

「なんでしょう」

「受けないから。窓から逃げるわよ……」

 お嬢様の襟元を掴んで持ち上げる。





「ああお嬢様が!今年初めて剣術の授業を素直にお受けに!」

「ありがとうございますダニーさん!ほんとに!本当に今日も逃げ出すかと!」

「離してダニー!私は他にやるべきことが……」

 魔法だろうなあ絶対にそれは。

「剣術の授業も受けたほうがいいですよお嬢様。ただでさえ見るからに運動不足という感じがしますし」

「……雨が降っているから……」

「お嬢様。屋敷の試合場の結界は雨避けの機能も組み込まれています」

「雨避けがどういう仕組みなのか見に行きましょうよお嬢」

「行く!」

 るんるん!としている。……。うっっっっっっっま…………という声が後ろからかすかに聞こえてくる。




「それでは先生。よろしくお願いします」

「騙したわねダニー!」

「今日は時間がたっぷりありますな。それでは簡単な運動の後、素振りの特訓から」

「い……いや!受けない!」

 つかれ……とまで言ってから。はっと姿勢を正す。

「……………………」

 何やら考え込んでいる。?

「……やるわ」

「わかりました。それではまず、軽く屋敷の周囲を回ってきましょうか」

 今日は受ける気分になったのだろうか?剣術の先生であろう爺さんがほっほっと軽く笑いを口にする。

「誰かの視線というものは非常にありがたいものですな」

 ?


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