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謎の少女-③


 城門まで戻ると彼女は急にどっと汗をかいた。


「怖かったわ」


 ……危機感は多少はあったらしい。


「いいかい?まず怪我はな。教会に行ったら治してもらえるから。そこに行きな。これくらいの怪我なら5Gくらいで済む」

「わかったわ」

「そしたらそこで頼めばな?神聖魔法を教えてもらえるから。あそこは治癒魔法の使い手はいくらでも募集してるから。そっち行きな。それから冒険者になるのはもうやめな」

「神聖魔法のことは初めて聞いたわ」

「だろう?」

「でも冒険者になれないのは困るわ!」


 こやつ……。意外に頑固である。


「危険なんだよ!アンタみたいにノロノロしてるとすぐさっきみたいにガブっといかれるぞ!」

「私に足りないのは実践経験だって言われたの!それにもうあの失敗はしないわ!スライムは危険!覚えたもの!」

「ダメったらダメ!冒険者は危険!お家帰って寝てろ!」

「う〜〜〜〜っ!!!!」


 ……でも何か別の解決策を提示しないと意地でも行きそうな気がするこの子!それもそれで困る!




「……実践経験?」

「……そうよ」

「友達にでも頼め。私と魔法バトルしてくださいって頼め。大丈夫だろそんな魔法ジャンキーなら。それくらい友達は了承してるだろ」

「……」


 彼女は黙ってよそを向いた。……成程。魔法ジャンキーさんにご友人関係はいらっしゃらないらしい。溜息を吐く。


「……週一。」

「?」

「……週一。ギルドの試合場借りてやるから。そこで俺が試合の相手をしてやる。それでどうだ」


 週一くらいならまあどうにかなる。それに試合というのは1回15分なのだ。彼女の目はあからさまにキラキラしている。手を両手で握ってぶんぶんと振られた。


「貴方ってとっても優しい人!!!!!!!!!!!!」

「……そりゃどうも。お代に何を貰おうかね」

「……ああ。お金かしら?いくらか払うわよ、欲しければ。ケーキ代くらいしか出せないと思うけど」

「……」


 ケーキなんて街の一等地のパン屋くらいでしか買えない代物じゃないか。皮肉か?


「まあそこそこ当てがあるなら、飲み代でも出してもらうよ」

「貴方が勝ったら渡してあげる!」

「はいはい。……勝つ気でいるのか?」

「?」


 そうか。そんなに知らないのか。まあそれならそれでよしとしてやろう。


「それは今日!?週一っていうことは今日も1回目に含めていいの!?!?!?」

「言葉が変になってるぞ今日から。今日からでいいから。」

「ありがとうダニー!」


 私とっても幸せ、とあまりに嬉しそうな笑顔を浮かべている。そんなに喜ばれると、流石にちょっと、照れるのだが……あっもうどっか行ってる!

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