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たまにはお話がしたくありませんか

 ……今からお嬢様の部屋に行ったらお嬢様がお風呂上りだったりしないだろうか……………………

「そろそろスージー様もご休憩をお取りになっては?」

「……そうですね。貴方も部屋に戻って休むように」


「最後の試験は明日の朝一番で行いましょう。明朝に試合場に待っているように」

「わかりました」

「それでは。私はこれから仕事がございますので」

 そう会釈されると、そういえば、偉い人だったなあ……ということをひしひしと感じる。

 この屋敷の中で数えるならだいぶ偉い……だいぶ地位のある方だと思われる。(恐らくちょっとだいぶスケベなだけで)そう考えると目をかけて……

 ……目をかけ……???


 

 ……お嬢様の部屋に行こうかとも一瞬考えたが、よく考えなくとも夜番の研修で『○時以降は寝室・その他貴人の部屋には誰も立ち入らせないように』と学んだなあと。

 俺は侵入者を排除する側の職業である。俺が侵入者になってどうする。


「お嬢様〜」

「……なあに?ダニー。入ってもいいけど」

 よし。

「失礼します」

 扉を開け……ワッお嬢様可愛い!!!!可愛い!!!!可愛い!!!!!!!!!!!!

 普段から十分すぎるほど可愛らしいというのにノースリーブの寝巻きのワンピースに下ろしたさらさらの髪!は!反則級!に可愛らしい!

 お嬢様は可愛らしいですね……

 何だわやわや言われるほどのものか?これは……嫉妬じゃないのか?我儘なところ…いや……ワガママなところも確かに多少見てきたような気はするがそれにしたってお嬢様は可愛すぎる……

「無礼よ」

「はい……」

 しまった……つい反射的に椅子の後ろから抱きしめてしまった………………

 寝室と勉強部屋は繋がっている作りである。お嬢様はこんな時間だというのに未だに机に向かって何か勉強をしている……ム……

「お嬢様」

「……なに?」

 …つい距離が近くなる……

 ……お嬢様はそういうのは苦手だろうか。

 何だか緊張していそうに見える。

「お嬢様は、こうやって近くに居られるのは、苦手ですか?」

「……いや、では、ないけど…」

 慣れていないの、と。ほっぺたが赤いハ〜〜〜〜〜〜抱きしめたい。今すぐこう……こう……

 …これ以上考えると時間も相まって大変なことになりそうだ。話を戻そう。

 まあこんなに広い家だものなあ、と。くっつく理由は特に無さそうだ。

 まあ理由がなくても俺はくっつきに行くが……

「……そ、それで、用事は何?ダニー…明日の予定とか……?」

「特にありません」

「えっ。…と、特に、ないの?」

「そうですね。特に用事はありません」

 強いて言うならお嬢様に今日は全然会えていないのでお嬢様を補給したくて……というのが、まあ、一番の用事である。

「…私も、ないわよ?」

 ないですか〜〜〜〜〜〜

「何をお話すればいいの?」

 何でしょうね〜〜〜〜〜〜ハ〜〜〜〜お嬢様困らせるの堪らんな……このちいこい頭で一生懸命考えてくれてるのが堪らんな……

 お嬢様が頑張って考えてくれているところで俺は酒が飲めるよ……ねえかな……厨房とか倉庫に行ったら一本くらいねえかな……

 お嬢様を酒の肴にしてえな〜〜〜〜〜〜〜〜

「………きょ、今日は、何を、していたの」

 堪らんな〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「試験を受けてましたね」

「何の試験?」

 ……。

 何の試験だろう……あれは……。

「じいやに連れて行かれていた、あの試験のことかしら」

「そうですね」

「じゃあ昇給試験ね。きっとお給料が上がるわよ」

 やった〜〜〜〜

「…あ、あのね。私来年から、魔法学校に通うことになってるの」

「はい」

 ……はい。はい?

 …魔法学校。貴族子女の通うとても豪華な学校であると聞いたことがあるが。通うんだなあと。そりゃ公爵家のお嬢様なのだから。貴族子女の通う学校に通うこともあるだろう。

「全寮制なの」

「……えっ?」

 俺は!?!?!?俺は!?!?!?!?!?!?

 えっ折角入ったのに。このままだと折角入ったのに2ヶ月…いや3ヶ月くらいで辞めることになるが……?(いや流石にそんなことはしないが)

「俺は置いて行かれるんですか」

「その話をこれからするから。待っててね」

 ……なんか……

 ……こういう話をしているから、俺はお嬢様に、ワンちゃんの扱いを受けているのではないかと……………………………………………………

「でも、護衛を1人までなら連れて行ってもいいの。危ないからってじいやは誰かを連れていってほしいみたいなんだけど、じいやは本来屋敷のこともあるから。でも、じいやより強い護衛の人が今のところいらっしゃらないの」

「そんなに強いんですか」

「それはわからないけど……ええと、だから。その試験はこの試験も兼ねていると思うというか……ええと……」

「ふむ」

「…もし、受かったら、一緒に学校に通えるかもしれないわ。」

 えっ。

「頑張ってね。それじゃあそろそろおやすみなさい、ダニー、もう遅いわよ」

「……はい」

 扉際まで送られる。頭を撫でようとめいいっぱい腕を伸ばしていたので、頭の位置を下げると満面の笑みで髪を整えるように撫でてくる。

「おやすみなさい」

 ……おやすみなさい、と。

 ……扉を閉めた。


 ………………………………………頑張ろう。

 明日も朝が早い。

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