4-5.第二回お茶会
第二回お茶会 デイジー
ゼブは毎回の食事をクリスと一緒にマナー講座を受け、剣をジェームズから、ダンスをニコルから教わりました。お茶は遊ぶ間もなく励んだようです。
クリスが貴族の客を呼ぶと言った日がきました。クリスがゼブに向かって
「昼を食べたら、"キングストンの家"に行くけど一緒に行く?すぐに戻ってくるけど。」
「遊びに行くんじゃないのか。」
「レミ達にメイドの手伝いをしてもらうから、迎えに行くんだ。長居はしない。」
「ふーん。それでもいいから一緒に行く。」
「じゃあ、そうしよう。」
"キングストンの家"に着くと、今回も子供達にとり囲まれました。メイド服のレミにクリスが箱をかかえながら言いました。
「やぁレミ。準備できてるみたいだね。これ、おみやげのケーキだよ。」
レミが箱を受け取って「みんなー、クリス様からお茶会のケーキをいただいたよ、お礼を言って。」
「クリス様ありがとう!」「ありがとう!」まわりから口々に、お礼が言われました。
「ジュディはどうしてる?」
「中で他の女の子二人と一緒にいます。」
家の中に入ると夫婦とメイド姿の二人とジュディがいました。
「皆、こんにちは。」
「こんにちは。」「クリス様こんにちは。」「ようこそ。」「いらっしゃいませ。」
各自ばらばらに挨拶されました。
「ジュディ、キングストンの家はどうかな?」
「皆、親切にしてくれます。連れて来てくれて、ありがとうございます。」礼をされました。礼儀も教わっているようです。
「うん。その服も似合ってるよ。」ジュディは、この前とは違った服を着ていました。古着だと思いますが。
「ありがとう。でも、私もメイド服着てお城へ行ってみたかったなぁ。」
「ジュディも、お茶の注ぎ方ができるようになったら、次回のお茶会から手伝ってもらおうかな。その時にメイド服も用意しよう。」
「はいっ、お願いします!」ジュデイが嬉しそうに答えました。
「クリス、城でお茶会をするのか?」ゼブが聞きました。
「今まで黙っていたけど、これから第二回"キングストンの家の為のお茶会"を開催する。ゼブ、出席してくれるかな?」
「本当!?出席する!!ケーキも二つでるのか?」
「君のリクエストにお答えして二種類、用意したよ。ここへはフルーツのケーキの一つだけ。」
「やった。」ゼブは喜び、「ありがとうございます。」クレドとリザは頭を下げました。
「ただし、行儀悪くしたらジェームズに連れ出してもらうからね。」
「わかった。」ゼブは真剣そうに答えた。
クリスによると、ゼブは似たような歳の子供のいる夫婦二組と同席するそうです。
・お茶会にて クリス
準備万端のレミに「最初にゼブのいるテーブルに行く。こちらの挨拶が済んだら、テーブルの人達にゼブを紹介するからね。後はいつもどおりに。」
「はい、わかりました。」レミがにこやかに答えた。
「クリスハート・キングストン伯爵だ。お茶会へようこそ。今日は楽しく過ごして欲しい。"キングストンの家"の子達にお茶注ぎを頼んだ。一生懸命練習してもらったが、粗相があれば、許して欲しい。」テーブルの皆へ軽く礼をした。
ゼブに立ってもらった。「既に紹介されたかもしない、私の友人、グレイシャー伯爵の長男ゼブルン殿。領地経営の見学でキングストンへ来ている。」
ゼブには"領民に親身な領主"を見に来た、と答えるように言いふくめてある。
「ゼブルンです。ゼブと呼んでください。」ゼブが頭を下げた。他の面々には自己紹介してもらった。
「"キングストンの家の為のお茶会"へようこそ。キングストンの家のレミです。よろしくお願いします。」レミが挨拶した
「本日はオレンジのケーキと、カラメルケーキを用意した。要望とあればおかわりして、両方味わってもらってかまわない。紅茶はストレートで両方に合う物を選んだ。」
「カラメルケーキというは、この前のと違うのか?」ゼブに聞かれた。
「この前よりもほろ苦にした。両方食べるなら、オレンジを先にするのがおすすめだ。」
「それじゃ、オレンジがいい。」
メイドがケーキを取り分けると、じっと見て「この前のより小さい。」抗議されてしまった。
「このお茶会では、おかわりしやすいように、ケーキは小さくしてある。」
「そうなのか。」ゼブが納得した。
「"キングストンの家"への寄付をお願いします。」お茶を注ぎ終わったレミと並んで頭をさげた。
「ゼブは寄付しなくていいからね。」
「なんで?」
「君はおこずかいを、もらってるの?」ジェームズを見ると首をふっていた。
「この件はキングストンの事よりも、自分の領地の事を勉強するように。」
「わかった。」
二組の夫婦と軽く会話をかわして、次のテーブルへと向かった。
一周して戻ってくると
「"領民に親身な領主"とはどのようなものか、ゼブ様から教えていただきました。」
と二組の夫婦から感激された。
「ゼブ、どういう話をしたの?」
「ジュディと会ってから、"キングストンの家"で別れるまでを話した。」
ゼブ、泣いてたよな・・・。感動的な話になったような気がする。
「"キングストンの家"の話をしてくれてありがとう。」営業スマイルで言ってしまった。