【コラボ配信】ガーディアンボス戦! 魔法少女コンビで横浜中華街ダンジョンを攻略するよ~!【雪姫ちゃんと】2
俺はヒバナに<一角兎のカチューシャ>を装備させた。恥の緊急回避だ。
「ヒバナさん、よかったらこれあげます」
「着けられちゃったー。あ、今度あたしもこれ買って持ってくるから、お揃いで配信する?」
「有名テーマパークのゲストみたいになっちゃいますよ。というかそもそも私たち、お揃いの腕輪着けてるじゃないですか」
「確かに! えへへー、雪姫ちゃんとおそろ~」
俺が押し付けたうさ耳カチューシャを着けたまま嬉しそうにするヒバナ。俺が言ってるお揃いの腕輪というのは白竜の牙の所属であることを示すものだ。経緯があれすぎるが、ヒバナが嬉しいなら野暮なことは言うまい。
〔ヴッ尊い〕
〔お揃いアイテム着けて配信したいばなちゃんかわいすぎんか?〕
〔双子コーデで裏で遊んだりしててほしい〕
言いたい放題だな。
そろそろ先に進まないと焦れてくる視聴者もいそうなんだが。
……と。
ゴゴゴゴゴゴゴゴ……という地鳴りのような音が響き始めた。
坂道の上の方からだ。
来たか。
「ヒバナさん、あれが来ます!」
「そうだね。雪姫ちゃん、このうさ耳返すね!」
「ちょっ、私の頭につけ直す必要は――ああもう、後で絶対外しますからね!」
まずは状況への対処が先だ。
ゴガンッッ! という音とともに坂の途中で影が跳ねた。それは球状の大きな岩だ。直径二メートルはありそうな岩の球体が坂道を転がり落ちてくる。
〔出た、ご当地名物“いわなだれ”!〕
〔いわなだれ(単発)〕
〔インディ〇ョーンズで見たことある気がするやつ!〕
〔ほんまにやばすぎるこれ。災害じゃん〕
〔っていうかこの子たち逃げないの!? ひき潰されるぞ!?〕
この坂道からは定期的に大岩が転がり落ちてくる。火山の上のほうにあるモンスターがいて、そいつが侵入者を排除するために岩をひたすら転がしてくるのだ。
ヒバナが迎撃のためか詠唱を始める。
「よーし! 炎神フラムよ、我に力を貸し与えたまえ――」
「あ、ヒバナさん、ここは私にやらせてください。試したいことがあって」
「そう? じゃあ雪姫ちゃんに任せるね!」
俺は杖を構えた。握るのは昨日新しく作ったばかりの<スノータイトの封唱杖>。これのマジック効果は今は影響しないが、シンプルに武器としての性能が高い。
「【アイスショット】!」
【氷弾の心得】の効果で【アイスショット】は今や<初心の杖>なしでも無詠唱で使える。
さらに対象が高耐久の岩であるせいで、【一撃必殺】も発動。
おお、一発目からとは幸先がいい。
杖を振り下ろすようにして巨大な氷の弾丸を放ち、転がってくる大岩にぶつける。
バガンッッ!!
岩が砕け、氷と岩の破片が周囲に激しく散らばる。
〔は?〕
〔何だこれ……え? 何これ?〕
〔岩……えっ? ええ……?〕
〔【アイスショット】って初期魔術だよね? え? 聞き間違えた?〕
〔おっ、初見さん力抜けよ〕
〔岩ごときが雪姫ちゃんの魔術を耐えられるわけないんだよなあ〕
〔それにしてもユニーク装備なしでこの威力は草〕
「あっ! 雪姫ちゃん、武器変わった?」
「そうなんです。昨日新しくしました」
「へー! ……あれ? でも【アイスショット】の無詠唱って昨日までの武器の効果じゃなかった?」
「実はおとといのキーボス戦で【氷弾の心得】というスキルが手に入って、【アイスショット】だけは無詠唱で使えるようになったんです」
「そうなんだー! おめでとう、雪姫ちゃん!」
「ありがとうございます。といっても、無詠唱で威力が下がるのは<初心の杖>と変わらないんですけどね」
〔さらっととんでもない会話してて草〕
〔【アイスショット】の無詠唱を覚えました……?〕
〔絶対まだ千回は使ってないよな? どういうことなんだ?〕
〔まあ雪姫ちゃんだから(思考停止)〕
〔雪姫ちゃんなら仕方ない〕
スキルに関してはあまり話さない方針だが、さすがに<初心の杖>なしで【アイスショット】を何度も使えばすぐにバレるのでこれは明かしてしまう。
新しい武器や【氷弾の心得】での無詠唱【アイスショット】の感覚を試したわけだが……
ゴロゴロゴロゴロッッ!
「雪姫ちゃん、また来たよ! しかも今度はけっこうたくさん!」
「【アイスショット】、【アイスショット】、【アイスショット】!」
ガンッ、ドガッッ、バッガアアアアン!
転がっていた大岩の群れを残らず破壊する。
うん。結構いい感じじゃないか? <初心の杖>の無詠唱【アイスショット】と【氷弾の心得】の無詠唱【アイスショット】は威力が同じくらいだが、杖の性能が上がっている分今の方が威力が出ている。
「雪姫ちゃんすごーい!」
「ヒバナさん、大岩の処理は任せてください。全部壊しちゃいます」
〔全 部 壊 し ち ゃ い ま す〕
〔あの子は岩の塊を発泡スチロールか何かと勘違いしてない?〕
〔普通この大岩、転がってきたら岸壁に張り付いてお祈りするしかないんだけどな……〕
〔どんな敵も粉砕してまっすぐ進む、これが姫殿下の覇道〕
〔王族すぎでは?〕
よし、一旦大岩は打ち止めみたいだな。
今のうちに先に進もう!




