鏡の向こうに映るモノ
短編初投稿!小説そのものも初投稿!とても短いです。
至らない点も多いかと思いますが、楽しんでいただけたら幸いです。
私は望月 星香。私には双子の妹 凛香がいる。
一卵性双生児の私たちは、顔も身長も性格も好きなものも、得意なことややりたいことだって全部そっくりだ。けれど、顔のほくろの位置だけは鏡合わせみたいに反対だった。
髪型は、私はいつも三つ編みにして、凛香はポニーテールにしていた。
服はいつも色違い。
「髪型や服が一緒だと鏡を見ている気分になる」
それはお互いに、幼い頃からなんとなく考えていたことだと思う。
私は16歳になった。高校1年生だ。新しく友人も作ることができて、それなりに充実した日々を送っている。
「今日も可愛い」
鏡を見て、身だしなみを整えると、私は家を出た。
「星香ちゃんは、どうしていつも鏡を見ているの?」
それは久しぶりに聞かれたことだった。新しくできた友人の一人に問われた。少し首を傾げながら、私は笑って答える。
「鏡に映る顔が好きなの」
「へ、へ〜。そうなんだ」
中学生の頃からずっと続けていること。
あの子はもう、ここにしかいないから。
「望月さんはいつもニコニコしているんだね」
「だってその方が、幸せそうじゃない?」
私は幸せでありたいのだ。そして、幸せであってほしいと願っている。
「星香ちゃんって可愛いよね」
「自分に似合うものはわかっているからね」
自分に似合うものはあの子にも似合うのだ。
あの子は可愛くあってほしい。
「どうして星香ちゃんは、そのリボンをいつも身に着けているの?」
「妹が昔から好きな柄なの」
「え!妹いるの!?」
えぇ。いつも一緒にいる。
「星香は何で、いつも鏡を見ているの?」
「だって、妹に会えるのはここだけだから」
「え?」
凛香はもう五年も前から、鏡の中から出てこられなくなってしまったから。
「だから、私が妹に会いに行くの」
笑顔も服も高校も。やること全て、凛香のために。
幸い、凛香のやりたかったことはわかるから。
「そして、凛香にやりたいことをさせてあげるんだ」
私はそのためだけに生きている。
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