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少年魔術師、冒険者達を奮い立たせる

 ♦ ♦ ♦


「お願いアル!

 クリスを・・・クリスを連れ戻して!!」


「後生です~、アル様~!」


 アル達がギルドに入った途端、

 目の前で土下座をしてくるクリスの仲間二人。


 訳が分からず事情を聴いてみると・・・



「クリスが一人でダンジョンへ!?」


「う、うん・・・。

()根源こんげん』を断つっていうクエストに・・・」


「『魔の根源』・・・、

 いわゆるダンジョンの(ぬし)ですね」


 と、横で聴いていたサーニャが確認する。


「魔物たちが最近活発化してきた原因とも言われています。

 そんな相手を一人で・・・」


「っ、急ごう!」

「待ってください、アルさん!」


 すぐさま飛び出そうとするアルを止めるサーニャ。



「サーニャ?」


「あのクリスという人はアルさんを逆恨みしています。

 そこの二人よりもさらに・・・」


 そう言って向けられた冷たい視線に、

 床に手を付いていた二人はビクリとする。


 何しろ先日の決闘の時、

 二人を叩きのめしたのはサーニャなのだ。


「サーニャ、

 今はそんな事言っている場合じゃ・・・」


 というアルをサーニャはさえぎる。


「クリスさんを無事に見つけたとしても、

 あの人がおとなしくアルさんに従ってくれるでしょうか。

 もしかしたら、

 逆恨みで斬りかかってくるかもしれません」


「何言ってんの!

 クリスはそんな事するやつじゃ・・・」

「それに!!」


 食って掛かろうとする彼女たちを威圧するように、

 サーニャは声をかぶせる。


「あなた方の話が本当だという証拠もありません。

 そうやってアルさんを誘いだし、

 この前の報復でもするつもりかもしれません」


「ひど~い!

 そんなにわたし達の事が信じられないの~!?」


「はい」


 泣きつこうがわめこうが、

 サーニャはあくまで冷静だった・・・。




 ♦ ♦ ♦


「おい聞いたか?

 アルのやつ・・・」


「ああ、

 クリスを助けに行ったんだってな」


「オイオイオイ、

 騙されてんじゃないのか?」


「それについては相棒のサーニャちゃんが、

 保険をかけていたぜ」


「保険?」


「『この救出を正式な依頼として出させましょう』、

 だとさ」


「なるほどな。

 それならクリス達も手は出せないか」


「何しろ人が良すぎるもんな、

 アルのやつ」


 アル達が飛び出したあと、

 既に話は広まっていた。



「それにしても・・・、『魔の根源』か・・・」


「大丈夫なのかよ?

 いくらアル達でも・・・」


「ある意味、

 ダンジョンの魔物全てを敵に回すって事だろ・・・?」



 ・・・・・・


 沈黙が落ちるギルド。


 そんな空気の中、

 一人の冒険者がつぶやいた。


「俺、

 前にアル達に助けてもらったんだよな。

 魔物にやられそうな時に」


 それが皮切りだった。


「俺も・・・、

 重傷を負って死にそうだった時、

 クソ高い回復薬をもらったんだ。

 代金はいつでもいいからって。

 まだ安宿に泊まっていた頃のアルに・・・」


「俺もあいつに・・・」


「僕も・・・」


「わたしも・・・」


「それがしも・・・」


 ・・・


 ・・・・・・


「・・・行くか」


「ああ、借りは返さないとな・・・!」




 ―――その後、

 クエストの手続きもせず飛び出していった冒険者達の受注処理のため、

 ギルドの職員たちが散々苦労した事を彼らは知らない・・・。


【つづく】

『君』は読み進める……。


(ちっ、助けるのかよ……。


 自分を馬鹿にしたクズなんか、放っておけばいいのに……。



 ――とりあえず、

『いいね』や『コメント』で応援くらいはしてやるがな。


 読んだ以上、仕方なくするだけだ。


 ありがたく思えよ、作者……)

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