少年魔術師、追放サイドに待ち伏せされる
♦ ♦ ♦
「アル、お前の解雇を取り消そう。
パーティーに戻ってこい」
その日、アル達がギルドにやって来ると、
時間的にいないはずのクリス達が近づいてきた。
そして開口一番、このセリフだ。
「・・・悪いけど、戻る気はないよ」
「はぁッ!?
アルのくせに何言ってんの!」
「生意気~。
散々うちらの世話になったくせに~」
と、クリスの後ろにいる二人が責め立ててきた。
それに対し怒りを覚えたのは、
アル本人ではなくサーニャだった。
「何を・・・言ってるんですか。
アルさんの力も人柄も理解せず、
その見下した物言いは・・・!」
「何よあんた?
関係ない奴は黙っててよ」
「そうそう~」
「関係なくはありません。
アルさんは今、
わたしとパーティーを組んでいるんです。
大切な人が侮辱されて、
黙っているわけにはいきません!」
それを聞いたクリスが、
「何・・・だと?」
と、敵を見るような視線をサーニャへ向ける。
サーニャも負けじと睨み返す。
クリスの手が腰の剣へと伸び、
仲間二人もそれぞれ自身の武器をつかんでいる。
そしてサーニャも・・・
と、
そっとその肩へ手を置くアル。
「ありがとう、サーニャ」
「アルさん・・・」
アルはそのまま一歩前へ出て、
クリスと至近距離で向き合った。
「ア、アル・・・?」
何故か動揺するクリスに、
アルは静かに言った。
「クリス、君達には本当に世話になった。
未熟だった僕をパーティーに入れてくれ、
みんなで色んなクエストもこなした。
君達と出会っていなければ、
僕は冒険者を辞めていたかもしれない」
「だ、だったら・・・」
「それでも僕は戻らない。
理由はただ一つ、
「君達といるのは疲れるからだ」
「なッ・・・!」
アルのその言葉に、
クリスは愕然としたようだった。
他の二人も同様の反応だった。
「・・・」
これで話は終わったな、
と感じたアルは、
「行こう、サーニャ」
「はいッ!」
と、クリス達に背を向け、
サーニャと共にその場を離れようとした。
―――が、
「ふざけるなよ、アル・・・!」
「ちょっと力をつけたからって図に乗って…!」
「わたし達の命令にNOと言う権利があるとでも~?」
と、殺気のこもったクリス達の声が、
二人を追ってきた。
「クリス・・・」
「表へ出ろ!」
「え?」
「決闘だ!
お前が勝てば自由にしていい。
だが負けたら、
もう二度と逆らう事は許さないッ!!」
正直、
アルには何の得にもならない。
だが、彼は受けることにした。
決着をつけるために。
【つづく】
『君』は読み進める……。
(来た来た……、
追放サイドへの分からせイベント……!
しかし、このクリスとかいうやつ、
意外と気が弱いんだな。
主人公に近づかれただけで動揺するなんて……。
――とりあえず、
『いいね』や『コメント』で応援くらいはしてやるか。
読んだ以上、それくらいはしなければな。
ありがたく思えよ、作者……)