最後はみんなで大泣きした(4)
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私が、『金色の六翼』への復讐のため、
利用する相手としてノックを選んだのには、
三つの理由がある。
一つは、
扱いやすい小者だった事。
次に、
彼らと一緒に殺しても問題ないクズだった事。
そして、
童顔で、私の兄ニコルと同じ髪の色をしていた事・・・。
――ノックの剣とドワーフの人形によって、
ウーゴは、ノックが自分達に復讐していると考えた。
――『兄ニコルの仇として』・・・。
見た目は年上、髪の色も全く違う私のほうが、
実はニコルの弟だとは、
夢にも思わなかったようだ・・・。
さらにドワーフの人形によって、
ウーゴは、自分と共に残った最後のメンバーライラが、
ノックの共犯だと結論を下した。
次第に増えていった人形の傷は、
ニコルの死の真相を知っている者にしか付けられないからだ。
ウーゴは、容赦なくライラを問い詰めた。
抵抗する彼女を殴りつけ、
今度は身動きもできないように縛り、
ゴツゴツした固いダンジョンの床に転がした。
自身の推理を展開するウーゴだが、
ライラがあくまで否定の態度を取るのを見て、
やがて激昂した。
怒りと恐怖で、完全に余裕をなくしたウーゴは、
ライラの首に剣を押し付けながら罵倒し続けた。
「そのカラダを使って、ノックをたらしこんだんだな!?
ニコルから俺に乗り換え、今度はそこからあいつの弟にか!?」
そうウーゴは叫んでいた。
あれは、本当だったのだろうか?
ウーゴがニコルを殺したのは、
そういった理由もあったのだろうか?
(――馬鹿野郎・・・)
私は、それ以上見るに堪えなかった。
早くアイテムボックスに収納していたハンマーで、
背後からウーゴを殴り殺してやるのだ。
――ドワーフの歌詞の通りに。
目の前のライラには、さすがに私の正体がバレるだろうが、
ここまで来れば、もうそれでもよかろうという気になっていた。
もはや恐怖は十分に味合わせてやったのだから・・・。
――だが、その時、
予想外の事が起きた。
私と、そして二人を照らすカンテラの灯りに影が落ちたのだ。
ウーゴと共に私は背後を振り向いた。
そこには、いつの間に現れたのか、
巨大な戦槌を握った、
一頭のミノタウロスが立っていた。
(――何だ、こいつは・・・!?)
私は、驚愕した。
そのミノタウロスは、
私が従属化したものより、
一回り以上も大きい体躯をしていた。
戦槌を持ってたたずむその姿は、
魔物でありながら、ある種の威厳をも感じさせた。
凶暴なミノタウロスを束ねる、彼らの王・・・、
(ミノタウロス・・・王!)
そう私は悟った。
そして、恐怖した。
――従属化など不可能な、
絶対的な力を前に。
だが、そのミノタウロスは、
私にはまったく関心がないのか、
そのまま横を通り過ぎ、
そして・・・、
唖然とするウーゴの前に立ちふさがった。
ウーゴが我に返る間もなく、
その頭上から、ミノタウロスの戦槌が振り下ろされた。
ウーゴはその頭をつぶされて死んだ・・・。
――まるで、ドワーフの詩に合わせたように・・・。
「ひぃっ・・・」
と、縛られているライラは、
芋虫のように這って逃げようとした。
そのミノタウロスは、
ウーゴを殺してすぐに去っていった。
そこで私はようやく我に返り、
ウーゴの死にざまが、ドワーフの詩の通りだと判断すると、
急いでその手に五体目の人形を握らせた。
――今さらという気がしないでもなかったが・・・。
その後、私はライラを追いかけ、
彼女を縛っていた布を切ってやった。
ミノタウロスの脅威が去ったのを知ると、
ライラはフラフラとウーゴの死体に近づいていき、
その手を確認した。
新しく胴に斜めの傷をつけた人形を見て、
ライラは静かにつぶやいた。
「『二人のドワーフがケンカを始めた
一人が金づちで叩かれ一人になった』・・・」
私としてもやり切れないウーゴの最期だった・・・。
【つづく】
『君』は読み進める。
ほんの少し意外な展開があったにもかかわらず、
考察もせず、ひたすらラストスパートとばかりに読み進める。
――それでも、もちろん『君』は、
次の回に行く前に画面を下にスクロールして、
『いいね』や『コメント』を入れる事を決して忘れる事はない……。




