表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/55

最後はみんなで大泣きした(3)

 ~~~~~~~~~~~~~


 ドワーフの人形は、

金色(こんじき)六翼(ろくよく)』に恐怖を与えるためだけでなく、

 彼らの目から私を容疑から外す隠れ(みの)の狙いもあった。


 人形に付けた傷の意味に感づいた彼らは、

 これがニコルに(たん)を発するものだと考えだした。


 これで彼らが、私を疑う事はなくなった。


 彼らの中では、

 私はニコルの事を知らない部外者なのだから・・・。



 ――次のギースの時は、なかなか苦労した。


 彼は優秀な斥候(スカウト)だ。


 そのギースの探知能力に感づかれないように、

 従属化した死霊術師(ネクロマンサー)が率いるアンデッドの群れまで彼らを接近させるのは、至難の業だった。


 だが私は、それ以外の道にあらゆる従属化(テイム)した魔物を配置し、

 ギースに気配を感知させた。


 当然、無用の戦闘を避けたい彼らは、

 魔物の気配がしない道だけを選んで進み続けた。



 ――そして無事、アンデッドの群れの前へと到着したのだ。


 ・・・他の魔物と違い、

 既に死んでいるアンデッドの類は、

 気配がないため冒険者に感知されにくい。


 その群れの数に、

 明らかに勝ち目などないと判断した『金色の六翼』は、

 すぐさま(きびす)を返し逃走した。


 この時、斥候(スカウト)として先行していたギースは、

 逆に最後尾となってしまうのだ。


 他のメンバーは誰も振り返らない。



 私がギースを殺したのはこの時だ。


 私など眼中にないギースは、

 すれ違いざま無防備に私の刃を受けた。


 そのギースの死体をアイテムボックスに収納し、

 私はそのまま全速力で、アンデッドの群れと共に他のメンバーを追いかけた。


 この時既に、かなり先を行っていた彼らに追いつく・・・。

 これが一番大変だった。


 だが、遅れて合流したのでは、

 後でさすがに怪しまれる・・・。


 私は、途中でスタミナポーションを飲みながら、

 呼吸が出なくなるまで走った。



 ――やがて私は、ライラを追い越し、

 モリアードにも追いつく事が出来た。


 アンデッドの群れは、

 すぐ手前で追うのを止めさせた。



 ――アンデッドの姿がなくなったところで、

 モリアードはその場に倒れこんだ。


 じきに息も絶え絶えなライラもやって来た。


 私も、今すぐ倒れたい状態だったが、

 無理やり身体を引きずって、先に行ったであろうウーゴの元へ向かった。



 少し進んだところで、

 暗闇の奥の壁に別の小道を発見した私は、

 そこにギースの死体を置くことにした。


 体中に傷をつけてから、今までうずくまっていたような格好をさせた。


 アンデッドの群れにやられて、ここに隠れていたがやがて力尽きた・・・、

 そう見せかけるために・・・。



 そのまま私は、

 急いでウーゴに合流した。


 後から来たモリアード達も、

 私に不審の目を向ける事はなかった。



 ――やがて三人は、誰もギースを見ていない状況に気づき、

 途中まで引き返して探してみる事になった。


 ギースを隠した壁の道に差し掛かったところで、

 私は何気ない動作で、カンテラをそちらに向けた。


 すると狙い通り彼らは気づき、

 その先でギースの死体を発見した・・・。


 思惑通り、

 彼らはギースの手を調べた。


 当然そこには、私が握らせた()()()の人形があった。


 焦げ跡に加え、

 新たに首に傷を付けたドワーフの人形が・・・。



 ――そこまで来て、

 彼らはようやく一つの結論に至った。


『自分達は今、誰かに狙われている』。


 そして、

『その人物は()()()()()()()()()》』

 と・・・。



 ~~~~~~~~~~~~~


 パーティーの荷物のほとんどは、

 荷物持ち(ポーター)の私に預けられていた。


 食料や回復薬、予備の装備・カンテラとその火種等、

 ダンジョン攻略の必需品は、私が背負う大きな雑嚢(リュック)の中に収められていた。


 その雑嚢(リュック)を私は、

金色(こんじき)六翼(ろくよく)』にアンデッドの群れを差し向けた際、

 アイテムボックスに収納して隠したのだ。


 そして、彼らと合流した時には、

 アンデッドの群れから逃げ切るために、

 雑嚢(リュック)を捨てて逃げてしまった、と説明した。


 彼ら自身も、いくつか身に着けていたものを捨てて逃げてきたため、

 私の行動は思ったほどとがめられなかった。


 モリアードだけは私を指さして、


「こいつ、荷物の大半を放り捨ててしまったらしい。

 まったく、ふざけてるね・・・。

 食料も火種も、ほとんど残っていないときた」

 などと、嫌味を言い続けていたが・・・。


 その言葉に、ライラが過敏に反応していたが、

 おそらく、ドワーフの歌詞が頭をよぎったのだろう。


『三人のドワーフがお酒を飲みつくした

 一人がカラカラに乾いて二人になった』・・・。



 ――ともあれ、お互いが疑心暗鬼に陥ってきた上に、

 この先補給が利かないという状況は、

 期待以上に彼らの精神を追い込んだ。


 まず疑われたのは、

 人形を壊す際にそれをためらったライラだった。


 ウーゴとモリアードによって後ろ手に縛られ、

 私が彼女を見張る事になった。


 ミノタウロスの生息地が近づくと、

 彼らは最後の準備をするため腰を下ろした。


 ウーゴとモリアードは、

 彼ら自身が持っていた携帯食料を食べ始めた。


 私も懐の携帯食料を取り出し、

 縛られているライラの口元に持っていき食べさせた。


 これは、自然にライラの傍に寄るための行動だった。


 ライラに接近すると私は、

 ウーゴ達に気づかれないように、

 ライラを縛っていた布を切った。


「隙をついて逃げて・・・!」

 小声でそう彼女に言って、どこに逃げればいいかも目線で指示した。


 食事が終わり、モリアードが付与術を自分とウーゴにかけ始めた。


 事前の強化に集中する二人・・・。



 ――ライラが動いたのはその時だった。


 モリアードを突き飛ばし、

 私が教えた通りの道に彼女は逃げた。


 私が熟知しているその道を・・・。


 すぐにウーゴがライラを追いかけた。


 その隙に私は、

 残ったモリアードに薬をかがせて気絶させた。


 そして、そこに置かれたカンテラの灯りを消し、

 暗闇に彼を残したまま、

 ウーゴを追いかけ合流した。


 ウーゴはライラを懐柔させるためか、

 とにかく彼女に話を合わせようと、

 その主張をコロコロと変えていった。


 最初は、

『ここまで仲間を殺してきた彼女を許す』

 というもの・・・。


 次に、

『本当はモリアードを疑っている』

 というもの・・・。


 そして、最後言いかけた主張は・・・、

 驚いたことにかなり真実に近づきかけていた。


 だが、それをウーゴが話し終える前に、

 モリアードの悲鳴が聴こえ、

 二人は慌てて引き返した。


 だが、道をよく知っている私は、

 彼らが暗闇でまごまごしている内に、

 あっという間にモリアードの元にたどり着いた。



 この時点では、まだモリアードは生きていた。


 彼が悲鳴を上げたのは、

 私が従属化(テイム)していたミノタウロスを、

 目の前に現われさせたからだ。


 私の指示通り、

 ミノタウロスはモリアードの口をふさぎ、

 身動きができないよう押さえつけていた。


 そのまま私は闇の中で、

 アイテムボックスからノックの剣を取り出し、

 ――モリアードに突き刺した。


 ここまで殺してきたメンバーに対してもそうだったが、

 これだけは・・・、彼らの命を奪う直接の一撃は、

 従属化(テイム)した魔物に任せず、私自身の手でやりたかったのだ・・・。



 ウーゴ達が追いつくよりも早く、

 私はいったん、ミノタウロスを暗闇の中に戻らせ、

 再びカンテラに灯りをともした。


 私が倒れているモリアードの傍にいても、

 ウーゴ達に疑われる事はなかった。


 先に三人共にモリアードの悲鳴を聴いていたため、

 ただ、自分達より早くたどり着いたとしか考えなかったようだ。


 ライラは必死でモリアードに回復魔法をかけた。



 ――だが、ほどなくしてモリアードは死んだ。


 ライラは自分が、序盤の消耗から回復しきれていないため、

 魔力が足りなかったのだと嘆いた。


 ――案の定、それをドワーフの歌詞とも結び付けて・・・。


『三人のドワーフがお酒を飲みつくした

 一人がカラカラに乾いて二人になった』。



 ――ただ、彼女が万全の状態だったとしても、

 モリアードを助ける事は不可能だったろう。


 彼を刺した剣には、

 毒が塗ってあったのだから・・・。



 ――その剣がノックのものだという事に気づいたのは、

 ウーゴだった。


 私がノックだけ、比較的綺麗な死体にしたのは、

 このためだったのだ。


 壊したはずのドワーフの人形が、

 新たに傷を付けてモリアードの手から発見されると、

 狙い通り、ウーゴはノックが生きていると考え出した。


『ノックは生きている』・・・。


『そして、今も近くで自分の命を狙っている』・・・。


『—―目の前にいるライラの共犯として』・・・。



【つづく】

 『君』は読み進める。


 段々と読むのが苦痛になってきたにもかかわらず、

 それでも先を読み進める。


 ――そして、もちろん『君』は、

 次の回に行く前に画面を下にスクロールして、

『いいね』や『コメント』を入れる事も決して忘れない……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ