最後はみんなで大泣きした(2)
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私は、兄の復讐を決意した。
一月後には冒険者ギルドに偽名で荷物持ちとして登録し、
まずノックという冒険者に近づいた。
剣の実力はあるが、
娼館で身分の低い店の女を、
自分の趣味に付き合わせて壊しまくった、
という立派な経歴を持つ剣士だ。
酒場で何度かおごった後、私は彼に話を持ち掛けた。
「『金色の六翼』に入りたいのだが、自分には何のツテもない。
だからあんたが先に入って、その後に仲間に自分を紹介してくれないか?」
必要な金は出すから、と大金をちらつかせると、
ノックはすぐに話に飛びついた。
ノックが『金色の六翼』のメンバーになってから一週間後、
彼らは、ノックの推薦で私を自分たちの専属荷物持ちに迎えた。
「だが、お前は『金色の六翼』のメンバーではなく、
あくまで荷物持ちだ。
俺たちのやり方に口出しするんじゃないぞ」
リーダーのウーゴは、まずそう言って釘を刺してきた。
これは私にとって、逆に好都合だった。
私の考える復讐のためにも、
彼らにとって私は、仲間でありながらも空気のような存在でなければならないのだ。
そのために私は、
彼らのやる事をただ黙って見ていた。
暴行、恐喝、強姦、浮気・・・、
パーティーのあらゆる後ろ暗い行為の現場を見ても、
私は我関せずという態度を貫いた。
そうしているうちに、
彼らは私が近くにいても、気にせずやりたい放題するようになった。
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いよいよ、復讐を決行する準備が整った。
私は偽の依頼によって、
『金色の六翼』をダンジョンの中におびき寄せた。
最初に殺したのはノックだった。
彼は私の復讐対象ではないが、
1人だけ生かして返すわけにはいかなかった。
だが私は、
彼を一緒に殺す事に何のためらいもなかった。
街の娼館には、
彼によって手足を失った女性が、両手の指でも足りないほどいるのだ。
その内の何人かは、本来ならまだ客も取れない年齢の少女だった・・・。
ダンジョンに入るとき、
ノックはいつものように、荷物持ちの私に飴を要求してきた。
私は、その飴に遅効性の毒を加えていた。
ダンジョンに入って割とすぐに、
ノックはその毒で倒れた。
それと同時に、
私は従属化したゴブリンの群れに、
パーティーを襲わせた。
皆がゴブリンに気を取られているその隙に、
私はアイテムボックスから古びた矢を取り出し、
倒れているノックの脚に刺した。
そしてその手に、
一体目のドワーフの人形を握らせた。
皆がノックの死体を発見した時、
私は言った。
「さっきノックが倒れたのは、この矢が当たって・・・?」
と。
それを聞いた四人は、
案の定ノックが毒矢に当たって倒れたと思い込んだ。
ゴブリンの武器には毒があった・・・、
そう信じこまされた四人は、慌てて回復術師のライラに、
必要以上の治療を要求しだした。
かくして、ダンジョン序盤にしてライラは、
その魔力を予想外に消費する事になったのだ。
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私が何より気を付けたのは、
あらゆるものを収納するアイテムボックスの秘匿だった。
復讐を計画したその時から、
私は自分が、アイテムボックスの所有者という事を、
周りの誰にも知られないよう、細心の注意を払ってきた。
『金色の六翼』がそれを知ったなら、
間違いなく、私を亡きものにしてでも、この希少品を手に入れようとしただろう。
だから、私は冒険者になってからこれまで、必死にその存在を隠してきた。
私の復讐を実行するには、
このアイテムボックスは絶対に必要なものだったからだ。
そう、その中に、
ノックを殺すための矢も、死んだ彼から奪った剣も、
すべてこの中に収納していたのだ・・・。
――ノックが死に、その手からドワーフの人形を見つけると、
四人は不安げな顔になった。
ここで引き返されてはまずいが、
私はそれほど心配していなかった。
案の定、彼らの半分以上が、
『依頼達成が速いほど報酬が上がる』という餌に釣られて、
先に進むほうに気持ちが傾いていた。
先に進むか、引き返すか、
リーダーのウーゴが多数決を提案した。
結果、引き返す方に手を上げたのはライラだけで、
私を含む五人が先に進むほうに上げた。
――先に進むことが決まった。
この時、私は彼らを近道へと案内した。
凹凸の激しいその道の歩きにくさに、
文句を言いだす者もいたが、
「今日一日で依頼を終わらせるためには、
出来るだけ早く進まないと・・・」
そう言って、私は彼らを進ませた。
狙い通り彼らは疲弊し、
階段近くの安全地帯に着くと、皆が私に水を要求してきた。
この時私は、
リリアンに渡した水筒に一服もっていた。
ノックに使ったような毒とは違う、
意識を朦朧とさせる薬だった。
皆が階段を降りていった後、
一人残ったリリアンを殴り殺すのは簡単だった。
私はアイテムボックスにリリアンの死体を収納すると、
彼らに遅れて階段を降り始め、
その途中で死体を取り出し置いた。
まるで階段を転げ落ちたような姿勢にして・・・。
――私はすぐに、
先を降りる彼らに合流し、
一緒に下へ着いた。
しばらくして、彼らはリリアンが来ないことが気になり、
今降りてきた階段を引き返す事にした。
彼らはリリアンの死体を発見し、
状況から転げ落ちて頭を打ったと判断した。
その手から、私が握らせた二体目の人形を発見すると、
さすがに皆の動揺は大きくなった。
そして、
ドワーフについた焦げ跡の意味に気づいたライラがその事を口にすると、
彼らの顔に恐怖の色が浮かんだ。
――そう、
これこそが、私の計画の真の目的だったのだ。
ただ彼らを殺すだけではたらない・・・。
彼らにはっきりと、私の兄を殺した罪を思い出させ、
その罪ゆえに今度は自分達が殺されるのだという・・・、
そんな死の恐怖を存分に味合わせてから、
ゆっくりと一人ずつ、地獄へと送ってやるのだ・・・!
【つづく】
『君』は読み進める。
今はただ、ひたすら先を読み進める。
――それでも次の回に行く前に画面を下にスクロールして、
『いいね』や『コメント』を入れるのを忘れることなく……。




