わたくしを追放したクソ王国、なかなか大変のようですわね。
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一方そのころ、
フローレスを追放した側の王国では・・・。
「何という事だ・・・!」
王子エスイクスの父、
すなわち国王は会議の場で頭を抱えていた。
「新しく現れた『聖女』が、
力を失ってしまうとは・・・!」
周りの重鎮達も動揺している。
「一体何が原因なのでしょう・・・。
先日、大聖堂において確かに『力』が確認されたというのに・・・」
「それが日を追うごとに少しずつ衰えていって・・・」
彼らの言っている『聖女』とは、
王子エスイクスがフローレスから乗り換えた相手、
ヒルルの事である。
エスイクスやヒルルの通う学院では、
授業の一環として、大聖堂で祈る時間がある。
そこで司教達が、祈る生徒たちの中から『聖女の力』を放つ、
ヒルルの存在を認め、すぐに王家にも報告されたのだ。
だが・・・、
それはヒルル本人の『力』ではなく、
実はフローレスのものだったのだ。
――それより遡ること数日前、
ヒルルが自業自得で階段から落ちて命も危ない状況となり、
それをフローレスが『聖女の力』を限界まで行使して救った、
という話は以前にも語ったが・・・。
その時に注がれた『力』が、
ヒルルの身体にしばらくの間残っていて、
それを周りがヒルル本人のものだと誤解してしまったのである。
だが、この真実は誰も知らない。
周りはもちろん、
ヒルル本人でさえ自分が『聖女の力』に目覚めたと信じ込んでしまったのだ。
新しい『聖女』の誕生・・・!
そのため、彼らはあっさりフローレスを追放したのだ。
たおやかな美の象徴たるべき『聖女』らしからぬ、
無様なやり方でしか国を守る結界を張れないフローレスを・・・。
「王よ、いかがいたしましょうか。
もうすぐ結界を張りなおす時期・・・」
「今の結界が消える前に、何とかヒルル様に『力』を取り戻していただかねば!」
「万一、結界を失う事態におちいったならば・・・、
我が国は、魔物どもの脅威にさらされる事に・・・」
「むう・・・」
焦る重鎮達の言葉に、王は答えようがなかった。
そんな王の様子に、
周りの目も段々と冷たくなっていく。
「――だいたい、王子が婚約破棄などされなければ・・・」
誰かがそうつぶやいたのを皮切りに、
醜い責任転嫁が始まった。
「たしかに・・・。
王子があのような行動を取られなければ、
誰もあのフローレスを追放しようなどとは思わなかったはず・・・」
「今にして思えば、あのパーティーでも、
さもフローレスがヒルル様に陰湿なイジメを行っていたように、
仕向けていたような気がするのだが・・・」
「そう、あの話がなければ、
我々もきっと、王子の発言をいさめていたはず」
「うむ、こぞってフローレス追放に賛成することもなかったのに・・・!」
小声のつもりのようだが、
彼らの言葉はしっかり王の耳にも入っていた。
だが、王は何も言わなかった。
彼自身、エスイクスの行動を許した一人なのだから・・・。
――その後、王は王子エスイクスの愚行を厳しく叱り、
重鎮達も非難の目をもって、王子を迎えた。
そんな周りの手のひら返しを、
理不尽と感じたエスイクス。
すっかり気持ちのささくれた彼は、
その悪感情をヒルルへの怒りという形で発散させた。
城内に用意されたヒルルの部屋で、
二人は滑稽に言い争った。
「この偽聖女め!
よくもだましてくれたな!」
「そんな・・・、エスイクス様、
わたしは何も・・・」
「黙れ!!
お前のせいで僕は、僕は・・・!」
「ひどい・・・!
わたしが一体何を・・・」
「お前が僕に言い寄ってこなければ、
本物の『聖女』を追放などしなかったのに・・・」
「何をおっしゃるのですか!
本物の『聖女』はこのわたしです!
あんな地味な成り上がり女が次期女王になるなど、
図々しいにもほどがありますわ!」
「・・・なるほど。
そうだったのか」
エスイクスは気づいた。
この女、ヒルルは自分のことが本気で好きだったのではない。
ただ自分の妃となることで、
女王の座につきたかっただけなのだ、と・・・。
エスイクスは部屋から出ていこうと扉を開けて、
最後に捨て台詞のように言った。
「結界が消えるまでに、『聖女の力』を見せてみろ。
出来なければ、今度はお前を追放する」
「そんな・・・!
待って、エスイクス様・・・」
慌てて追いすがろうとするヒルル。
だが、エスイクスは聞く耳を持たず、
そのまま扉は乱暴に閉められた・・・。
【つづく、ですわ】
『君』は読み進める……。
(そうそう、イジメっ子はちゃんと痛い目にあわないとね。
物語の中でも、現実でも……。
もしかして、作者もイジメを受けたことがあるのだろうか。
だとしたら……、本当に可哀そうだ。
せめてこうやって描くことで、その傷が癒されてほしい。
――そんな作者の描いたこの物語……、
『いいね』や『コメント』でしっかり応援してあげよう。
この応援で作者が癒されるように……)




