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幼馴染の意地  作者: ヤマネコ
42/43

中学生(40)

ブクマありがとうございます!


遊園地に遊びに行ってから数週間が経つ。7月中旬辺りから始まった夏休みだが、それが今は8月中旬となっていた。それまでの日々は、基本的に健也の受験勉強が中心で、余った時間2人で少し外を出かける、ゲームで遊ぶなどと過ごしていた。時々鳴海が体調を崩すことがあったので、外に出る回数もそこまで多くなく、夏休み中に遠出をしたのは遊園地くらいだ。吉良と愛奈とはメールのやり取りをするが、それでも4人で会うことはなかった。1度くらい会った方が良いのではないかと思ったが、愛奈が忙しいようで、4人で集まることは無理みたいだ。


今日は温泉旅行に行く準備をしていた。行くのは数日後、場所は同じ所で、前回と同じ一拍二日となっている。お金は貯金を崩していくことになった。金銭的な面の問題はなく、後は鳴海の体調と、天気や自分達以外に来る客次第だろうか。まぁ、天候も客も自分たちの力ではどうしようもないので、祈ることしか出来ないだろう。


鳴海「今日買い物に行きたいかな」

健也「そうか。俺は付いていった方が良いのか?」

鳴海「ううん、1人で行くよ。もし何かあったら連絡する」

健也「分かった、行ってらっしゃい」


鳴海は小さな鞄を持って出かけて行った。健也は玄関まで見送って鳴海の姿が見えなくなった後に大きく息をつく


健也「あと10日くらいしかないのか」


健也の言う通り、後10日程度で夏休みは終わってしまう。恐らく旅行を終えたら……


健也「勉強するか」


鳴海がいない時こそ、勉強をして少しでも出来るところを増やして安心させたい。それが今の健也に出来る数少ないことだろう。頬をぴしゃりと叩いて気合を入れ直すと、勉強机の前に座って、先日の小テスト(20問中12問正解)の間違えたところを復習してから、出来ていない部分の混乱するようなところを勉強することにした

















一方鳴海は


鳴海「……っはぁ、結構……しんどいなー」


歩くのも結構体力を消耗してしまった。遊園地に行ってから体力の消耗が大きくなっているような気がしたが、それでもここまで消耗するとは思えなかった。歩く・走ること自体は出来るが、身体が重いことに変わりはない。嫌でも期限が来ていることを分からされてしまう


一度ベンチに座って休んで体力を回復させる。歩いている人達を見ると、少し憂鬱になった。あと数日で自分はこの景色の1人となることはないだろう。あるとしても、今、ここで座っている自分はいない。そのことに気分が沈む。


覚悟はしていたことだ。奴らと契約をして、お願いを叶えてもらう代わりに自分は消えてしまう。本当はもうここにはいない、色々なことが重なり、今ここまで延命していることが奇跡だ。頭では分かってはいるけれど……それでも処刑が先延ばしにされた罪人の気持ちみたいなものは変わらない


「ははは、今日は可愛いな」

「やーん」


近くにいる男女2人組を見て、思わず顔をしかめてしまう。


っち、何イラついてんだ。あの人達は何も悪くない……


「鳴海さん?」


鳴海「?」


顔を上げると、そこには璃子がいた


璃子「あぁ、やっぱり。体調悪いの? 大丈夫?」

鳴海「璃子さんか、久しぶり。少し疲れたから休んでいるだけだよ」

璃子「そうなの? 大丈夫なら良いけど……」

鳴海「うん」

璃子「……良かったら隣に座っていいかな」

鳴海「良いよ」

璃子「じゃあお邪魔します」


璃子は遠慮がちに鳴海の隣に座る


璃子「鳴海さんは志望先決まった? 私は健也さんと同じ所になりそうだよ」

鳴海「まだ」

璃子「あれ、そうなの? もう8月も終わりだよ」

鳴海「知っているよ。迷っているの」


本当は志望先なんてないが、適当に学校の名前を言っても面倒になりそうなので、適当に流すことに


璃子「そっか、まぁ高校3年間は大事だもんね。それだけ真剣ってことか」

鳴海「どんな高校生活を送りたいの?」

璃子「優しい男の子と素敵な恋をしてみたいかな」


そんなどこにでもあるような願いを当たり前に呟く璃子の言葉を聞いて、思わず笑ってしまう


璃子「な、笑う事ないでしょうー?」

鳴海「ごめんごめん、素敵な考えだなって」

璃子「馬鹿にしている?」

鳴海「いやいや、出来ると良いね。ちなみに男の知り合いって誰がいるの?」

璃子「健也さん。他はいない」

鳴海「じゃあ健也君と仲良くなればいいんじゃないかな?」

璃子「え、健也さんは鳴海さんと付き合っているんじゃないの?」

鳴海「健也君がそう言っていたの?」

璃子「……いや、見ていてそんな感じがしたから」

鳴海「安心して、付き合っていないから」

璃子「何で私が安心しないといけないのよ……」

鳴海「なんやかんや気になってはいるんじゃないかなって思った」

璃子「……」

鳴海「意外と乗り気なのね」

璃子「初めて出来た男の知り合いが彼だから」

鳴海「言い訳?」

璃子「じゃないよ、事実」

鳴海「璃子さんなら安心して付き合えると思うよ。あれでポンコツな部分があるけど、しっかりと思いやってくれる気持ちがあるから」

璃子「そうなんだ……」

鳴海「私はもう行くね」

璃子「あ、うん。またね」

鳴海「……璃子さん」

璃子「何?」

鳴海「さようなら」


鳴海は璃子にそう言って、一度も振り返らないで人ごみの中に消えていった。置いていかれた璃子は、消えていった鳴海の方角を見て


璃子「またねじゃなくてさようなら?」


鳴海なりの冗談なのかなと思って、璃子は立ち上がり近くにある出店で買い物をすることにした















ショッピングモールに着くと、女性下着売り場に着いた。


鳴海「……まぁ、もしかしたらするかもしれないし、最後くらいそれくらいさせてあげた方が良いよね。これまでの謝罪と感謝の意味で……どれが好きかな……」


沢山置いてある下着売り場を1人でウロウロする。中には「勝負下着!」というエリアがあり、そこはカーテンで仕切られており、外からは見えないようにされている。せっかく使うんだし、ちょっと派手な感じでもいいかもしれない


そう思った鳴海はそのカーテンの奥に入った。中にある下着は、外に置かれているような清楚やちょっぴり派手な感じではなく、パンツの足と足の付け根の間の部分には穴が切り込まれており、他にもヒラヒラとした感じや、ほぼ紐の物まである。水にぬれると透けるような物まで置いてあり、値段は総じて高めだが、夏を過ぎれば、自分にとっては金の価値は無くなるので、持っているお金を思いっきり使うつもりでいた。しかし、どれがいいのか想像よりも難しくて悩んでしまう


悩んでいると、隣に誰かがやって来た。店員さんかなと思ってチラッと見ると、そこには会いたく人がいた。近いうちに会うことになるだろうけど、それでも会いたくない人だ


???「ニヒヒ、やっぱここに来たねー♡」

鳴海「……」

???「ちょっと、そんな嫌な顔をしないでよ。私も下着選び手伝ってあげようかなって思ったのに」

鳴海「…別に。私だけで選ぶから良いよ」


声を掛けてきた女性は、中学生の鳴海とほぼ体格が変わらず、親し気な笑みを浮かべているが、実際はそこまでのお人よしではないらしい。これは他のメンバーから聞いた話なので真偽は不明だが、感覚的に真だと思っている


???「健也君とHなことするつもりなんでしょう? なら男の子ががっかりしないような物を選ばないと、がっかりされちゃうよー♡」

鳴海「経験あるの?」

???「……」

鳴海「どっちでもいいけどさ。なんかそっちやけに協力的だよね。けん君の両親とか手の回しが早いなと思っていたけど」

???「そんなことはどうでもいいでしょ。それよりも下着だよ、下着」

鳴海「……はいはい。どれが良いのかな…」

???「こういうのはどうかな?」

鳴海「ガーターベルト付きか……。Hだね」

???「そうかしら、似合うじゃないの?」

鳴海「まぁ候補ってことで、他にはあるかな?」

???「あとは……これとか」





それから鳴海は女性と一緒に下着を選んで購入した。鳴海はその女性と別れると、少し離れた所から2人の女性が近づいてきた。


1人は鳴海と話していた女性とほぼ体格が一緒で無表情だ。手にはどこかのファーストフードで買ったのか、フライドポテトの容器を持っており、空いている手でフライドポテトをむしゃむしゃと飲み込むように食べていた。


もう1人は手にファッション雑誌を持っており、ギャルっぽい格好をしている。3人の中で一番体格が大きくて、眠たげな眼で2人を見ていた。良く見ると目の下に少しクマがある。疲れているようだ。


女性はその2人と合流して話し始める



下着選びを手伝った女性「私にも分けてよ。疲れた」

フライドポテトを食べている女性「嫌」

下着選びを手伝った女性「は?」

フライドポテトを食べている女性「あ?」

ギャルっぽい女性「まぁまぁ、2人とも。それよりも珍しい。自分から動くなんて」

下着選びを手伝った女性「№12の子と選んだ時のことを思い出してねー。あの時は学生……いや学生を体験していた時の懐かしさを体験したかったのよ」

フライドポテトを食べている女性「ほー」

ギャルっぽい女性「まぁまぁ、じゃあ行こうかー」


3人の女性は人ごみの中に消えていった















鳴海「下着は良いとして……あとゴムは……あの時の旅行で用意されていたものを取っていたか。いやでもどうせいなくなるし、生で出してもらう方が嬉しいのかな……。男の人は生の方が気持ちいいって聞くし……妊娠したら大変だけど、もう自分の身体じゃなくなることを考えれば……うーん、迷うなー。でも生は……少し怖いなー」


ショッピングモールを出て健也家に帰っている途中に、公園を見つける。その公園にはブランコがあり、3つの席が空いていた。空いていないのは一番右で、残り3席は空いているという感じだ。そこに座っている子には見覚えがあった。


その子は鳴海が公園に入っても、振り返らない。遊具で遊んでいる時、誰かが公園に入ってきたら誰が入ってきたのか一瞬だけでも確認することがほとんどなのに、その子は何も反応しない。ブランコの椅子に座ってはいるが、それでも漕いでいるわけでもなかった。


鳴海は左から2番目、右から3番目の席に座る。その子は隣に座った鳴海を見てこう言った


???「元気そう……とは言えなさそうね」

鳴海「こうして会うのは久しぶりなのかな」

???「その額を見るに、久しぶりと言った方が良さそうだけどね」

鳴海「こんなところで何をしているの、愛奈」


愛奈の手にお菓子の袋を持っていた。それを見て鳴海は思い出す


鳴海「あぁ、確かあの時もそれを持っていたよね。いや違うか、けん君が無理やり渡したのを受け取ったんだっけ?」

愛奈「良く覚えているわね……。あの時鳴海さ、健也が私にお菓子を渡そうか悩んでいた時、わざと上体を前のめりにして私を自分の身体を壁にして隠したでしょ」

鳴海「なんのことかなー」


(第2部、小学生2の話)


愛奈「まぁ、あの時はそこまで気にしなかったけど、中学生になってから意味が分かったよ。性格悪いなここの女はって」

鳴海「はぁー、愛奈に言われたくない。あれ、愛奈ってけん君のこと好きなの?」

愛奈「さぁ? 少なくとも嫌ってはいないよ。それよりも……何それ。何を買ったの?」

鳴海「服」

愛奈「へー、どこか出かけるの?」

鳴海「まぁねー」

愛奈「……そういえば、こうしてここで2人きりで会うのは何気に初めてよね。何だか感動的だなー」

鳴海「思ってもいないことをペラペラと……というか良く生きていたね。てっきり殺されているかもしれないと思っていたよ」

愛奈「私がそんなヘマをすると思っているのかしら?」

鳴海「そうね。愛奈は食えない奴だもんね……ゴホっ」

愛奈「あら風邪……じゃなさそうね」

鳴海「心配どうもありがとう。愛奈は進路どうするの?」

愛奈「進路? なんでそんなことを聞くのやら」

鳴海「世間話よ」

愛奈「へー、珍しい。まぁいいわ。多分もうそんなに長くないんでしょ鳴海」

鳴海「……」

愛奈「そうなんだ……何気に楽しかったんだけどね。鳴海と一緒に過ごすのも……」

鳴海「私のことは良いでしょ? ほら、会話しろ」

愛奈「はいはい、進路は決まっていないわね。まぁ、どこかにいるんじゃないの? もし会うとしたらそれはあの世だろうね。あるのか分からないけど」

鳴海「……吉良君は?」

愛奈「私の知っている限り吉良は何も関係ないはずだよ。もしかしたらどこかで関係しているかもしれないけど、あいつはビビりだからなんやかんや生き延びているんじゃないかな」

鳴海「ビビりね……」

愛奈「何よ、何か言いたげね」

鳴海「肝試しで怖がらせようとか提案したのは愛奈でしょ。あれが無ければまだビビりにも拍車がかからなかったんじゃないの」


(第8部、中学生6の話)


愛奈「でもあれはあれで吉良の助けになったよ。興味本位で事件に突っ込もうとしなくなったから。日常生活を送るならあんな危ない事件を追うのはやめておけってことよ。この世には知らない方が幸せなことなんて腐るほどあるから」

鳴海「……結局愛奈は何者なの?」

愛奈「バーカ、あんな危ない連中と知り合っている鳴海に教えるわけないでしょ」

鳴海「それもそうね。知らない方が幸せだろうし……いや、まだマシだろうし」

愛奈「早速活かせているようで、お姉さん安心したよ?」

鳴海「っは、言ってろ」

愛奈「帰るの?」

鳴海「うん、もうすぐ帰らないと……」


鳴海は立ち上がって公園から出ようとすると、愛奈から話しかけられた。それに振り向かないで言葉だけ聞く


愛奈「じゃあね、こんなことになっちゃったけど、さっきの鳴海といた時間は楽しかったっていうのは本心だよ。もしまたあったら、その時はよろしくね」

鳴海「……私も、愛奈みたいな奴と会えて、中々楽しかったよ」

愛奈「さようなら」

鳴海「えぇ、さようなら」


愛奈の方に振り向かないで、健也家に目指して歩き始めた















お昼から少し遅れたころには帰ろうと思っていたが、思ったよりも帰りが遅くなり、空も暗くなっている。健也家の鍵を鍵穴に回してガチャンと開ける。ドアを開けると同時に、奥からドタバタを駆け寄ってくる足音が聞こえてきた。それを聞いて笑ってしまう。別にそこまで焦らなくてもいいのに……だけど焦ってくれるのが嬉しい気持ちもあった


健也「お帰り、遅かったね。ご飯出来ているよ?」

鳴海「ありがとう。ごめんね、遅くなって。買い物に夢中になってさ」

健也「それにしては荷物が少ないような……」

鳴海「買うよりも悩んでいる時間が長かったからねー。女の子の買い物の時間は長いことを覚えておきなさいー」

健也「はは、そりゃぜひ体験したいね」

鳴海「バカにすると足が棒になるからね~? 割と本当に」

健也「はいはい。それより手を洗ってうがいして。ご飯を一緒に食べよう」

鳴海「簡単に流すよねー……」


健也は奥の方に行ってしまう。それを見てまたクスリと笑ってしまう。重たい身体に鞭を打って、何とか買った下着がバレないように部屋に隠す。当日のお楽しみを奪うようなことをしたら落ち込ませてしまうだろうしね……


下着を隠した後は部屋着に着替えて、健也と一緒にいつものように夕食を食べた



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