中学生(30)
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健也「暇だな」
璃子とメールのやり取りをしているが、最初は頻繫にメールしたが、時間が経つとメールのやり取りをすること自体が無くなって来た。送ってもお互い遅れて返信をしているので、会話というよりは報告をしているような感じになっており、やはり人と会わないとどうしても距離が出来てしまうのは避けられないらしい。
璃子に送ったメールに既読が付き、返信が返ってきたが、一緒に勉強をしないかと誘われた
健也「一緒に勉強ね……」
もうすぐで新学期が始まる。本格的に受験生が重い腰を上げて勉学に励み、苦しみ、嘆き、憂鬱になる時がやって来た。場所はどこでするのかと言うと、志望校の近くにある図書館にしないかと提案された。璃子も住んでいる所は、志望校から近いらしく、健也も近いので、比較的会いに行くにはハードルが低かった。数秒迷ったものの、了承の返事をして鞄にノートやら参考書を入れて、家を出ようとするとスマホに通知が鳴る。誰かと思い確認すると鳴海からだった。内容は「良かったら一緒に勉強をしないか」というものだった。先に璃子と約束をしているので、今回は申し訳ないと思い断る。返事は「わかった」と返されただけだった
健也「もう少し何か言い方を変えた方が良かったかな……」
そうは思っても送ってしまい既読が付けられた時点でどうしようもない。気を取り直して璃子と待ち合わせている図書館に向かった
図書館に到着。館内では原則携帯電話の使用は禁止されており、PCやタブレットも禁止されている。入り口まで待ち合わせることになっており、入り口付近を見るが、璃子の姿は無かった。しばらく会っていないし、どのような顔をしていたのかぼんやりとしていて思い出せない。
健也「確かピンク色のパンツをしているか確認すれば良いんだよな?」
そんな確認方法を使えば警察を呼ばれかねないが、顔をいまいち覚えていないのでこうするしか方法が無いと思ったが、今はスマホがある。これさえあれば確認は容易だ。そうだよ、パンツの色を見て確認しようとか……危ない人じゃないか……
待っていると、遠くから小走りにやって来た女の子を見つける。その顔を見て、ぼんやりとしていた顔がはっきりとした
璃子「お、おまたせ」
健也「おー、ひさしぶ…り」
璃子「何その顔」
健也「あ、いや、久しぶりだからなんかな」
璃子「何か?」
健也「今日は制服じゃないんだな」
璃子「あの時は学校が終わってそのまま直行したからねー。何、制服が好きなの?」
健也「いや、初めて会ったのが制服姿だから新鮮だなーって」
璃子「…それ、受け取る側からしたら結構困る言い方だよね」
健也「そうか?」
璃子「…まぁ、いいよ。早く中に入ろう」
健也「ん」
璃子はスカートではなく、ズボンを履いていたので下着の色を確認する方法は使えない。こうなったらズボンから見える下着のラインで色を当てるしか………
いやいや、何を言っているんだ俺は……。くそ、これも吉良の所為だ。吉良と一緒に見た動画で、初心な頃の自分を思い出して、下着に意識をしてしまう。吉良の所為だ、全部吉良が悪い(吉良は何も悪くない)。でも……あいつも最近目を手で当てて隠さないで見られるようになってきたし、今回は許そう(そもそも許すそうなものではない)。
2人で中に入り、空いている席を探す。冬休みの短い期間に図書館に来る人はそういないだろうなと思っていたが、思ったよりも席が埋まっていて多少驚く。2人で空いている席を見つけて隣り合わせになって座り、持ってきた荷物からノートや参考書を取り出す
健也「何やるの?」
璃子「私は英語をやろうかな……」
健也「じゃあ俺も英語にしよう」
璃子「私に合わせなくても良いんだよ?」
健也「合わせてないよ。俺も英語は苦手だから」
璃子「どこが苦手なの」
健也「全部」
璃子「…英語の成績悪いの?」
健也「学校の試験では良くも悪くも無い。ただ、模試だと一番低い」
璃子「あー、学校の方はぶっちゃけ暗記だもんね」
健也「そうだね。あまり英語の実力をしっかりと確認できないんだよな。教科書の内容を覚えていれば、赤点はなんとか回避できる程度に作られているからな」
璃子「そうそう、だからって実力問題を解かされるのも嫌なんだけどね」
多くの受験生が嫌がる科目第一位、英語(偏見)。普段使わない言語であり、文法や単語を覚えられない、混乱する。小さいころから英語をやらせて出来るようにするという方法もあるにはあるが、それでも出来ない人は出来ない。
中にはリスニングが全く出来ない人もいる。リスニングの練習を何度もしても、全く聞き取ることが出来ない。試験だから出来ないのが悪いというのは分かるのだが、それでも何度やっても聞き取れないのはつらい。試験によってはリスニング:その他=5:5になることもあり、リスニングで一問を当てることが出来ないこともある。選択肢は4択とは言え、正解する確率は25%と低く、外れの75%を引き続け、0点になることもあり得る
璃子「英語無くなれば良いのに」
健也「日本語を学ぶ外国人からしたら、日本語が無くなれば良いのにと思っているだろうよ」
璃子「それは分かっているけどさー」
2人で英語の勉強をしていく。健也と璃子の周囲には比較的人が少なく、こうして小声で話すことも出来た。図書館なので大きな声で話すわけにもいかず、話すとしたら出来る限り小さな声で話すわけなので、当然2人の物理的な距離は近くなる。璃子は健也と話すとき、頬と頬が握りこぶし一つ分くらいまで近づいて話してくるので、少し顔を赤くしてしまう。
それから2人は休憩をはさみつつ、勉強をするが、健也はあることに気付いた
健也「…なんでここに……」
璃子「どうしたの」
健也「いや、なんでもない」
健也と璃子から少し離れた席に鳴海が座っていた。璃子の座り位置からは、鳴海の前や横、斜めにいる人達が座っているせいで壁となり、見ることはかなり難しそうだが、健也の位置からだと、そこには割って座っている人がいないので、鳴海と直に視線が合う。そもそも璃子と鳴海は接点がないはずなので、知ることすら出来ないだろうが……。鳴海は手元に参考書やノートを開いてはいるが、ペンを持っておらず、頬杖をついて健也を見ている。そして健也を見る鳴海は、眉間にしわを寄せていた。
参考書やノートを見て、眉間にしわを寄せていれば、何か解けない問題にあって苦しんでいるか、それとも何か違う方式や単語が混ざって混乱しているのかと思うのだが、鳴海は健也を見てそんな顔をしている
どうしてあんな顔をしているんだ……何か怒らせたか……? ま、まさか吉良の奴、この前のお泊りの事を鳴海さんに話して、それで軽蔑をしているとか……? いや、それでも、ここにいる説明にはならないよな?
璃子「どうしたの? 健也さん」
健也「え、あぁ、なんでもないよ」
璃子「?」
璃子は不思議そうな顔をしていたが、休憩で疲れが取れたのか、気合を入れ直して問題集と参考書を見比べて解き始める。健也も気を入れ直して問題を解くが、鳴海の視線が気になり、少しだけ顔を上げると、鳴海は顔を下に向けて問題を解いていた
健也「っほ」
璃子「?」
健也「なんでもない」
不機嫌そうな顔をしていたのは、難しい問題を解いていたからだろう。その時偶然自分と目が合った。ここにいるのは1人で勉強をしに来たのだろう。うん、何もおかしいところは無いな
疑問を解消し、集中して問題を解いていく。途中、回答を書き間違えて、近くに置いてある消しゴムに手を伸ばすと、誰かの手が自分の手に乗っかった。横を見ると、璃子も「あ」という顔をしているが、すぐに手を放す。
璃子「それ私の」
健也「え」
良く見ると、手に持っていた消しゴムは璃子の物であり、健也の消しゴムは反対方向に置いてあった。同じ消しゴムを使っているようで、間違えてしまったようだ。
健也「ご、ごめんなさい」
璃子「う、ううん、大丈夫」
璃子は男性に免疫がない。少しのことで怖くなり、顔を赤くするらしい。健也には耐性があるとは言え、それでも直接手と手を重ねるような行為を、偶然とは言え、自分からしたのだから相当の羞恥心があったようだ。気を取り直して、璃子の顔からノートに視線を移す間に、どこからか視線を感じた。周囲を見渡すと、鳴海が不機嫌そうな顔をして健也を見て……睨んでいる
璃子「どうしたの?」
さっきから健也がチラチラとどこかを見ているのか気になったのだろう。璃子が健也を見て話しかける
健也「いや、そういえば今何時かなって思って」
璃子「そろそろお昼ごろだもんね」
健也「そうだな」
璃子「お昼どうする?」
健也「一応お金は少し持ってきたからどこかで食べるならそれでもいいけど」
璃子「じゃあそうしようか。私はもう少しキリが良いから少し待ってくれる?」
健也「分かった」
問題に集中しようとするが、鳴海のことが気になり顔を上げる。鳴海は健也を見ていないで、問題を解いているようだ。こっちが見ようとしたら顔を合わせなくて、こっちが見ていないときは見られているようで、なんだか一方的に攻撃されている気分だ。問題を解こうと思ったが、全然集中して解くことが出来ず、今日はもうやめることにした。璃子の勉強が終わるまで、何となく隣にいる璃子を眺める。
璃子「…」
真剣な顔だ。初めて会った時は、怯えた顔・必死な顔(コンタクトを落として目が見えていなかった)、笑った顔(健也のくだらないこと、ナス)、戸惑った顔(志望校の演劇の練習光景、野球)を見たが、真剣な顔は初めて見た。こんな状態で参考書を見ても、見た内容が数秒で忘れてしまうので、隣にいる璃子を見続ける。
また視線を感じた。鳴海の方を見ると、鳴海は丁度顔を下に向けていた。鳴海が顔を上げるまで、鳴海の方を見続けるが、鳴海は顔を上げないで、手に持っているペンをノートに走らせている。鳴海から璃子に視線を移すと、丁度璃子も顔を上げて健也と目が合った
健也「…」
璃子「…何?」
健也「何って」
璃子「さっきからジッと見て。何か付いているの?」
健也「いや」
突然背筋がゾゾゾとなる。鳴海の方を見るが、鳴海は健也達を見ていない
健也「…」
璃子「私はもう良いかな。出る?」
健也「出ようか」
鳴海に挨拶しようか迷うが、鳴海は顔を上げてくれない。顔を合わせる気はないということだろう。璃子と席を立って、音を立てないように通路の端を歩いて、出口に向かう。歩いている時、鳴海を見ようと後ろを振り返ると、鳴海も健也を見ていた。頬をぷくーっと膨らませて不機嫌そうな顔をしていたのが気になった。
璃子「どこで食べようか」
健也「この辺だとそうだな……無難にファミレスとかじゃないか」
璃子「そうだね。慣れているお店の方が良いよね」
健也「うん、そうしよう」
2人で近くにあるファミレスに入って、注文を済ます
凛子「こうして誰かと一緒にご飯を食べるのはすごい久しぶり」
健也「そうなの、見た感じ誰かとよく食べていると思った」
璃子「何でそう思ったの」
健也「なんとなく?」
璃子「学校では友達と食べているけど、こうして外で一緒に食べるのはあまりないね」
健也「校外ではあまり会わないの?」
璃子「そうだねー、あまり会わないかなー」
注文した物が届く。2人分同時に来たので、一緒にいただきますと言ってから食べ始める
璃子「この後どうしようかー」
健也「もう勉強をする気はなくなったぞ」
璃子「それは私も。校長の話だと一日10時間はするようにとか言っていたけど」
健也「あー、うちも似たようなものだよ」
凛子「分かってはいるけど、10時間はきついよね」
健也「時間をかけても内容をしっかりと理解できていないと意味ないからな。それでも一つ一つの科目の範囲が広いし、応用問題も幅広いからそれを対策するとなると、それくらいかかるのも分かるんだけどな」
璃子「志望校の出題傾向に合わせれば、少しは楽になるけど、それでもキツイものはキツイよね」
健也「だなー、どこか行こうか。適当にプラプラ歩くか?」
璃子「そうだねー、お金もあまりないし」
健也「それうまそうだな」
璃子「少し食べる?」
健也「良いのか」
璃子「良いよ。えっと……食べさせた方がいい?」
璃子はフォークにパスタを巻き付けたまま固まっている
健也「いや、自分で食べるよ」
璃子「…」
健也「璃子さん?」
璃子「この前さ、男の耐性を付けたいって言ったことを覚えている?」
健也「ああ」
璃子「あーんさせるのって耐性を付けることになるのかな?」
健也「知らん」
璃子「ちょ、結構恥ずかしいことを言った自覚があるのに、その反応は酷くない!?」
健也「そう言われても……それって耐性つくのか?」
璃子「分からないから聞いているのに……」
健也「俺も分からない。そんなの璃子さん次第だから」
璃子「………試してみても良い?」
健也「良いぞ」
璃子「軽い」
健也「早く食べたいから」
璃子「そういうこと? 食いしん坊なの?」
健也「食べるの好きだよ」
璃子「はぁ……緊張していた私がバカみたいじゃない。ほら、口開けて」
健也「………」
璃子「何で恥ずかしがっているの!??」
健也「いや、いざとなると」
璃子「口開けて」
健也「はい」
璃子「………」
大人しく口を開けると、璃子は巻き付けたフォークを健也の口の中にゆっくりと入れる。健也は巻き付けられていたパスタを口で抜き取って、下に絡ませながら味を堪能する。
健也「美味しいな」
璃子「………」
健也「何、その顔」
璃子「いや、何か、慣れている?」
健也「何が」
璃子「食べさせられていること。介護されているの?」
健也「俺はまだ介護されるほど弱っていないぞ」
璃子「………餌付け?」
健也「されていません」
璃子「何か耐性というより……餌付けの練習をしている気分だった」
健也「練習にはならなかったみたいだな」
璃子「…もう一回良い?」
健也「ん」
口を開けて待つと、璃子は何とも言えない顔をしたが、すぐにさっきのようにフォークに麵を巻き付けて、健也の口に運び、それを食べる
璃子「美味しい?」
健也「上手い」
璃子「何か違うような?」
健也「俺からもやろうか?」
璃子「え」
健也「璃子さんはハンバーグ苦手?」
璃子「いや、好きでもないし嫌いでもないかな」
健也「食べてみる?」
璃子「あーんするの?」
健也「あー…、した方が良い?」
璃子「え、え、どうしよう」
璃子は顔を赤くしてアタフタとしているが、健也はそれを見て少しほほえましかった。不思議と璃子といる時間は嫌という感情はない
健也「ほらほら、どうしたー?」
璃子「これ食べれば耐性が付くのかな」
健也「試してみないと分からないな」
璃子「…」
璃子は黙って口を開けて、健也を見ている。恥ずかしいのか、両頬を赤くし、口も鯉のように小さくパクパクとさせている。ずっと同じ口の開け方を維持するのも難しいからそうなるのも当たり前だが、それでもなんか面白い光景だった。切っていたハンバーグを更に小さく切って璃子の口元に運び、璃子の口内に入れる。
肉を口内で絡めとった感覚がしたら、フォークを引いて璃子の口から離すと、フォークに少し透明な液体が上にあるライトに反射されて、少しだけテカテカとしていた
璃子「………」
健也「どうだ」
璃子「ムカつく」
健也「え、なんで」
璃子「その余裕そうな顔だよ。私と同じで異性には強い苦手意識があると思っていたのに、こういうことはホイホイ出来ちゃうの? 実は女たらしなの?」
健也「そんなことないよ。璃子さん以外にこういうことは出来る気がしない」
璃子「そういう発言が逆に女たらしにしか聞こえないって言っているの」
健也「じゃあどうしろと。確かに俺は女が苦手で怖いが、璃子さんといるときは怖くも無いし、安心もする。同じ異性への苦手な気持ちがあると感じたからな」
そういうと璃子は顔を真っ赤にしながら、黙ってパスタをフォークに巻き付けている。さっきよりも雑に巻き付けて豪快に食べているが、喉に詰まったのか咳き込み、水を慌てて飲んでいる
健也「暴飲暴食は良くないぞ」
璃子「誰の所為だと思っているの?」
健也「誰だ」
璃子「ん」
健也「指を指すな」
璃子「なんか、今まで少し遠慮していたけど、君相手だと遠慮すること自体が失礼なんじゃないかなって思えてきた」
健也「そんなに気を遣わなくていいぞ」
璃子「この男は……いや、まぁこんな変な男だからまだマシだと思ったのかな」
健也「変な男なんて失礼だ。俺はどこにでもいるような男だ」
璃子「そうなのかなー」
2人で話しながら食事を終えて、会計を済ましてお店を出た。街を歩く人々の2人となりながら目的地も無く歩き始める
璃子「なんかカップル多くない」
健也「気のせいだろ」
璃子「そうなの? 私の目がおかしいの?」
健也「あれはカップルだな」
璃子「判断基準は何なの」
健也「勘」
璃子「全く参考にならない意見をどうもありがとう」
健也「カップルって外に遊びに行くときどこに行くんだろうな」
璃子「え、そりゃあ学生なら、ゲームセンター・カラオケとかが無難じゃないの」
健也「そうなのか」
璃子「いや、知らないよ。私は友達からそういう話を聞いたことがあるだけ」
健也「なるほどな。そうだな、璃子さんが耐性を付ける場所を探すのもありかもな」
璃子「探す?」
健也「耐性を付けたいんでしょ、なら場所も大事じゃないかと」
璃子「はー、言いたいことは分かったけど……、場所ねー」
健也「男に耐性が無い……、2人きりの空間はハードルが高いよな?」
璃子「そう……だね……、2人きりの空間は辛いかな」
健也「今日みたいに図書館とかファミレスは問題ない?」
璃子「健也さんが一緒なのが大きいかな。確かに場所も重要だけど、何より相手が一番大事でしょ」
健也「それは分かっている。だけどそれは今話してもキリがないから、今回は場所について話そうよ」
璃子「そうね、確かに。2人きりの空間にならないような場所となると……」
健也「コンビニとかスーパーマーケットとかは」
璃子「家庭的だね」
健也「だけどコンビニは気軽に入ることが多いだろう。店内も店員さんとお客様がいることがほとんどだし、親しみやすい場所だと思うが……」
璃子「そう……かな……うん……検討しておくよ。スーパーマーケットはもう完全に家庭的だわ。一緒にご飯を食べる仲じゃないと無理だからハードルが高く感じるよ」
健也「なるほど、後は公園、映画、ショッピングモール、喫茶店かカフェ、水族館、遊園地、屋台とかか?」
璃子「あー、うーん、えー、あー、どうだろうね」
健也「行けそうな所行ってみるか?」
璃子「今から?」
健也「1か所は行けると思うよ。あ、でも、金が無いから、映画、水族館、遊園地は無しね」
璃子「そう……残った中でハードルが低そうなものは、公園とか?」
健也「この辺に公園あったかな」
璃子「場所把握していないのにそう言ったの?」
健也「璃子さんの耐性を付けるためだ」
璃子「………」
璃子は顔を下に向かせた。少しだけ耳が赤いような気がしたが、すぐに顔を上げる
璃子「あ、ねぇ、あれ」
璃子が指さした場所には、大きな地図が表記されていた。現在位置は赤く塗りつぶされており、近くに何があるかが書いてある。ショッピングモールや公園も近くにあるのを見つける
健也「どうする?」
璃子「…どうしようか」
璃子はこう言っているが、ショッピングモールがある方向をチラチラと見ている
健也「ショッピングモールにするか」
璃子「っ、そうね」
ショッピングモールなら人も沢山出入りしているため、完全に2人きりになるのはそうそうないだろう。2人でショッピングモールに向かって、耐性を付ける場所がショッピングモール内にあるかを話しながら2人で歩いた。想像していたよりも楽しい時間を過ごすことが出来た
良い時間になったので、今日はもう解散することになった。空は夕方になっており、あと30分程度経てば、そのうち真っ暗になるだろう。
璃子「今日はありがとう、良いリフレッシュになったよ」
健也「俺も、楽しかったよ」
璃子「そうなの女たらし」
健也「おい」
璃子「あはは、冗談だよ」
健也「まぁ、璃子さんが元気になったから良かったよ」
璃子「一応聞くけど、それ狙っている?」
健也「何をだ」
璃子「………」
健也「え? え?」
璃子「何でもない。それが健也さんなんだね。気を付けなよ?」
璃子は健也よりも数歩前に進んで、くるりと健也の方に振り返る
璃子「自覚が無いと、いつか刺されるかもよ?」
健也「何をだ?」
璃子「じゃあね。今日は楽しかったよ。ここで解散ね」
健也「え、あぁ、おい?」
璃子「バイバイ~」
健也「うん、バイバイ、じゃなくて、どういうことだ?」
問いかけても璃子は笑いながら遠ざかって行く。彼女が遠ざかって行くのが見えなくなるまで手を振り、完全に姿が見えなくなったのを確認したら健也も家に帰った。
家に着いて食事と風呂を済まし、夜遅くに鳴海からメールが来た
鳴海『図書館に一緒にいた女の子って彼女?』
健也『違う、友達だけど』
鳴海『良かったー、邪魔しちゃったらどうしようか焦ったよー』
健也『いやいや、邪魔じゃないよ。見つけたときとてもびっくりしたけど、あそこの図書館に来ていたんだな』
鳴海『勉強するときは時々あそこでするんだ』
健也『そうなんだ、場所を変えるのも大切だよな』
鳴海『あの人、同じ学校の人? 見たことないけど』
健也『他校の子』
鳴海『へー、どうやって知り合ったの?』
健也『志望校を見学しに行ったら、知り合った』
鳴海『そうなんだ』
健也『うん』
鳴海『あ、私そろそろ寝るね』
健也『お休みー』
鳴海『うん、おやすみー』
それから鳴海からメールは来なかった
健也「俺も寝るか」
電気を消して健也も眠った
暗い部屋の中で、スマホから発せられる光が少女の顔を照らしている。少女はスマホを握りしめて
???「邪魔だなーこいつ。でもまだ邪魔なだけだし、もう少しだけ様子見るかな」
そう言って少女はスマホの電源を落として、布団に身を包んで眠った




