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幼馴染の意地  作者: ヤマネコ
3/43

中学生(1)

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健也「今日から中学生だな」

鳴海「そうだね~」


受験を終えて今日が入学式。近くの中学校を受験して見事2人とも合格して今日は入学式だ。ドキドキワクワク……なんて感情はあまりなかった


なぜなら


鳴海「同じクラスになれるといいね」

健也「小学生ずっと同じクラスだったし、ありえるんじゃね?」

鳴海「えへへ、そうだね~。6年ずっと一緒だったもんね~。私達くらいじゃないかな~」

健也「6年はなかなかいないだろうな」


手を繋ぎながら学校に向かう。小学3年生程度から手を繋ぎ始めたが、中学生になるころには流石に性の違いというか、とにかく異性関係についてごちゃごちゃうるさいことになる年齢だ。当然健也の通っていた小学校でも健也と鳴海の手を繋いでいることをからかってくる輩もいたわけだが


健也(なんかからかった次の日から学校に来なくなった人もいれば、性格や雰囲気が大きく変化した人もいたけど……なんだったんだろうな……)


歩きで行ける距離なので、電車やバスを使わないため交通費も浮く。健也の家は裕福ではない方なので、それだけでも十分家系的に大助かりだ。一回一回がそこまで大きい金額ではない物の、3年(学校によっては6年、健也の所は3年)通うとなると馬鹿にならない金額。親もそのことで助かっているのか、家庭の雰囲気が少し軟らかくなった。


それまでは鳴海との関係で問題になると、すぐに健也が悪いという流れになって、お小遣いカット、勝手に物を処分されるということが少なからずあったので、結構ホッとしている部分もある。


学校に到着、昇降口をくぐり、中にいる先生から氏名がいくつも書かれている紙を渡される。クラスは4つに分けられておりA組、B組、C組、D組という具合だ。


健也「あ」

鳴海「一緒のクラスだね」

健也「そうだな」


知っている人が1人でもいる。それだけでもとても心強かった。もちろんここに来るときも手を繋いでいる状態だ。入学式に手を繋いでいる男女がいたら、当然多くの者がそっちを見るわけでして


ざわざわ…ざわざわ…ざわざわ…


健也「……なぁ鳴海」

鳴海「何?」

健也「手を放さないか?」

鳴海「……分かった、いいよ?」


思ったよりもすんなり手を放すことを了承して少し驚いたが、彼女は手を放さない


健也「鳴海?」

鳴海「手を放してもいいよ?」

健也「いや、放してくれよ」

鳴海「けん君から、放して?」

健也「あ、ああ。うん?」


よく分からないが、健也から手を放すとすんなりと鳴海も手を引っ込める。しかし今更手を放したところで、周囲の注目を逸らすこともできるわけでもなく、視線を気にしないようにしながら教室に向かう


教室の扉を開けると既に来ていた生徒達全員が入ってきた存在に目を向ける。その居心地の悪い視線から逃れるように健也は鳴海を置いていこうと思ったが


健也(置いていくのは…でももう中学生だし問題ないよな……いや、でも……)


試しに後ろを歩いている鳴海を横目で見ると


鳴海「…」


健也の目をジッと見ている。しかし手を伸ばすようなことも、何かするように言ってくることも無かった。そのジッと見てくる目を見ると、さっきまで自分が置いていこうとしていた考えが、良くない考えではないか? 最低なことをしようとしたのではないか? そう思ってしまう。


鳴海から距離は取らず、黒板に書かれている座席表を見ると、まさかの鳴海と隣だった。しかもアニメ・漫画の主人公よろしく、廊下から一番離れている窓側の最後尾だった。左には誰もおらず、前は空席、右には鳴海という感じだ。


健也「隣か」

鳴海「こんなことあるんだね~」

健也「ここまでくると笑えてくるな」

鳴海「だね~」


2人で席に着いて、鞄を机の横に引っ掛ける


周囲の人達はやけに鳴海を見ている。健也から見ても、鳴海はお世辞抜きで可愛いと思うので目を引いてしまうのは分かる。実際男子の多くが話したそうにうずうずしている様子だが、話しかけてくる人は誰も…


男子A「君可愛いね、名前は何て言うの?」

鳴海「鳴海です」

男子A「へー鳴海ちゃんか。君は?」


ニコニコ顔で鳴海に挨拶をしてから、横にいる健也に挨拶


健也「健也です」

男子A「健也君か、僕は男子A。これからよろしくね?」

健也「うん、よろしくね」


男子Aが挨拶したことにより、俺も俺もと自分のことを知ってもらいたいと思っていた男子達は雪崩のように健也たちの所にやって来た。男子達は健也を仲介役にさせて鳴海に挨拶する。鳴海は1つ1つ挨拶を返していく。礼儀正しい印象だ。


しかし周囲の女子は良い顔をしなかった。女子からしたら、入学初日に男子の多くが1人の女子に自己主張している姿はあまり面白くないだろう。恋愛関連に全く興味のない人か、異性を嫌っているという人は関心ないだろうが、つい最近まで小学生だった彼女達からすれなほぼ例外なく当てはまるわけで…


クラス女子「……」


少し雰囲気が悪くなっている。関心を向けていなかった女子も感づいており、気まずそうにしているが、アピール中の男子がそれに気付けというのは中々難しい。


担任が登場して適当に話をしてくれた後に、適当に係を決める。級長・副級長を決める時に


女子A「鳴海さんが良いと思いまーす」

女子B「私もそう思いまーす」


クラス女子の1/3程度の人数が鳴海を推薦している。しかし言い方からして歓迎しているような感じではない。鳴海は歯向かうようなことをすることも無く、素直に級長になり、副級長は誰かという流れになると


鳴海「……」


鳴海は健也に助けを求めるように、瞳をウルウルとさせてジッと見ている。その目を見ると、前に転んだ時のことを思い出す。ここで見捨てたらまた親がうるさくなりそうなので、立候補することに。男子の中には、鳴海と一緒になりたいからか、自己推薦をする人もいたが、なんやかんやで健也となった。


それから適当に話をして解散という流れになったのだが、級長・副級長はこの後残って何か仕事があるようだ。


女子A「鳴海さん、頑張ってね」

女子B「応援しているから、ね」


さっきの1/3の女子が鳴海に応援をして出て行ったが、彼女達は鳴海の肩をやけに強く叩いているような音がした。しかも口を耳もとに寄せて何かを呟いているが、健也には距離があって聞き取ることは出来なかった。読唇しようにも、口元に手を当てて健也からは見えないようになっていた。しかも手を隠すタイミングと健也を見るタイミングが完全に一致しているわけではないが、全員健也のことを見ていた。


健也なんだろう…


それが結構怖かった


その後仕事を終えて、学校から帰ろうと下駄箱で靴を履き鳴海を待っていたが


健也「鳴海、まだ?」

鳴海「……、ごめんけん君。私用事が出来たから、先に帰っていて」

健也「待つよ?」

鳴海「結構時間かかるから。先に帰って」

健也「? 分かった」


姿は見せないで声だけで返事をしてきたが


健也(なんか少し声が低かったような? 喉の調子が悪かったのかな?)


鳴海を置いていって1人で帰るのは、かなり久しぶりだ。今までずっと隣にいたので、隣に誰もいないことに少し寂しいという感情を抱えるが


健也「いやいや、鳴海ももしかしたら彼氏が出来て、1人になることもあるだろうし…」


この寂しさに慣れないとな、そう思い帰宅した。
















次の日


鳴海と学校に着く。結局昨日何をしていたのかを聞いても「用事があった」としか答えてくれなかった。まぁ、女の子だし自分には知らない事情があるのかもしれない。そして昨日と同じように手を繋いで教室に入りHRが始まるまで時間を潰し、担任が来た…が


健也「あれ…」

鳴海「どうしたの?」

健也「なんか人少ないなって…」


健也と同じことを思った人もいたようで、同じことを呟いている。しかもいないのは、昨日鳴海に挨拶をしていた1/3の女子達全員だ。


鳴海「入学式で張り切って風邪でも引いたのかもね~」

健也「あぁ、そういう? 遠足前に張り切って、当日に熱を出すような?」

鳴海「そんな感じじゃないかなー」

健也「そっか。まぁ早く良くなるといいね」

鳴海「だといいね~」


担任がやってきた。しかし何か様子がおかしい


担任「あー。実はなんだが」


担任は気まずそうな表情で話始める。休んでいる生徒のことだろうか? まぁ多分風邪とかなんやと言うと思っていたのだが


担任「女子A~女子Hたちが入院することになった。しかも人によってはかなりの重症だ」


クラスメイト「「「え」」」


担任「なんでもヤク中の奴らに絡まれたとかなんとかで……。まぁその、お前ら、放課後は遅くまで寄らないでまっすぐ家に帰れよ? はーやだやだ、なんで入学式の日にこんな事件が起きるのさ~、もう」


生徒のことを心配するという声色もあるが、どっちかというと、上からうるさい小言を言われることに迷惑しているような声色の方が強いように健也は感じた。クラスメイト達は、突然の出来事に興奮しているようだ。


それもそうだ、入学式の次の日になぜかクラスの1/4程度の人数が突然入院。まだ誰と仲良く出来るかという少し緊迫しているこの状況で、共通の話題、しかも考察が広がりやすい類の話だ。男女関係なく、大人数でああだこうだと推論を述べている。


健也「怖いな…鳴海は平気だよな?」

鳴海「私? 平気だからここにいるんじゃん」

健也「それもそうだな」


そうだ、平気じゃなかったらそもそも学校に来ていない。何を当たり前のことを聞いているんだか……


健也「変なことを聞いてごめん」

鳴海「ううん、心配してくれてとても嬉しいよ」


優しく頬を緩めて健也の目をジッと見つめてきたので、健也も安心させるように優しく微笑む。


推理じみたことに夢中になっている連中が多数だが、一部の人間が鳴海を怪しそうに見ている。なぜだろう?


男子C「あの、鳴海さん」

鳴海「何かな?」

女子I「入院したの全員鳴海さんに話しかけていた人たちだけど、何か知らないの?」

鳴海「知らないよ? 昨日は挨拶をしてくれたし、まだ深く話せていないけどきっといい人たちだよ」

男子D「お見舞いに行った方が良いのかな」

男子E「でも病院どこか分からないだろうし」

女子I「本当に何も知らないの?」

健也「なんでそんなに怪しがってるんだ?」


健也がそういうと、女子の一部は何も言わないで遠ざかっていった。


男子D「鳴海さん、気にすることないよ」

男子E「そうそう、よく分からないけど鳴海さんは何も知らないし、してないんでしょ?」

男子F「なんであんなに怪しんでいるのかな女子達」

男子D「俺達が鳴海さんを守るから!」


鳴海は健也をジッと見る。男子達も鳴海の視線を追うように健也を見る


健也「え、何?」

鳴海「……けん君。私を守ってくれる? 同じクラスの人が何人も入院しているなんて……怖くて……うぅ……」


少し涙ぐんでいる


男子D「大丈夫ですよ、俺がいますから」

男子E「あ、抜け駆けずるいぞ。俺もいるからな鳴海さん」


他の男子達も「俺も俺も」と声を上げているが、疑っている人達はますます顔にかかる影が濃くなっていた


放課後


手を繋いで家に帰っている途中


健也「家に帰ったら何するー?」

鳴海「私やることあるから今日はごめんね?」

健也「あぁ、そうなの?」

鳴海「勉強が少し不安だからね、落ち着いたら前みたいに遊ぼうね~」

健也「分かった」


そして家に帰って各々の時間を過ごした
















次の日


昨日鳴海を疑っていた連中が


疑っていた連中「鳴海さん、昨日はごめんね。疑っちゃって」

鳴海「ううん、大丈夫だよ? 疑っちゃっうのも分からなくはないから」

疑っていた連中「本当にごめんなさい」

鳴海「うん、大丈夫だよ~」


鳴海が連中に手を軽く振ると、連中は安心したように息をついて席に戻っていく。更に昨日鳴海に言い寄っていた男子達のほとんどが、鳴海に声をかけなかった。


健也「鳴海に声をかけてくる男子減ったね」

鳴海「昨日は心配してくれていたんでしょ」

健也「そうなのかな、それだけなのかな……」

鳴海「皆が私を疑っていたのを庇ってくれたからね。さっきお礼を言ったから」

健也「え、いつ」

鳴海「けん君机に突っ伏して寝てたでしょ? その時」

健也「あ、ああ」



数週間後、入院した女子達が戻ってきたが、鳴海に話しかけることは無かった。鳴海は既に女子グループの1つに入っていて、比較的大人しそうな子達ばかりに所属しているようだ。健也もあまりうるさくなく、運動よりも、アニメやゲームが好きな人種達のグループに入って、話すような仲になった。


鳴海と一緒に遊ぶ時間は少しずつ減っていったが、その分夜に会う時間が増えていった。場合によっては


鳴海「けん君~、一緒に寝よう~」

健也「いいけど、その体勢辛くない?」


鳴海は健也の腕にしがみつく、コアラが木に抱きつくような感じで寝る鳴海。しかし無理やりしがみついているというよりは、少しだけ引っ付くような感じだ。健也がトイレや何か移動したいときはすんなり放してくれる。


最初は離れるように言ったのだが、鳴海にああだこうだと言われてしまい、自分の考えが間違っているような感覚になり、大人しく抱かれることになった。


それに鳴海が離れるのは少し寂しい


今日も鳴海と一緒の布団に入り、電気を消す


鳴海「けん君」

健也「なに」

鳴海「おやすみ、夢の中で会えるといいね」

健也「うん、お休み。会えるでしょ、あそこで」

鳴海「あそこってどこなの~、クスクス」



そう言って腕を組まれ、手には暖かい感触で包まれながら夢の中の待ち合わせ場所に向かった



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