中学生(24)
性的暴行の描写や、女性恐怖症になる描写があります。苦手な読者様は注意をお願い致します。
夏休みが終わって数週間が経つが、鳴海は一度も登校して来なかった。電話やメールをしても反応が無いのは無視されていると思っていたが、流石に学校にずっと来ないのはおかしいと思った。健也のことを嫌ったとしても出席日数が足りなくなると下手したら留年しかねないのに、それでも休み続けるのは、考えづらかった。担任に鳴海のことを聞いても逆に「健也君が何か知らないのか?」と驚いているようだ。どうやら担任も鳴海からは何の連絡も無いようで、困っているようだ。クラスの連中も、いつも健也は鳴海と一緒にいるので、鳴海がいないことに最初は驚き、健也にあれこれと聞いてくる物もいたが、数日経つと興味が失せたかのようにあまり聞いてこなかった。健也の様子を見れば聞くまでもないといったところだろう
健也「……」
自分の両隣の席を見るが、空席。最初は両隣が空いているということは滅多に無かったので、違和感があったものの、時間が経てばその違和感が日常となっていく。このまま鳴海が来ない非日常が、日常になるのに抵抗のある健也は、授業中も何度も右の席を見ては溜息をついている。あまりに溜息をつきすぎて教師から自分の授業がつまらないのかとかなり落ち込む人もいた。
あれから鳴海家を探したが、見つからない。担任から住所を聞いて、言われた場所に行ってみたが、そこは工場だった。担任が書き間違えた住所を自分に教えたのかと思い、近所の人に鳴海家について聞き込みをしても、全員分からないとのこと。メールや電話も使えない、直接会うことも出来ない。鳴海の両親に電話をするも全て通じなかった。
となると残された手段は1つ
吉良「それで僕が鳴海さんのスマホを探知しろってこと?」
健也「そういうことだ。他に方法が思いつかない、吉良なら出来ないか?」
吉良「出来るか出来ないかで言うなら出来るけど。あまりやりたくない」
健也「頼むよ吉良……」
吉良「……健也」
吉良は真剣な目で健也を見つめる
吉良「僕はもう危ない橋を渡りたくない」
健也「……なんだよそれ。どういう意味だよ?」
吉良「この前みたいに、目に何か出来るようなことが起きるかもしれない類の事件に巻き込まれたくないってことだよ!」
健也「事件!? 吉良、お前鳴海が事件に遭っているとでも言いたいのかよ!」
吉良の胸倉を掴んで思いっきり睨むと、吉良はとても怯えたような目をしたが、それでも巻き込まれたくないという気持ちが強いからか、健也を睨み返す。それが健也にとっては意外だった。ここまでしたら吉良は頷いていくれるかと思ったが、全く頷いてくれる様子が無い
健也「吉良! 鳴海とは友達だろうが! 友達を放っておくのかよ!」
吉良「確かに鳴海さんとは友達だよ! だけど……明らかにおかしいでしょ! 健也の話が本当なら、僕達にはどうすることも出来ないでしょ! 警察に任せようよ!」
健也「はぁー!!?? 今この瞬間も鳴海が危険な目に遭っているのかもしれないんだぞ! そんな吞気なことを言っている場合か!?」
吉良「だから! もし本当に危険な目に遭っているなら、僕達に何が出来るんだよ!」
健也「なんだよ、なんだよその対応! 吉良ふざけてんのか!」
吉良「ふざけているのは健也だろ!」
健也「なんだと!」
2人に怒鳴り合うが、結局吉良は鳴海捜索に関しては非協力的だ。この前の目のことがあるとは言え、鳴海に関して何か手がかりが掴めるかもしれないのに、全く手助けてしてくれる気が無い吉良に苛立ちを覚えた健也は吉良を殴ってしまう
吉良「いった……何すんだよ!」
健也「お前こそ!」
2人で殴り合うが、吉良の方が打撃力は高い。身体を大きくしようと毎日少しずつ鍛える吉良に対して、健也は全く鍛えていない。体格的には健也が僅かに勝っているが、打撃力が比ではない。健也はダメージを受けすぎて、後退ると、吉良は攻撃をやめ、健也の顔を見ないで
吉良「僕はもうあんな怖いものに巻き込まれたくない……、ごめんね健也。僕も鳴海さんを助けたいけど、怖くて無理」
健也「このっ…………、すまん」
怒鳴り返そうとしたが、吉良がこの前みたいに部屋の隅に座って毛布を包まっているところを見せられると、これ以上お願いしても無理だと悟る。捜索するなら健也だけでやるしかないようだ。
夏休みに入ってから、健也は愛奈とほとんど接触することが出来なかった。昼休みは吉良と2人でお弁当を食べて、休み時間や放課後愛奈と話そうとするも、全て避けられてしまっていた。吉良にお願いして足止めをしてもらったが、吉良が失敗に終わり、結局学校で会うことはほとんど無かった。メールや電話で鳴海について何か知らないかと聞いても知らないと返される。愛奈も鳴海が学校に来ていなことを知っているため、もっと取り乱すかと健也は思っていたが、実際はその逆。何事も無かったかのように学園生活を送っている。そのことを指摘しても愛奈は「そう?」とただ疑問符を浮かべるだけだった。
放課後になり、これからどうしようかと悩む。愛奈と吉良は手伝ってくれない、担任も鳴海がどうなっているのか知らない(鳴海両親から連絡の1つもないし、繋がらない)、鳴海家を見つけることも出来ない
親に相談してみるか? いや、あの時何か鳴海が玄関で両親に話していたのは壁越しに聞いていた。会話の内容は聞こえなかったが、それでも頭を下げてから出て行ったとなると、何か事情を話しているはず。なのに両親は健也に鳴海について何も話さないし、健也が聞いても何も答えてくれなかった。
他に当てがあるとすれば……あの2人しかいない
健也は学校から飛び出して、夜行ったコンビニに向かう。コンビニに到着すると、あの時と同じ店員がいた。さっそく店員に話しかける
健也「すいません。聞きたいことがあるのですが」
店員「はい?」
健也「この前の夜に来たものなんですが、覚えていますか?」
店員「え、あぁ、はい。覚えていますけど」
健也「その時女性2人が来たじゃないですか、チュッパチャプスを銜えている女性と高身長の女性です」
店員「あーはい、そうですね、それが?」
健也「その女性2人を探しているのですが、もしあの時の女性のどちらかが来たら、これを渡していただけませんか? お願いします! 一刻を争うんです!」
店員「あの時に2人は、私が知っている限り初めて見る顔だったけど……」
健也「それでもです! お願いします!」
店員「はー、分かりました。でもあまり期待しないでくださいね」
健也「ありがとうございます!」
店員に健也のチャットアプリのアドレスを書いた紙を渡してコンビニから出る。あとあの2人がいそうな場所……会ったことがある場所は温泉旅館の近くの浜辺くらいか。でもここからは金が…いや、そんなことを言っている場合じゃない。
近くにこの前の温泉旅館に向かうバス停を見つけ、バスに乗って向かう
温泉旅館前に到着だ。近くの浜辺に直ぐにやってきて、あの2人がいないかを探すが、見つけることが出来なかった。他に当てが無くなり、どうしようかと焦って髪の毛を毟る。毟って、数本の髪の毛が落ちて行くのが見えるが、そんなことを気にする余裕は無かった。温泉旅館前にいる人に、スマホにある鳴海の写真を見せて知らないかを尋ねていくが
「知らないわ」
「ごめんねー、わからないよ」
「知らない」
「ちょっと見てないねー」
などと空振りしまくった。それから1時間程度聞き込みをしたが、全く情報を得ることが出来ず、そろそろ帰らないと親に怒られてしまう。吉良の一件で夜遅くまで行動することが難しくなり、次やったら食事抜きにされるのも十分あり得る。資金(お小遣い)は鳴海捜索に当てたいし、出来る限り食費を浮かしたい、このまま探しても見つかる気配がなさそうなので、大人しく帰ることにした。
家に帰ると両親が既に食事を摂っており、帰りの遅かった健也を少し咎めたが、それだけで食事を摂ることが出来た。風呂に入り、部屋に戻る。何か手がかりが無いかを確認していると、ある占いコーナーが当たると広告が出ていた。いつもならそんな広告を無視するのだが、占う人の名前を見て、飛ばそうとしていた指を止める。その占う人の名は、控着雷電。とてもインパクトのあるその名前に健也は聞き覚えがあった。ネットで名前を検索すると
・百発百中
・料金は高いけど、受けられるなら受けておくべき
・この占いのお陰で、生活が出来ています
などと称賛する声が多数だ。そして気になることが更に1つ。批判するような口コミが1つもないことだ。探せば出てくるかもしれないが、それでもザっと見ただけでも賞賛の嵐だ。以前この人に占ってもらった内容を思い出す。顔は載っていないが、それでもこんな名前はそうそういないだろう、ほぼ高確率であの時会った女性だろう
【その子はとても面倒な性格をしており、大事にしないと彼女自身が自爆をしてでも貴方のことを繋ぎとめようとするでしょう。縁を切るなら、それなりの覚悟を持っておいた方がいいでしょう。それくらい危うい面を持ち合わせています】
面倒な性格…今この状況は鳴海が意図的にしているということだろうか? もし仮にそうだとして、大事にしないと自爆してでも繋ぎ止める? 繋ぎ止めるってどういうことだろうか? 鎖とか縄で縛って自分の傍に置くという意味か? 縁を切るならそれなりの覚悟…もう二度と会えないとかか?
健也「……1回3万円か…高いけど……でもこれで外れたらとても痛い……」
控着の占いを頼ろうかと思ったが、1回3万円と学生が手に出しにくい金額だ。しかし、たった3万で何か解決の糸口を掴めるとしたら安い買い物だろうが、もしこれが詐欺だったら……捜索に必要な交通費が…お父さんにお願いすれば貸してくれるか? でも鳴海のことであまり心配していないみたいだし、貸してくれるかどうか……
健也母「健也―」
健也「え、なに」
健也母「お友達が来ているわよ?」
健也「友達? 誰?」
健也母「自分で話してきて」
健也「?」
インターホンに映っていたのは、2~4歳程度の女の子だ。
???「こんばんはー」
健也「どちら様ですか?」
???「おにーさん、わすれちゃったのー? ぷーるのとき、ともだちといってくれたのに~?」
健也「……あぁ、あの時の。どうしたの、というかなんでここだって分かったの?」
???「そんなことは~、どうでもいいでしょう~?」
健也「どうでもよくないよ」
健也はこの子に自分の家の場所を教えたことが無い
???「どうでもいいでしょ~? それよりも~」
健也「……何」
???「あのおねーさん、えっと……なまえわすれた。おんなのこひとりがいたかなー」
健也「誰か見たのか!??」
もしかして鳴海か?
???「さっきそこにいたよー? いえのちかくにー。なんかそわそわしたあとにどこかにいっちゃったけど~」
健也「本当か!?」
???「……」
健也「母さん、俺ちょっと出てくる」
健也母「はいよー」
急いで玄関に向かう途中にあることに気付く。さっきは外に出ることを許可しなかったのに、今回はすんなり許可してくれたことだ。その事も考えたいが、早くしないと鳴海に関する情報が入らないと思い、念のために女性達から貰った防犯ブザーとスマホをポケットに入れて、慌てて靴を履いて外に出ると、インターホンの前には幼女がいた
???「あっちー」
幼女が指を指した方向に走り出す。普段歩かない方角だったので、ポケットに入れていたスマホのライト機能を使って周囲を照らすが、鳴海の姿は無かった。注意深く探すと、近くに人気の全くない小川があり、そこで1人岩に腰を掛けている人がいた。
もしかしてと思い足跡を隠さないでその子に近づく。その子はそこから動く様子はない。スマホのライトを消して、月明かりを頼りにその子の顔を見ると、そこにいたのは星奈だった。学校の制服を着ているが、鞄は持っていない
健也「星奈!? お前、こんなところで何をしているんだよ。学校にも来ないで……って……」
星奈「……」
星奈はあの時と変わらず虚ろな目で健也を見ると、一瞬だけ瞳に光が差し込み
星奈「健也! 助けて! 私あいつらに……」
健也「え、何」
星奈「……」
星奈はそれきりまた虚ろな目になり、何も言わなくなってしまった。こちらがいくら声を掛けても何も答えない。なんでこんなところにいるのか、こいつらとは誰を指しているのか、何が何だか分からない状態でいると、少し遠くから何かが近づいてくる音が聞こえた。耳を澄ますと、何か荒く興奮しているような息遣いが複数聞こえ、一目散にこちらに近づいてきているようだ。健也は何かが近づいていることを理解し、星奈を連れて行こうとしたが、星奈が思ったよりも重く、すぐに移動することが出来なかった。
何かが姿を現した。それは手足をだらんと脱力したように伸ばし、衣服を一切まとわない怪物と、背中に何か羽のようなものが生えており、淫らで性欲を強く刺激するような衣服を着ている人型の女が何体もいた。衣服を纏わない怪物は星奈を見つけると、星奈の周りを囲み、衣服を破いて、怪物の股間にあるぶらぶらと揺れている。そのゆらゆらと揺れている何かを星奈の足の付け根と付け根の間……丁度中央部分に押し当てると、腰を前後に勢いよく動かし始めた
星奈「いや、なにこれ! いや! 誰か! 誰か助けてもぐっ!」
怪物に囲まれて、口にも何かを入れられ、もてあそばれている。健也はこの状況に頭が真っ白になり、何も行動することが出来ないでいると、人型の女が健也の周りを囲んで、健也の身体を触って来た。その手つきはとても厭らしく、恐怖で動けないが、股間が盛り上がる。
人間は死にそうになると、自分の種を残そうという本能が働き、そういう気分でなくても大きくなることがある。今の健也はまさにその状況だ。目の前ではクラスメイトの女子がもてあそばれ、今目の間にいる女達も、自分をおもちゃにして遊ぶつもりだ。それだけは分かった
服を無理やり脱がされそうになったとき、ポケットにある何かが引っかかって、中途半端に脱げる。その時、女性達に貰った防犯ブザーが見えた
健也「!」
咄嗟に手を伸ばし、防犯ブザーに付いている紐を引っ張る
しかし何も起きない
人型の女はぎらついた目で健也を押し倒し、周囲の女達は健也の両手足を組み付いた
健也「やめ、やめろ! いやだ! 助けっ!」
人型の女の1人が、来ていた衣服の下半身を抜いて、健也の顔に跨りそのまま腰を下ろす。目の前には、自分の身体とは全く違うものが見えたが直ぐに見えなくなる。その際、ドロリとした何かが口に付けられ、そこからは尿のような匂いと、生臭いイカのような匂いがした。抗おうにも抵抗することは一切出来ない。自分の股間には何か軟らかく暖かい感触に包まれるが、それもただ怖く、気持ち悪いだけだ。姿が見えず、何かが自分の股間を好き勝手弄っている恐怖感、隣からは聞いたことも無い声色で何やら盛り上がっていて、1人の女に悲鳴が聞こえ、それら全てが恐怖心を煽る要素となった
何も考えられない、考えたら怖いだけ
健也は目を瞑ってただ泣いていた
???「あはは、さいこうー♪」
幼女は岩の上に立って、楽しんでいる自分の部下を見て満足げに持っているグラスを傾ける。グラスには赤い液体が波打っており、幼女はグラスをゆらゆらと傾けながら、余韻に浸っている
???「たのしいなー、あはは、でもたりないー。もっとはげしいの……なにかないかなー……ん~」
幼女はグラスを傾け口に含み、ニヤッとした笑顔を浮かべると、持っていたグラスを落とす
???「あれ……なんで、なんで?」
しかも、どういうわけか視界が逆さまになっており、良く見ると自分の胴体が見える。
???「あれ、くびとれた? あはは、なんで? なんで?」
視界が真っ暗になる。真っ暗になる一瞬の間、自分の立っていた場所から少し離れた所に誰かがいたような気がしたが、すぐに見えなくなり、幼女は目を覚ますことは無かった
健也「……」
何度、下半身に血流を強制的に集められただろうか。なんども無理やり出され、その後萎えることなくずっと大きいまま、入れ替わりにまた暖かくヌルヌルとした感触に包まれるが、それをされることももう何も思わなくなっていた。
ただ早く終われ、その一心だった
目の前にいる人型の女は飽きることなく腰を振り続け、楽しそうな笑みを浮かべている。更に自分の胸部に手を付けて楽しそうにしていると、突然その女が跡形もなく吹き飛んだ。健也の顔にはその女の肉片と血が飛んできたので、思わず目を瞑る。
再び目を開けた瞬間、近くにいた化物達の宴に飛び入り参加した者がいたようで、次々と化物達が、原型も無く肉片となり、辺り一帯に異臭が漂う。何か足音と発砲音のような音が聞こえたが、健也の精神力は限界を迎え、気絶した
目を覚ますと、そこは見たことの無い部屋だった。起き上がろうとするが、激痛で起き上がることが出来ず、ばたりと倒れてしまう。近くには誰もおらず、机の上にはコンビニで売られているおにぎりと、ペットボトルの水があった。更に置手紙のような物も置いてあり、そこには「食欲があれば食べてください。お金は取りません」とあった。少しお腹も空いていたので、重たい身体を引きずりながら机の元にたどり着き、食事を摂る
改めて部屋の内装を見ると、無機質な部屋だ。床はカーペットなど何も引いておらず、ベッドと机しかない。部屋の模様も白一色で、窓も時計も無い。扉だけがあり、そこを出ると、広い空間に出た。まるでホテルのエントランスだ。誰かいないかと探して見るが、誰もいない。適当に歩いてみると、女性達がいた。女性達は円形の机に囲んで座っており、何か話している。見覚えのある人が何人かいて、襟元に何かバッチのようなものが付いていた。壁の方には1人の女子が磔にされている。そしてその女子は健也が探していた女子でもあった
健也「―――?」
健也の声が聞こえたのか、話をしていた女性達全員が健也の方を向き近づいてきた。健也は女性が一気に近づいてくるのを見ると、膝をついて頭を手で覆い
健也「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
身体と声が震えながら、自分でも気づかないうちにそう言っていた。女性達は困ったような反応をし、1人が近づこうとすると
健也「嫌だ! 来ないで! やめて!」
大きな声で叫ぶ。女性達は何か話し合うと、2人を残して部屋に戻って行った。2人は部屋に戻らないで健也に話しかける
女性1「健也君、顔を上げて」
健也「ごめんなさい、ごめんなさい」
女性2「……健也、顔を上げろ。いいから」
怯えながら顔を上げると、そこには探していた2人だった。2人ともとても気の毒そうな顔で健也に話しかける
健也「あ。あ、あ」
女性2「すまんな、こんなことになってしまって」
女性1「本当にごめんね。私達から話があるの」
健也「いやだ! 近づかないで!」
女性2「近づかないから話を聞いてくれ、今後のお前の人生に関わることだ」
健也「……」
女性1「ダメか、とりあえずさっきの部屋に戻っていてくれるかな? 落ち着いたら話そうか」
健也「帰して、家に帰してください……」
女性2「安心しろ、ちゃんとお前は家に帰す。だから部屋に戻ってくれ」
健也「本当、本当か?」
女性2「……これあげる」
女性1「珍しい」
女性2「本当にこいつは被害者だからな」
健也の目の前にはチュッパチャプスが1つ転がされる。
女性2「それを舐めると落ち着くぞ。30分くらい時間をくれ。後で食料は部屋の前に置いておくから、それとトイレは近くにあるから確認しといてくれ」
健也「……」
健也は一刻も早く女性から離れたくて、チュッパチャプスを拾い、部屋の方に戻って行った。それを見送った2人は溜息をついた後に部屋に戻る。部屋には10人の女性が椅子に座って話を続けていた。彼女達の襟元にはバッチがついており、№1~№12とある
№2「すまん、話を続けようか」
№1「そもそも、こんな強引な方法を選んだのは№2と№12でしょ? なら責任は2人にあるんじゃないの?」
№3「確かに2人があのブザーを渡したけど、そもそも私達奇数組があの幼女を抑えられなかったのも責任があるわ」
№4「そうそう、奇数組の責任だよな~? ちゃんと私達で殺しておいたからな~?」
№4がそう言うと、№1、№3、№5、№7、№9、№11の6人全員№4を睨むが、それでも自分達に責任があることは理解しているらしく、何も言えなかった
№11「それよりも彼はどうするの? このままだと殺す一択?」
№12「待って、健也君は何も罪の無い被害者。それに私達12人に責任があるだろうし、殺すのは無しにしてあげて欲しいの」
№2「私も同感だ。あまりに不憫すぎる」
№7「不憫なのは同感だけど、それでも規律を乱すのは良くないんじゃないの? どんな状況であれ、ルールは守らないとだめでしょ~?」
№6「私は殺さない派です。彼にはスイーツ券の恩がありますし」
№10「私も殺さない派かな~、同じくスイーツ券の恩かな。あそこのお店滅茶苦茶うまかったし」
№8「私としても、別に殺す必要はないかと。それよりも健也君を通じて可愛い男の娘と知り合いたいですし」
№4「っは、流石変態」
№8「は?」
№4「お? 私も殺しは反対かな。別に殺す価値も無いだろ。あのままじゃ」
№9「私は強いて言うなら殺さない派ですかね。あの人は私の占いを真に受けて、しっかりと考えてくれていたようなので」
№5「私はどっちでも良いかなー。確かに不憫だし、調べた限りじゃ、本当に何も知らない被害者でしょ?」
№1「そうね。ただあの子が一方的に付きまとっていたようなものだしね」
№5「なら良いのでは? 別に殺すだけが選択肢じゃないですし」
№3「……」
№7「皆今回は否定派なんだ。意外」
№11「あれに犯されていたから。しかもさっきの反応、女性に恐怖心を抱いている。誰かと一緒のように」
№3「なんでこっちを見ているの?」
№11「別に。私はどっちでもいい」
№7「じゃあ私も、ぶっちゃけどうでもいいしね」
№1「別にこのことを知られなければ問題ないしねー。今回は不問で良い気がするけど、どう思う可愛い妹達」
№5「……」
№9「……」
№1「いやーん、無視された~」
№3「私はどっちでもいいや」
№4「っお、意外~」
№3「仕方なくよ、仕方なく」
№2「あとは……」
12人は磔にされている少女を見る。ある者は嘲笑い、ある者は気の毒そうに目を逸らし、ある者は何とも思わないのか無表情になっている。
№12「あの子のことだけど、―――――――でどうかな?」
№2「妥当だな」
№4「そうだな、これに関してはそうだけど、それに関してはそれでいいかな。それにしても運が良いなあいつ、もしそれ満たせるなら今までのチャラだろ? まぁ文句はないんだけどさ」
№1「異議なし~」
№5「同じく」
№9「私も同じくです」
№3「ええ」
№7「ほーい」
№11「ん」
№8「はい」
№6「分かりました」
№10「あいよー」
ベッドに横になって何も考えないでいると、部屋の前に何かがカタっと置かれた音がして、扉の隙間から紙が入ってきた。「食事です。食欲があったらどうぞ」と書かれていた。扉を開けて、誰もいないのを確認した後に、置かれていた食事を部屋に運び、気を紛らわせるために食べる
食べ終えて部屋でゆっくりとしていると、急に眠気がやって来た。強い睡魔で起きていることが辛くなる。抗う気力が一切なく、そのまま数秒で眠りに落ちた
目を覚ますとそこは見慣れた部屋だ。時間は午前6時ごろ。早く起きたなと思い、台所に向かうと、今から仕事に向かう父親の姿があった
健也父「健也、おはよう」
健也「うん、行ってらっしゃい」
健也父「行ってきます」
健也「お母さん、ご飯はー」
健也母「はいこれ」
健也「ありがとう」
健也母「それにしても昨日はどうだったの?」
健也は渡された朝食を食べながら、母と話す
健也「何が?」
健也母「何がって……何か飛び出していったじゃない」
健也「誰が?」
健也母「健也が」
健也「なんで」
健也母「なんでって、誰かに呼ばれていなかったかしら」
健也「誰?」
健也母「あら、誰だったかしら、あれ、あれ?」
健也「寝ぼけているの」
健也母「そんなはず……あれ?」
何度もおかしそうに首を傾げていたが、どうでもよくなったのか、健也と話すのをやめて家事に集中し始めた
健也も食事をしていると、机の上に新聞が置かれていて、ある記事に目が行った。その内容は健也家の近くにある川に、女子学生の死体が発見されたとのこと。遺体は性的暴行を受けたような形跡があり、その死体を解剖して見た所、なんと死亡推定時刻が何十年も前だったらしい。小さな記事なので、それ以上のことは何も書かれていなかったが、少しだけ気になった。しかし食器を洗って乾燥機に置いたころにはもう忘れてしまっていた。制服に着替えて学校に向かう。
学校に着くと、可愛い顔をした男子制服を着ている人に声を掛けられる。とても気まずそうだ
???「健也? おはよー、この前はごめんなさい。僕も言い過ぎたよ」
健也「ひっ」
???「健也? どうし」
健也「近づかないで!」
???「え……」
健也は怯えて、その男装女子から距離を取ると、男装女子はとても驚いたような表情をして、健也に近づこうとするが、健也は近づかれたくないので、その子から距離を取る
???「……」
その子は口をパクパクとさせて、その場で立ち止まっていた。健也はその子の様子がおかしいことに気付き、少し離れてから声を掛ける
健也「えっと、俺に何か用ですか?」
???「僕のこと、覚えてないの?」
健也「どこかで会いましたか?」
???「……質の悪い冗談にしてはやりすぎだよ。僕本当に怒るよ?」
健也「いや、あの……すいません、何も知らないんです!」
本当に何が何だか分からず、怯えながら距離を取ると、その子は何かを悟ったような表情をした後に
???「……ごめんなさい」
ただ頭を下げて去ってしまった。一体何だったのか……スマホを取り出すと、見慣れない名前があった。鳴海? 吉良? 愛奈? 誰だこの人達は……?
よく分からないので放置する。教室に向かい、自席に座る。そのまま何をするでもなくHRが始まる数分前に右の席に誰かが座った。誰だろうと思って見ると、丁度その女子と目が合う。
???「何見てんの?」
健也「いえ、なんでもないです」
視線が怖くて、すぐに目を逸らして前を向くと、右にいた少女は健也のことを何とも思っていないようで、机の中に教科書を入れ始めた。
そのまま授業が進み、お昼時間。いつものように教室で、1人で食べていると、隣の女子も1人で食べているようだ。他の女子達は、いくつかのグループに分かれて食べているが、隣の女子は気にしないで1人で食べている。周りの女子達はこの女子のことはどうとも思っていないようで、変な視線も無く、それぞれ思い思い食事を楽しんでいる。
健也「……」
???「……」
健也はスマホを突きながら食事をしていると、隣にいる少女もスマホを突きながら食事をしている。なんか隣で同じことをしている人がいると、落ち着くなと思ったが、それが女子だったので少し怖い。雰囲気も少し怖くて、さっきも睨むような目で見てきた。スマホを見ていればそんなことは関係ないかと思い、気にしないようにしていると
???「ねぇ、ちょっと」
健也「……」
???「ねぇってば」
健也「あ、何?」
隣の少女はスマホを健也に見せる。そこには健也とその子が映っている写真がいくつもあった
???「私のスマホ勝手に使った?」
健也「そんなわけないだろ。俺達今まで話したこともそんなにないはずだろ?」
???「それもそうよね……、じゃあこれは何なの?」
健也「俺が知るわけないだろ」
???「じゃあ君のスマホの画像を見せてよ」
健也「は? なんで?」
???「良いから」
健也「はい」
押されてしまい、力なく頷き、自分のスマホの画像を見ると、隣の少女と一緒に映った画像、他に2人も混ざって4人で映っている写真もあった。4人で映っている写真の1人がさっき朝挨拶してきた男装女子と気付く。
あの子、誰か分からないけど、俺のことを知っている人なのか?
頭を悩ませていると、隣の少女から話しかけられる
???「君もなんだ」
健也「ほんとな。初めて話すよな?」
他の女子なら怖くて口を開けないが、どういうわけかこの少女とは何とか怖いけど口を開くことが出来た
???「えぇ、そのはずだけど……、なんかこのスマホ、君と昔から会っているみたいなんだけど。それも随分と仲良くしてそうな画像が沢山」
健也「……そうだな」
???「なんでこんなものがあるの……、気持ち悪い」
健也「確かに気持ち悪いな」
身に覚えの無い写真がいくつもあり、消そうかと思ったが、どうしてか消去ボタンを押そうとすると指が震えていた
健也「あれ……」
???「……あ?」
健也「どうした?」
???「いや、消そうとしたらさ、なんか指が震えて」
健也「俺もなんだよね」
???「君の意見は聞いていないよ。ったく、なんなのこれ、気味悪いわ」
健也「……」
???「……はー、ほんと、なんだろ」
2人で同時に溜息をつく
???「ちょっと、何同じタイミングで溜息をついているのよ、キモイ」
健也「は? お前が合わせたんだろうが」
???「は、何それ? 喧嘩売ってんの?」
健也「売ってないです、ごめんなさい」
???「……」
少女は「なんだこいつ」みたいな顔をしているが、健也的には女子とお近づきになりたくないのでこれ以上争わないように目を逸らした。少女はそれ以上食いつく気は無いようで、舌打ちをして健也から目を逸らす。昼休み中、何をしようかと悩んでいると、隣にいる少女がまた話しかけてきた
???「ねぇ、君、名前は?」
健也「なんで?」
???「うるさい、さっさと答えろ」
健也「口が悪いな」
???「は?」
健也「ごめんなさい」
???「……本当に初めて話すんだよね? 私達」
健也「そのはずだけど」
???「でも写真がどれもどこか見覚えがあるのよね……、それに何だろう。これ……」
健也「何って?」
???「何かは何かだよ。それより名前は?」
健也「健也」
???「けんや……、けんや……、どこかで聞いたような?」
健也「同じクラスだからじゃないの?」
???「いや、うーん? まぁいいわ。どうも」
健也「君は?」
???「私? 私は鳴海」
健也「鳴海……」
鳴海「呼び捨てにすんじゃねーよ、殴るぞ」
健也「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、殴らないで」
鳴海「え? あぁ、うん。こっちもごめんね?」
健也の反応が鳴海の想像していた以上の反応だったようで、素直に引き下がってくれた
健也「……」
鳴海「……」
それから2人は何も言わないで、自分の時間を過ごしていたが、時々目を合わせることがあっても、この日はもう話すことは無かった。
好奇心も度が過ぎると危険な目に遭う
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