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第二十話 森の中で

「第十三騎士団……!」


 デイル博士は忌々しそうに呟いた。第十三騎士団、飛空艇と呼ばれる空を飛ぶ船に乗る、ソール国の危機を先んじて潰して回る、遊撃隊の役目を担う騎士団だ。


「なぜここに……!!」


 デイル博士は歯を噛みしめる、まさかの大番狂わせ、ここに騎士団が駆けつけるとは。

 デイル博士は知らなかったドンキホーテ達の奮戦の結果、リヴァイアサンは大規模な魔法を連発していた。

 そのせいで、第十三騎士団はソール国方面からする、魔法の破壊音を聞きつけ異常がないか巡回しに来たということに。


 ドンキホーテ達の戦いは無駄では無かったのである。


「これで終わりだぜ……デイル博士!」


 ドンキホーテが言う。レーデンスは剣を握り直し、デイル博士を見据えた。


「これで終わり……何をバカなことを! リヴァイアサンはあの程度の物量に負けはしない……」

「わかってねぇな! 騎士団がリヴァイアサンを足止めしてくれるなら! 俺たちはあんたに集中できる! 二対一だ、あんたに勝ち目はねぇ!」


 ドンキホーテは剣の切っ先をデイル博士に向けた。するとデイル博士は笑い始める。遠くから砲撃の音が聞こえた、リヴァイアサンと騎士団の戦闘が始まったのだ。

 もはや絶体絶命で頭がおかしくなったか、ドンキホーテはそう思った。デイル博士は両手を挙げた、降参のポーズか、一瞬そう思ったドンキホーテ達、その考えは甘かったと言わざる得ない。

 デイル博士が両手を挙げ手のひらをこちらに向けた瞬間手の中に石が垣間見える。


 その石はドンキホーテ達の目に触れた瞬間輝きだした。


「う!」

「閃光のルーン石か!?」


 レーデンスは石の正体を看破する。だが、効果が発揮された後では、対策のしようがない、二人は目を潰されてしまった。

 その隙にデイル博士は、懐から取り出したスクロールを広げる。すると再び魔物が召喚された。頭にツノの生えた黒い馬だのようなそれに、デイル博士は跨り走らせる。


「待ちやがれ!」


 目の慣れてきたドンキホーテは叫んだ、しかし、言葉だけでデイル博士を止めることは叶わない、そのまま博士を逃してしまう。


「ドンキホーテ行くぞ!」


 同じく、目の慣れてきたレーデンスは急ぎ、馬に乗った。


「おう!」


 ドンキホーテもまた馬に乗り込み、馬の腹を蹴る。二頭の馬はデイル博士の黒い馬を追いかけて走る。




 デイル博士を追ったドンキホーテ、追跡にはレーデンスの「感知」のアビリティが役に立った。

 いく先でデイル博士の気配をレーデンスは敏感に感じ取り、迷うことなく馬を走らせることができた。

 デイル博士は先ほどの地点の近くの森の中に入っているようだとわかるとドンキホーテ達はさらに馬を急かした。

 同じく森の中に入った二人、デイル博士を逃すわけにはいかない、急ぎ取り押さえ、リヴァイアサンを止める方法を聞き出さなければ。

 するとレーデンスは唐突に告げた。


「ドンキホーテ、デイル博士が止まった。この先で待ち構えている!」


 その言葉を聞き、ドンキホーテは奇妙に思う、なぜだ、逃げることを諦めたのか、それとも別の理由があるのだろうか。

 嫌な予感がしながらもドンキホーテは、デイル博士が待ち構えている場所へと足を進めた。

 森の中のひらけた場所に出る。

 そこは中心に巨大な木が存在し、その木が周りの栄養を吸っているためか、周りに木々が生えておらず、コロシアムのように円形の広場ができており、戦うのに十分な広さを持っていた。

 そんな場所の中心でその大木に寄り添うようにしてデイル博士は二人を待ち構えていた。

 ドンキホーテとレーデンスは、明らかに罠であることを察しながらも、馬から降りデイル博士に近づいていく。


「よう」


 凍てつくような沈黙を、最初に破ったのはドンキホーテだった。まるで往年の友にあったかのような口調でデイル博士に話しかける。


「捕まる気になったかい? デイル博士」


 我ながら、ありえないことをペラペラ喋れるものだとドンキホーテは自分自身に感心した。そして実際にそんなことはありえなかったのだ。


「まさか、ここで君達を殺すためですよ」


 遠くで爆発音がするそれはリヴァイアサンと騎士団が戦っている証拠でもあった。どちらが優勢なのだろうかドンキホーテ達にはわからない。

 それが焦燥感につながらないよう、ドンキホーテとレーデンスは冷静になるよう心がけて剣を抜く。

 もはや日は傾き、夕暮れだ、月光が剣に写る。静かに二人は視線で意思を伝え合う、いつでも博士に同時にとびかかれるように。


 そして再び王都エポロの方向から爆発音がした。


「うおお!!」


 その爆発音を皮切りに二人は、地面を蹴った。まるで放たれた矢の如く、ドンキホーテとレーデンスは博士に肉薄していく。


 そして、ドンキホーテとレーデンスの剣による平打ちが、博士に届くかと思われた瞬間。


 デイル博士は地面に手を押し当てた。光が、禍々しい黒い光がドンキホーテ達を照らす。

 その光はやがて、刹那の時間で人型を形成し、徐々に肉へと変化していく。そしてそれは禍々しい化け物へと変化した。

 その化け物は頭が透明なゲルで形成され脳が肉眼で視認でき、目は一つ、胴体は脈動する血管で覆われていた。

 その召喚された化け物は肉体が形成された後、瞬時にレーデンスとドンキホーテの剣を手で受け止めた。


「な!」


 ドンキホーテは剣を受け止められ驚愕を言語化した。


「こいつは!」


 レーデンスもそれは同じだった。突如現れた人型の化け物に二人は困惑し、一旦剣を離し、距離を取った。

 デイル博士は笑みを浮かべていう。


「行け、悪魔よ、私の願いを叶えたまえ」

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