第142話 新たなる力
「はっ、負けそうじゃあねぇか」
ドンキホーテの意識は朦朧とし、いつのまにかあの灰の砂漠に立っていた。自分の心の中、心象の世界だ。
そして目の前には、見覚えのある男がいる。デリメロ。最も憎むべき男だった。
「結局テメェも俺と同じか、中途半端なところで何もできず死んでいく」
俺と同じだな、とデリメロは力無く笑う。そんなデリメロを見てドンキホーテもまた笑った。
「まだ負けちゃいないさ」
「なぜ、そう言える」
「俺はまだ諦めちゃいない」
──ぎゃははは
デリメロは笑った。
「諦めないだけで何かが成し遂げられるほど、世の中甘くねえよ! お前もよく知ってんだろ?」
「……ああ、よく知ってるさ」
ドンキホーテは思い起こす、復讐を誓ったエルフの半亜人の教授を、恋人のために永遠の時を作り出そうとした男を。
彼らもまた諦めない、執念を持っていた。
それを挫いてきたのはドンキホーテ自身だ。
「お前が挫かれる時がきたのさ」
デリメロは笑う。
だがドンキホーテも笑みを絶やさなかった。
「それはどうかな」
ドンキホーテの言葉にデリメロは怪訝そうな顔をする。
「何?」
「俺は、最後まで足掻く、どんな手を使っても……だから──」
ドンキホーテはデリメロを指差した。
「──力を寄越せ……お前の力を!!」
─────────────
ガーレンの斧が、ドンキホーテの頭上に振り下ろされる。
その時だった。
──ガキン!!
ドンキホーテは片手で、ガーレンの斧を受け止めていた。
「なに……?」
思わずガーレンは驚く、次の瞬間、ガーレンの腹部に衝撃が走った。
「がは!」
ガーレンは吹き飛ばされ、横転するも咄嗟に斧を持ちながら片手でバランスをとり、再び二本の足で大地に立つ。
何が起こった、明らかに先ほどまでのドンキホーテの動きではなかった。見切れなかったのだ、攻撃が。
ガーレンはドンキホーテの急激な成長に驚愕しながらも、冷静にドンキホーテを観察のために睨みつける。
「何が……起こった……明らかに今までの動きではなかった!」
するとドンキホーテが叫ぶ。
「ヴァルファーレ!!」
その掛け声と共に、ドンキホーテは体に変化が起こる。
頭の頂点には青白い、光輪が現れ。
右腕は蒼水晶に覆われた。
そして右目に特徴的な模様が現れる。
線と点が複雑に混ざり合ったそれは何かのシンボルにも見えた。
「シジルだと!」
それを見た、ガーレンは驚きを口にした。
「高位の悪魔をその身に宿していたとはねドンキホーテ!」
ドンキホーテはハァ、と息を吐く。
──最初からヴァルファーレは俺を認めてなんかいなかった。
頭の中で声が響く。デリメロの声だ
──お前に負けたあの日から、ヴァルファーレはお前を正式な主人として向かい入れていたんだ。
ドンキホーテは力を込めて剣を握りしめる。
──俺は、お前の体を借りてたから使えただけ、はッ! 皮肉だぜ、テメェのおかげで俺は暴れられたってわけだ。だが覚えておけよ。
デリメロは叫ぶ。
──いつだってテメェの肉体は俺が狙ってるからな。
「だったら乗りこなしてやるさ、お前の狂気も、この力も!!」
「何を一人でボソボソと!」
ガーレンがドンキホーテに向かって大地を蹴ったその速度は流星のようだった。
常人どころか、鍛錬を積んだ戦士にすら目視が難しいほどの、烈火の如き、そのガーレンの移動を見切れる者がいた。
ドンキホーテだ。
──ガキン!
瞬時に移動し、振り下ろされたガーレンの左手の斧をドンキホーテは斧が加速し、威力が発揮される前に蹴りで止めた。
「くっ!」
思わず、驚きの声を上げるガーレン、そのままドンキホーテは青いマントをたなびかせ回し蹴りをガーレンに食らわせる。
ガーレンは、その蹴りを右手の斧で防いだ。
宙に浮いたガーレンはそのまま身を翻し地面に着地し、ドンキホーテと距離をとり斧を構えなおす。
「強いな」
ガーレンのボソリと呟く。
「だが、このまま僕も負けるわけにはいかないんだ」
ガーレンはそう言い、グッと全身に力を込め始める。そして、ガーレンの怒りが憎しみが全身に行き渡るように、赤いオーラが彼の全身を包み込んでいく。
本気、ドンキホーテはそう思った。
ガーレンの戦士としての力、つまり闘気が全身へと周りそして、ガーレン体に赤い布のような光が現れた。
その布はガーレンの四肢にまとわりつき、風もないのにたなびいていた。
「行くぞ、ドンキホーテ!!」
ドンキホーテは剣を構えた。
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