第138話 因縁のケリ
「天使の召喚……しかも、サンダルフォン様の分霊か!」
空に見えるは地に足をつけた光り輝く光輪を持つ、巨大な女天使の上半身、それを見上げつつシーライは、歯を食いしばる。
一方ダンは、その巨大な女天使の右肩に乗りシーライを見下ろしていた。
「サンダルフォン、よく来てくれた」
労いの意味を込めた、言葉だったが、巨大な女天使サンダルフォンはため息をついた。
「また、争いですか……ダン、いつになったら人は平和を愛するのです?」
「そんな問答をするべき時間ではない、サンダルフォン。今やるべきは、目の前の男を戦闘不能にすることだ」
サンダルフォンはその足元にいた自分にとっては小さき人であるシーライを見ると、落胆と失望の表情を表す。
「見ていましたよ、貴方たちの争いを、かつての旧友と争うなど……」
「そんな時間はないと言っているだろう、くるぞサンダルフォン」
サンダルフォンの足元にいた、シーライが突如苦しみ出した。
断末魔のような金切り声をあげ、体から炎が噴き出している。
吹き出した炎はやがて背中に周り、炎の翼となった。
シーライは叫ぶ。
「サンダルフォン様! 分霊とはいえ、お覚悟、願いたい!」
炎の翼を得たシーライは、飛んだ。炎の翼が推進力となって、流れ星の如き速度でサンダルフォンの首目がけて飛んでいく。
狙うは首そこが人型の天使にとっても急所だからだ。
だがそんなことはダンにもわかっている。
咄嗟にダンは、サンダルフォンの右肩から跳躍し、突進してくるシーライの前に出ると、
「フッ!」
蹴りを放った。その蹴りをシーライは光の剣で受け止める。
──ガァン!
両者の力は拮抗し合い、衝撃が空気を振動させた。ダンは叫ぶ。
「サンダルフォン!」
瞬間、サンダルフォンの頭の光輪が輝き、サンダルフォンの周囲の空間が歪んだ。そして、
──キィィィン。
という甲高い音共に、シーライの腹部が光が瞬く。
「ぐっ!」
その光が爆発的に広がったかと思うと、シーライの体は遥か彼方に吹き飛ばされ、近くの大地を抉って横転していった。
「さすがの念力だ、サンダルフォン」
「このような力の行使は、私の望むものではありません、ダン……」
「わかっている」
そう言いながら、空中に放り出された、ダンを両手でサンダルフォンは受け止め、再び右肩の位置にダンを置いた。
「だがもう少しだけ、力を貸してもらうぞ、サンダルフォンあれしきで奴が止まるとは思えない」
その発言に応えるように、シーライが叩きつけられた、地面から火柱が上がった。
「ウリエルの力をその身に完全に宿したな……」
ダンの呟きと共に、雄叫びが天にまで響き渡る。
「ダァァァン!!」
憎しみと、怒りが混じったその声の主は地面に立ちそして二刀流の光の剣を、構えた。顔は鬼の形相と化し、頭上には煮えたつマグマの炎の光輪が出現していた。
──ゴボ……ゴボ……
とシーライの頭上の光輪が音を立てる、それはまるでシーライの怒りを体現しているかのようであった。
「なぜ、貴様が! サンダルフォン様の分霊を呼び出せる!」
分霊、それは超自然的存在、つまり、神や、天使、悪魔などと言った者の、魂の片割れである。
分霊は願いや信仰によって本体である超自然的存在から、魂の片割れを送り出される。
つまり、この巨大なサンダルフォンの分霊を呼び出せるダンは信仰の力が人一倍強い存在であるという証左なのだ。
シーライは納得がいかなかった。なぜ、教会から逃げた者がここまでの力を扱えるのか、と。
「私は! 貴様も! あの汚れた半魔人も! 認めない!」
その言葉と共に、シーライは飛んだ炎の翼を広げ、空を舞う。
「サンダルフォン!」
「わかっています!」
サンダルフォンはダンの呼び声に答えて、純白の羽を広げる。羽から羽毛が舞い落ちると、その数多の羽毛は光り輝く。
するとその羽毛たちは、光の粒子となりまるで流星の突如として加速する。
その光の粒子たちが向かう先はサンダルフォンとダンに向かってくるシーライだった。
光の尾を描きながら飛んでくるその光弾をシーライは認識すると同時に、自らの体を捻り光弾を躱す。
だが数多放たれた、光弾は第一波だけでは終わらず、第二波が、シーライに襲い掛かる。
光の尾が絡み合う紐のようにシーライの元へと飛んでいく。
「舐めるなぁ!!」
だがシーライはそれらの光弾を二刀流の光の剣で、光弾を切り裂きさらに加速する。やがて、第二波をくぐり抜け、ついに、シーライはサンダルフォンの元へと接近できた。
「サンダルフォン様! お許しを!!」
─ーザン!!
シーライの斬撃が、なんと、サンダルフォンの右肩ごと腕を切り落とす。
「くう!!」
苦悶の声を上げるサンダルフォン、そして共に落下していくダンを見つめると、シーライは叫んだ。
「終わりだ! ダン!」
「く!」
落ちゆく、ダンに対して二刀流の光の剣を重ね一本の両手剣へと変化させたシーライは、その剣を振り下ろす。
ダンは、腕をバツの字クロスさせ、その両手剣を防ぐ、しかし、
「ぐ!!」
ダンの両手に激痛が走る。闘気による強化や、パラディンと化したことにより強化されたダンの鋼の体にダメージが通ったのだ。
剣がダンの腕を焼き切り始めていたのだ。それを見たシーライは歓喜の声を上げる。
「勝つのは私だダン!」
思わずニヤリと笑みが溢れる、シーライを見て冷静にダンはバツの字にクロスさせた腕を十字の形にクロスさせた腕を移動させる。
そして、ダンは叫んだ。
「逆だ、シーライ! この時を待っていたぞ!」
ダンの腕が光り輝く、クロスさせた腕に驚異的なエネルギーが集まっていることをシーライも予知できたが全てが遅かった。
「クロス・シュトラール」
ダンの言葉と共にそのクロスさせた腕からシーライに向かって、熱が、光が放たれた。
光はシーライを包み込みそして、同時に彼の意識さえも焼き切った。
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