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シシ狩り!〜自分の正義を貫いた結果、パーティを追放されたけどまあいいか!俺は自分の夢を信じて突き進むだけだ!〜  作者: 青山喜太
幻想英雄譚編

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第129話 ダンの目的

「俺たちを助ける?」


「ふぁ、なんじゃ騒がしい……」


 ドンキホーテの言葉に覚醒を促されそう言うと共に起きた、アレンは辺りを見回す。

 すると、予想に反して元気な姿を見せる少年、ドンキホーテを見て思わず、


「ドンキホーテ!? もう大丈夫なのか?!」


 と大声を出した。


「ああ、大丈夫だぜ、見てくれよ!」


 ググッと力こぶを作る、鎧の下ながら地味に浮き上がる、二の腕の鎧を見てアレンは溜飲を下げた。


「だから言ったろう、大丈夫だと」


「いや、すまんなダン殿、疑うような真似をして」


「どういうこった?」


 疑問を呈するドンキホーテにダンは、笑みを浮かべながら言う。


「なに、アレン殿がどうしても心配だと言ってね、君から離れなかったのさ」


「どうしてもドンキホーテの話からするとパラディンが今回の事件に関わっているようじゃから、どうもな……」


 ダンは申し訳なさそうに、語る。


「いや、いいさ、今回の件、私にも一枚噛ませてほしいと思っているからね」


 トントンとダンは机に置いた本を叩く。


「これは、我々、聖十字教の聖書だ」


 それを重々しそうに開くと、ダンは言った。


「妊婦や子供、それらは守られるべき存在である。それは我々への一番守らなければならない教えだ」


 本を見つめるダンは、彼は本ではない何かを見つめているようだった。

 言い得て妙だが本を見ているのではなく本を通して何かを思い起こしているような、そんな雰囲気をドンキホーテとアレンは感じとった。


「アレン殿から聞いた」


 ダンはドンキホーテを見つめる。


「シーライ神父が、この作戦に加わっているのかね、本当に」


 コクリと、頷いたドンキホーテにダンは目を細め、そしてか細く火をふき消すように言う。


「そうか……」


 それは何かもを諦めたかのような、そんな呟きだった。


「知り合いか? ダンさん?」


 ドンキホーテの問いにダンは笑う。


「ああ、まぁ、同じパラディン……面識ぐらいあるさ」


 何かをはぐらかせられたような答えに、ドンキホーテは釈然としなかったが。

 だがダンはそれ以上答えようとしない。それどころか、


「そうだ、せっかくだから、よかったら風呂でも入るといい、教会には浴場もある」


 と、話を切り上げようとしていた。ドンキホーテは詮索をするつもりはなかった、魔女アレンも同じく。


「……ありがとう、ダンさん」


 そうドンキホーテは感謝した。



 ─────────────


「シーライ、やはりお前が……」


 ダンはドンキホーテ達が去った部屋の中でただ一人つぶやく、そしてもう冷めてしまった茶を飲むとボソリとつぶやく。


「はぁ、温いな……」


 そしてカップを握る指に力を込めると、そのままため息と共に脱力した。


「数奇なものだよ、運命というのは……」


 ─────────────


「ふぅ」


 と息を吐きながらドンキホーテは風呂に浸かる。大人が数人は入れそうな、この大浴場は病院の代わりとしても度々機能するこの村の教会にとってもかなり有益なものらしい。


 なんでも、病人の身体を清潔にし、綺麗な体のまま床につけると評判でわざわざ金を払うから入れてくれと言う者もいるのだとか。


 そんな浴場を楽しむドンキホーテの隣には気まずそうな、カインがいた。


 ドンキホーテはチラリとカインの方を見る。隣は女性用の浴場、はしゃぐチャルの声と嫌がるアレンの声が聞こえる。


「いやぁ、その、なんだ、きもちいいな……」


「無理に話さなくていい」


「はい」


 一瞬で、会話が途切れた、だがドンキホーテ自身、何かカインの様子がおかしいことに気がついていた。いつもより暗いような。


 それはお前がいるからじゃないのか?


 男の声が響いたような気がした。


「悪い、気を悪くさせた、先に出るぜ俺」


 そう言って湯槽から出ようとした時だ。カインが言った。


「待って!!」


 ピタリとドンキホーテは止まる。


「その……」


 湯の中で三角座りをしまるで自分を守るようにカインは言った。


「ドンキホーテ、お前……も、僕たちの魔法のせいで……」


「……」


「ごめん……」


「……何を謝る必要がある!」


 ドンキホーテは言った。力を込めて、楽そうに、辛さを跳ね除けるように。


「……お前が悪魔につかれたのも、暴走したのも、僕たちがいた組織がやったことだ」


「そんな……気にすんな。俺は俺が望んでこうなったことだ

 、たしかにこうなるなんて、思わなかったけどな」


 だから、とドンキホーテはカインを諭すように言う。


「俺は、だから自分が灰色のホウキの被害者とはもう思わないぜ」


「どうして……」


「カイン、お前は優しいやつだ、多分俺だったらお前みたいに深く考えられなかった、怒りに身を任せることしかできなかった」


 ドンキホーテは天井を見る。なんの面白みもない白い天井。それはまるで自分自身のようだとドンキホーテは自虐した。


 何もかも、染まりやすく、流されやすい男だったと言うことだ。


 ドンキホーテは俯いた。


「俺はな、カイン……いろんな人の夢を潰してきた、復讐したい、大切な人を永遠に生き延びさせたい、なんて、色んな夢を、自分の夢を叶えるために」


 湯に移るのは自分だ。いつものドンキホーテだ。


「俺は、英雄になりたかった、でもな、その結果がこれさ、俺は自分の意思で自分の手を汚しただけだ」


 ドンキホーテは、カインを見つめた。


「俺は、特に考えもしなかっただからこうやって、誰かを傷つけてしまった。なぁカイン、お前は優しい。お前は考えることができるんだ」


 ドンキホーテは噛み締めるように言った。


「お前が一番辛いはずなのにだ。だから、その、なんだ、俺も、その……」


「なんだよドンキホーテ」


「……とにかく、俺はお前を恨む資格なんてない、俺の自業自得なのさ、でも、その、ありがとう、な、心配してくれてよ」


「別に心配なんてしてないし……僕はもう出る」


 そう言って足早に浴場から去っていくカインをドンキホーテはそれ以上は追わなかった。


「すげぇよな、俺より年下のはずなのに……」


 そうつぶやくドンキホーテは、何故か心が軽かった。


 ──あいつは俺に向き合おうとしてるんだ、俺にだけじゃない、自分のルーツに、母に、灰色のホウキに。


 ならばとドンキホーテは思った。


「俺も向き合わなきゃだな、あいつと」

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