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シシ狩り!〜自分の正義を貫いた結果、パーティを追放されたけどまあいいか!俺は自分の夢を信じて突き進むだけだ!〜  作者: 青山喜太
幻想英雄譚編

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123/145

第123話 もう一つの

 ──ぎゃはは、ぎゃはは。


 木霊する。あいつの声が。

 途切れずに、耳の中をぐるぐるとかき混ぜるように反響している。

 騒がしくそして、止まらない、最悪だ、どうして俺は──


 ─────────────


 ──ギャハハ!!


 ドンキホーテは大声を上げて笑う。ちぎり取った首を手にしたまま。


「殺してやった、殺してやったぞぉ!!」


 踊る、踊る、歪にそして嘲笑するように、踊るドンキホーテの姿は村の住人にはまるで悪魔のように見えたのだろう。

 次々と、家の中から戦いを眺めていた野次馬達は次々と息を殺し、隠れ潜んだ。


「あぁ……やっと俺の番だ!!」


 ドンキホーテは天を仰ぎ見て笑う。


「なぁ! お前、本当は、ギリギリだったんだろ! だよなぁ! 連戦につぐ連戦! まともに寝もせずに戦い続けてよぉ! だから俺に体なんぞ持っていかれるんだドンキホーテ!!」


 ドンキホーテは笑いながらそう叫ぶ、カールの生首を放り投げ、そして、朝焼けの空に向かって嬉しそうに吠えた。


「俺はまた自由だ!」


 だが、その言葉の次の瞬間、ドンキホーテの体は自由が効かなくなる。


 ──ジャララ


 という音とも共に、まるで光を物質にしたかのような、光輝く鎖によってドンキホーテの全身はがんじがらめにされた。


「おいおい」


 だが、当の捕らえられた本人はさぞ余裕そうに、この鎖の大本を見た。


 鎖の大本にいたのは魔女アレンだった、彼女の近くに浮遊する魔法陣から光の鎖が伸びている。


「せっかくの自由時間なんだぜ、先生(センセ)? も少し、遊ばせてくれよ」


「お主! やはり! 混ざってあるな……! いや、というより」


「共生って言ってくれよ、センセ。俺はこいつと一緒に体をシェアする立場なんだ、少しぐらい俺にも遊ぶ権利があるとおもわないか?」


「その赤い水晶……」


 アレンは目を細め、見抜く。


「やはり、精神交換事件の犯人の能力と同じようじゃな!」


「ご名答だ……」


 ──ギリギリギリ


 ドンキホーテは体に力を込め出す、鎖を引きちぎろうとしている、それがわかった白猫のアレンは言う。


「やめておけ、解けはせん」


「どうかな」


 ──ギリギリギリッ


「センセ、アンタ、手加減したろ?」


 ──バン!!


 光の鎖が弾け飛ぶ。


「ギャハハハハハハ!! 俺は止められねぇぜ!」


 男は叫んだ、嬉しそうに。


「あの時みたいに、氷の魔法で迎え撃てばいいものをよぉ! 知り合いだからって躊躇したかぁ!?」


 ドンキホーテは大地を蹴って突進する。目標はアレンその人だ。


「死ねやぁ!」


 体で風をきりながら剣を構えるドンキホーテ、しかしアレンは落ち着いていた。


「戻ってこいドンキホーテ、お主ならできるはずじゃ」


「……!!」


 そしてついに剣がアレン目がけて振り下ろされるその時

 剣は、ピタリと止まった。

 そしてドンキホーテの体から、ゾワリと力が抜けていく。

 急に力を失った影響なのか、ドンキホーテはそのまま、足からグダリと崩れ落ちた。

 だが、途中で体に力を入れ戻したドンキホーテは、体を地面に預けることなく、両手を使って体を支えた。


 どしゃりと落ちる剣。その剣と同時にどうやらドンキホーテが戻ってきたらしいことを感じたアレンは静かに話しかける。


「ドンキホーテ、やはりお主、混ざった、いや、心に住まわせてしまったのじゃな奴を」


「……」


 ドンキホーテは何も答えない。


「何も言わんでいい、お主のアビリティが「不変」であることを聞かされ、心同士が混ざることはないと、タカを括っておった、ワシの責任もある」


 そして魔女は重々しく、言う。


「犯人が使っておった悪魔もひょっとしてその心にいるのかの?」


 コクリとドンキホーテは頷く。


「どうして言わなんだ?」


「言ったら遠征隊にきっと参加できないと思ったんだ……俺は……俺は……すまない先生……」


「……もうよい……」


 謝るドンキホーテに近づき、言った。


「お主は充分戦っておる、それ以上傷つかなくて良い」


 ドンキホーテはその言葉を前にただ歯を食いしばることしかできなかった。

 晴天に雨が降る。

 ドンキホーテの頬を,少し濡らした。

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