第121話 三人の刺客
「おい、このまま出てこないと、この宿に火をつけるぞ!」
「兄者、流石に火は……」
「ガハハガハハ!」
「ウルセェ、ジール、俺たち3兄弟にタブーはねぇ!」
外から聞こえる声が木霊し、宿の2階の一室、ドンキホーテ達のいる部屋に響く。
「やられた!」
──ダン!
ドンキホーテは壁を叩きそう言った。追手だ追いつかれてしまった。加えて、マーシーが熱を出している今、どうすればいいのか。
ドンキホーテは頭をフルで回転させる。
結論は一つしかない。
「アレン先生」
「分かっておる、マーシーの容体はわしが抑える、胎児にも影響が出ないように、治癒の魔法での、じゃがそれがどう言う意味かわかっておろうな?」
「アンタは戦いに参加できない、だろ? 任せてくれ外を見たところ敵は3人だ、ジミニーさんと先生の陽動と撹乱が効いてる証拠だぜ」
「だから」とドンキホーテは、窓に近づいた。
「ここが踏ん張りどころだ!」
「ドンキホーテ!」
カインの声に、ドンキホーテは叫ぶ。
「カイン、チャルとマーシーさんを頼む!」
そう言ってドンキホーテは窓から飛び出した。
─────────────
ドンキホーテは二階から飛び出し、着地する。
まず目に写るのは、三人の男、馬に乗り、横にバラバラながら並んでいた。
まずドンキホーテの目に入ったのは彼から見て左の男、坊主頭で気が弱そうな顔をしているが、鎧の上からでもわかる体つきは戦士そのものだ。
そして中央の男はいかにも自信に満ち溢れた表情、ドレッドヘアーに白い肌、薄汚れたマントと急所だけ守ったの鉄の鎧の下には平服を着ている。筋骨隆々の身体はいかにもリーダーと言った様子だ。
最後の右の男は張り付いたように、笑顔を崩さない。ボサボサの髪に、貧相でボロボロの服装、いかにも落伍者だ。
右の男以外は、きちんとした軽装であるものの鉄の鎧を着込んでおり、戦士だと言うことがわかる。
──右の男は、魔術師……いや。
そこまで考えたところで、最初に右のボサボサ髪の男が剣を引き抜くのを見ると。考えを改める。3人とも戦士だ。
「ガハハ!」
ボサボサ髪の男が笑いながら、剣を引き抜くのを見ると、中央のリーダー風の男が、言う。
「おいおい、ラール、待てよ、まだこいつは名乗ってすらいねぇのにおっぱじめるのか?」
その一言に、不安げな顔をした坊主頭の男が諭す。
「兄者、早く殺そう、こいつは魔弾の射手を相手にできる」
「うるせぇぞ、ジール! このカール様、そしてお前ら兄弟が揃ってるのに負けるわけがねぇだろ! 楽しんで行こうぜいつも通りな!」
楽しむ、その一言にドンキホーテは引っかかった。
「この状況を楽しんでいるのか? 人が死ぬのに……っ!」
そのドンキーホーテのセリフを聞いた瞬間、兄者と呼ばれた男はカールは笑う。
「馬鹿が、だからだろうが! さぁ名乗れよ、ドンキホーテ! お前、騎士なんだろ! 名誉は尊重してやるよ!」
ふざけてくれる、ドンキホーテは剣を抜き放った。
「俺の名誉なんぞ、とっくに汚れきっている!」
「そうかい!」そう叫んだカールは背中のマントに手を突っ込み斧を取り出す。そして、
「ジール! ラール! いくぞ!!」
そう叫んだ。
瞬間、3人は馬上から消える。ドンキホーテは直感で理解した。
高速で移動しているのだと。
──ブリッツ・ステップ!
そして、理解と同時にカールの斧が首元に迫る、ドンキホーテは瞬間的に左手に装備していた盾で、迫り来る凶刃を防ぐ、だが刹那後ろにも殺気を感じたドンキホーテは、剣を後ろに向かって薙ぎ払う。
「ほう、やりますね」
そんな言葉を発しながら坊主頭のジールがその薙ぎ払いを槍で受けていた。
そして続けて巧みな槍捌きで、ドンキホーテの剣を弾いた後、ジールは槍の柄を使い、ドンキホーテの頭に殴打を繰り出した。
だがその殴打はドンキホーテの剣によって阻まれる。
「ラール!」
しかしそのやりとりに集中している場合ではない。ボサボサの頭の剣使いラールが高速でドンキホーテに剣で斬りかかる。
──ギン!
咄嗟にドンキホーテは盾でその強烈な一撃を防ぐも、吹き飛ばされた。
転がり、自らの剣で衝撃の勢いを殺したドンキホーテ、しかし敵は休ませてくれない。
続いて、再びカールの一撃が襲いくる。
「くたばれぇ!」
カールの叫びと共にきたその重い一撃は、
「なめるなぁ!」
ドンキホーテの巧みな剣術で、受け流される。
斧が弾かれたのを見て、カールは一旦距離を取る。
ジールとラールも、ドンキホーテを囲むように場所取り、様子を伺った。
「なるほどやるなぁ」
カールは言う。その口調には余裕が見えておりまるで、緊張などしていなかった。
それどころかニタニタと笑う、カール、張り付いた笑みのラール、不安げな顔をしているジールでさえ、ある確信を抱いているとドンキホーテは感じていた。
それは自分達が勝利すると言う曇りなき自信。
その自信を持ってこの三人はドンキホーテは相対している。
それは言い換えれば、絶対に殺してやると言う覚悟をこの三人は持っていると言うこと他ならない。
ドンキホーテは、息を整える。この三人はふざけているようだが間違いなくプロなのだと改めて実感する。
「ドンキホーテくん」
カールは笑いながら、ふざけながら、喋りかける。
「お前、次で殺すぜ」
その一言で、ゾクリと、背中に悪寒が走ったドンキホーテはあたりを見回した。ここは村の広場、いつのまにか、縦横無尽に動ける場所に誘導されていた。
彼ら、三人の兄弟の力が最大限、発揮できる場所に。
──まずい!
そう思った時にはもう遅かった。広場の真ん中まで誘導されていたドンキホーテは、もはやなす術はない、三人の兄弟がそれぞれ加速する。
最初にカールの斧がドンキーホーテを襲う、ドンキホーテはそれを剣で防ぐも、鎧の隙間を縫って、肩を切り裂かれる。
続いてジールの槍が迫る、ドンキーホーテは咄嗟に避けたが、脇腹を掠る。
避けた先でラールの剣が来る。ついに完全に避けきれず、ドンキホーテは胸を斬りつけられた。
鎧によってなんとか致命傷は避けられたものの、鎧に傷がつき火花が散る。
だがそれにより体制を崩したドンキホーテはもはや三人の兄弟にとってただの的であった。
「お前ら合わせろ!」
三人の高速移動によって嵐のように風が吹き荒れる中、カールの声が響く。
そして、体勢を崩し空を見上げたドンキホーテの視界に彼ら三兄弟が、武器を構え降下してくるの姿が写る。
─ーまずい終わる。
「終わらせねぇよ」
デリメロが笑う。
「ヴァルファーレ!!」
頭の中にそんな声が響いた。
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