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シシ狩り!〜自分の正義を貫いた結果、パーティを追放されたけどまあいいか!俺は自分の夢を信じて突き進むだけだ!〜  作者: 青山喜太
幻想英雄譚編

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第102話 死闘③

 ──バキ


 結界には多くの種類がある。敵を閉じ込める牢屋型、敵対する生物を遠ざける、撃退型、味方を通し、敵対する者とあらゆる攻撃を通さない城壁型。


 ──バリ


 特に、城壁型には物理的に触れられる分、耐久度という概念があり攻撃をしていれば摩耗し壊れる仕組みとなっている。


 ──バン!


 稲妻のような、音が走る。結界がガラスのように実体化しひび割れ、砕け散った。


「結界が破られたぞ! 総員! 魔法攻撃!」


 灰色のホウキの牙城の結界が破られたと同時に、数多の戦士たちが城壁の城門から突入する。

 そして突入を許した瞬間に待っていたと言わんばかりに灰色のホウキの構成員たちは城の内部通じる大扉の前で列をなし、魔法攻撃を開始した。

 雷撃、火炎の球、岩でできた槍が、一斉に戦士たる冒険者たちに襲い掛かる。

 貫かれ焼かれる、冒険者たち。

 その間から残像が飛び出す。

 音の壁を超えた一瞬の移動と跳躍、城の玄関たる大扉の前で魔法攻撃を行なっていた、灰色のホウキの防衛隊の列に残像が飛び込んだ。

 その残像は斬撃を伴い、灰色のホウキの団員たちの頭が飛んでいく。


「ブリッツ・ステップ待ちだ! 召喚魔法を使え!」


 灰色のホウキの見張りが見晴らしのいい城のバルコニーから叫ぶ、それ以上に何かを言おうとしたが銃声と共に、口を永遠に閉じた。

 城の大扉前にいた灰色のホウキの構成員たちは全滅していた。

 全滅させた張本人たる残像の正体はたったの二人だった。

 獣人ガリルと、青のマントが風にたなびくドンキホーテだ。

 たった二人の突撃により完全に防衛陣を崩されのである。

 そして雄叫びと共に、大扉を打ちこわし、ついに冒険者たち、は城の内部へと侵入した。

 冒険者たちの目に入ったのは大広間と、灰色のホウキの指導者の一人であるローザの引き入る魔術師たちであった。


「インウォカーティオ!」


 その呼び声と共に、城内部の大理石は捲れ上がる。そして土が盛り上がり人のような腕が形成され、肩、胴体と形成されていく。


「ゴーレムだ!」


 冒険者の中の誰かがそう言った時には五体満足の硬化した巨大な土人形がドンキホーテたちの目の前に姿を表す。

 大人数人分はあろうかというその巨体は計り知れない威圧感を放っていた。


「ゆけ!」


 ローザの命令と共に、ゴーレムは風切り音と共にドンキホーテの視界から姿を消した。瞬間、ドンキホーテの背後にいた冒険者数人が宙を舞う。


(アルファ)級の召喚魔法か!!」


 獣人ガリルはそう叫ぶ、そしていち早く斧を構え、未だ暴れるゴーレムに叩きつける。


「僕がゴーレムを抑える! 皆、行け!」


 乱戦が始まる。

 まず魔術師の集団に突貫したのはドンキホーテだった。ロングソードを振り抜いて、青いマントの残像を残しつつ魔術師を切り刻んでいく。

 その行為、事態に何の罪悪感も抱かない。それがなすべきことだと信じた少年はただひたすらに無慈悲に命を刈り取っていった。


「なんだこのガキ!! 動きが!」


 灰色のホウキの魔法使いの一人がそう叫ぶ、魔法による攻撃もドンキホーテにとっては大した脅威には感じられない。

 その理由は花クジラ事件での戦士の経験の吸収によるものが無意識的にドンキホーテの体を最善の方法で動かしているからであった。

 故にドンキホーテに取っては勘のいう通りに動けがいいだけだ、それ故に、ドンキホーテはこう思った。


 ──なんだ、トロいな


 ドンキホーテにとっては素人の動きにしか感じない、魔法使いたちの魔法攻撃は、ただやられるためだけに敵意を向けているようなにすら感じた。

 そうしてひたすらに魔法使いたちを倒していくドンキホーテ。

 だがその殺戮に歯止めをかけたのが一人、ローザだ。

 ローザはドンキホーテの前に躍り出ると、持ち前の杖でドンキホーテの剣を受け止めそのまま受け流す。

 その一連の動きはまるで風の流れや、流水のごとく、自然の力のように剣の軌道を逸らしていた。そしてそのままローザは剣を思わなぬ方向に弾かれ耐性の崩れた、ドンキホーテの額に手を翳す。


「バスターショック──!」


 ローザの詠唱は成功した、翳した掌から衝撃波が発生し、ドンキホーテは吹き飛ばされる。


「があ!!」


 大地に背をつけるドンキホーテ。すかざすローザは追撃をドンキホーテに食らわせるべく杖の先端に、氷の刃を形成し、近づいた。

 その一連の動作は一寸の無駄がない、瞬く間にの喉元に氷の刃が迫っていくのをドンキホーテはただ見つめていることしかできない。

 だが、ほんの一瞬、刹那に、ローザの目に躊躇いが見えた。その躊躇いがなければドンキホーテは死んでいたろう。

 斧が飛来する。

 飛来した斧はローザの肩を抉った。


「ぐ!」


 ローザは投げた方向を見た、ガリルだ、獣人ガリルが一瞬の隙を突きゴーレムの戦いの合間に副武装として携行していた投げ斧を投げたのだ。

 ローザは思わぬ負傷に戸惑った。誰かが駆け寄る。


「マザー! ここは私たちに!」


「ジョン! ぐっ! 任せます!」


 ローザはジョンに指揮を一任し、そして唱えた。


「ムータ!」


 ローザは青の蝶と化し飛び去る。ドンキホーテはそれを見逃さなかった。


「待て!」


 少年は蝶を追いかける。複数の魔術師の背を飛び越えながら。

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