進くんとジュリさんです!
俺達は一通り遊園地を満喫し、昼食をとる。園内の食事はやっぱり割高だが、ある程度は仕方ないか。
俺とアミィはホットドッグを頬張りながら丸テーブルで話す。ホットドッグを頬張るアミィを見ていると何だか妙な気分になった。
「それにしても、アミィって意外と根性あるよなぁ……」
「そうですかぁ?」
アミィはキョトンとしながら俺を見つめる。本人には全く自覚はないみたいだけど、アミィの胆力は相当のものだ。
「それなのに、何で海ではあんなに怖がってたんだ? アミィ」
「あ、あれはちょっと違いますよ! だって、足がつかないんですよ? どこかに流されたら帰ってこられないじゃないですか!」
言っていることは間違っちゃいないんだけど、なんか釈然としないな。まぁ、今日はこのことは脇に置いておこう。
「さて! それじゃあ午後からも思いっ切り遊ぼうな!」
「はい!」
昼食を食べ終えた俺達は、次に何をしようか考えながら、二人で並んで広場を歩く。
すると、目の前に男の子が歩いているのが見えた。目には涙を浮かべてすすり泣いている。どうやら迷子のようだ。
「お姉ちゃん……お姉ちゃん……ぐすっ」
すると、アミィがその男の子にトテトテと駆け寄る。
「どうしたの? 坊や? 泣かないで? ね?」
「うぅ……ひっく」
「何かお姉さんに出来る事、無いかな?」
アミィは男の子に優しく話しかける。こんなアミィを見るのは初めてだから何だか新鮮だ。
「坊や、お名前は?」
「進……片瀬 進」
よかった、何とか話してくれそうだ。アミィは更に進君に優しく語りかける。
「それじゃあ進くん、今日はどうしたのかな?」
「あのね、ぼく、お姉ちゃんとはぐれちゃったの……」
「そうなんだ……」
進君の話を聞いたアミィが俺の方を向いて、お願いをしてきた。
「ご主人様、私達で進くんのお姉さんを探してあげませんか? 私、このまま進くんを放っておけません」
「そうだな……仕方ない、乗り掛かった船だ! 俺達が君のお姉さんを探してあげるよ! おいで、進君」
「……」
あれっ? 進君はアミィから離れない。
「進くん、お姉さんに付いておいで」
「うん……」
どうやら進君はアミィに付いて行きたいようだ。俺達は進君を連れて、周囲に呼び掛けながら園内を歩き回った。
…………
30分程歩いても進君のお姉さんが見つかる気配は無い。これだけ広い園内で人を探すのは難しいのかもしれないな。
「見つからないな……」
「そうですね……やっぱり迷子センターに連れていった方が良いのでしょうか」
「ひっく……ひっく……」
俺達は、進君を迷子センターへ連れて行こうかどうか迷っていた。すると、どこかから誰かを呼ぶような声が聞こえてきた。
「進ー! どこだー! おーい! 進ー!」
進君の名前を呼ぶ女性の声が聞こえる。彼女が進君のお姉さんで間違いないだろう。
「!!」
その女性がこちらに気付いたようだ。こちらを見て目を見開いている。あれは……女性じゃない、メイドアンドロイドだ。
そのメイドアンドロイドは、金髪のポニーテールでかなり勝ち気な顔立ちをしていた。
身長は160センチ程で、所々が裂けたメイド服を着ていて、足の両脇に取り付けられている長い筒の様なものが目を引く。
「てめぇらぁぁぁぁあ!!!」
そのメイドアンドロイドが猛スピードでこちらに突進してくる。そして、目の前までやって来て俺の胸ぐらを掴んで激しく揺さぶる。
「ウチの進に何してくれてんだコラァ!!!」
「ちょ、ちょっと落ち着いて……」
俺の頭がガクガクと揺れる。その勢いは結構容赦ない、何だか気持ち悪くなってきた。
「あわわ、ご主人様が……」
そんな俺達のほうを見て、進君が叫ぶ。
「ジュリお姉ちゃん!」
このメイドアンドロイドの名前はジュリというらしい。ジュリさんは進君に向き直り、ガバッと抱きついた。
「バカ! オレの傍から離れんなって言っただろ! ホントに、ホントに心配したんだぞ! うゎあ~ん!」
「お姉ちゃ~ん!」
何故かジュリさんも進君と一緒に泣き出した。この状況、俺達は二人が泣き止むまで待つしか無かった。
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