5話 戦い終えて
念のため、もう少しえぐっておくか。
「いやいや、やりすぎでしょ。それ以上やったら、完全にオーバーキルってやつだよ」
久しぶりだな。
自称神
「ほんとに久しぶりだよ。一年も戦い続けたんだから」
一年?
一年もここにいたのか?
「君は死んでも直ぐに生き返ってるつもりだったかもしれないけど、一回生き返るのに二~三日はかかってるからね」
結構殺されたからな。
それぐらいの時間にはなるのか。
「君ねぇ、それだけ殺されてよくギブアップしなかったね」
死んでも生き返るのがわかったしな。
それにギブアップ?
そんなことできるなんて知らないからな。
「心が折れかけた人には、ギブアップの選択肢が出るようになってたんだよ」
そうなのか?
一度も出てこなかったんだが。
「ね、君達はなんなんだろうね。無茶苦茶させられ過ぎて、諦めるってことをしらないのかな?」
わからん。
だが、そこにあるものだけで、常に結果をだし続けなくてはならない環境にはいたな。
「なにそれ? 棒切れ一つで軍隊と渡り合えって言われても、結果をださなきゃいけなかったって事?」
流石にそこまでの無茶はなかったが。
それでも近いものはあるかもな。
「ははは、近いものはあるんだ。そんな環境にいたんじゃ、なかなか心が折れない人がいるのもしかたがないのかな」
さあな、わからん。
「まあいいや。とにかく君のチュートリアルはこれで終了」
やっと終わりか。
「お疲れ様。他の人達も待たせているし、さっさと部屋に送り届けるよ」
ああ、よろしく頼む。
「あ、そうそう」
なんだ?
「こんな未知の世界がもっと、もーっと広がってるとしたら君はどうする?」
今回は痛い目にもあったが、結構楽しめたからな。
その先ってのも見てみたいな。
「あはは、あの激戦がその程度の評価か。君は本当に面白いね」
それがどうかしたのか?
「いや、なんとなくね。じゃあ本当に最後の質問。今まで築いてきた地位も名誉も失ったとしても、この先を見てみたい?」
ああ、そうだな。
見てみたい。
「そっか、ありがとう。それじゃ、君の部屋に送り届けるから、今日はゆっくり休んでよ」
わかった、よろしく頼む。
「それじゃあねー」