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33話 伊藤さん

 街の被害はほとんどないようだ。

 なんとか事前に防ぐことができたみたいだな。

 近隣に大きめの自然破壊の跡は残ってしまったが。


「しかし、今回の一嬢三姫はすごかったな」


「ああ、いつもよりもかなりすごいことになってたよな」


 まさか彼女たちがあそこまで暴走するとは……。


「まあでも、やっぱり最後は」


「ああ、お約束だったな」


 自爆しないようにサポートしたのに、結局自爆させて止めるしかなかったからな。

 なんというか、今後はあまりかかわりたくない人たちではあるな。




「あれ? 六三郎君?」


「?」


 フルフェイスの兜。

 誰だ?


「やっぱりそう、六三郎君だ。私よ私、伊藤佳奈美」


「伊藤さん?」


「ああ、そうか。髪型も違うし、見た目も少し若返ってるからね」


「いえ、そうではなくて。その、えーと」


「どうしたの?」


「フルフェイスの兜なので……」


 見た目どうこう以前の問題だ。


「ああ、そうか忘れてた」


「相変わらずですね」


「あはは。今回のレイド戦、流れで指揮を執ることになっちゃって。うまく倒せたのはいいんだけど」


 残り一体の魔獣を倒したのは伊藤さんだったのか。


「顔出ししてるといろんな人に話しかけられちゃって、街を歩くのも一苦労」


「それは大変ですね」


「ほかの魔獣を倒した人たちのところには行けないらしくて、どうしても私のところに人が集中しちゃうみたいなの」


「あの四人には簡単に近づけませんしね」


 あの四人はどこかの国の結構なVIPらしいからな。


「あの大きな竜もレイドボスを倒してきえてしまうし」


 表立って感謝をささげられる相手が伊藤さんしかいないということか。


「申し訳ありません」


「あはは、なんで六三郎君があやまるのよ」


「なんとなくでしょうか?」


「あはは、なにそれ」


「なんでしょうね?」


 あの後、過労で倒れて気が付いた時にはお祭り騒ぎ。

 後からいって、俺も頑張りましたとは言える雰囲気じゃなったからな。

 なんか本当に申し訳ありません。


「もう。それよりも六三郎君もこっちに来ていたんだね」


「まだ来たばかりですが」


「今も営業支援だっけ? あの仕事続けてるの?」


「あれは伊藤さんのいた会社の仕事の後で廃業しました」


「そうなの? 結構評判良かったみたいだけど」


 そうなのか。

 そのわりには報酬を値切られたりしたんだが。

 まあ、その辺はどんな所でも渋いものか。


「いろいろありまして」


「伊藤さんはまだあそこに?」


「いいえ、私もあの後クビになっちゃったから」


「は?」


 あの会社本気か!?

次回は11/3(月)を予定しています。

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