30話 配信、セラルンダ放送局 その4
『みなさんこんにちは! 今日はティアムの街周辺で起こったレイドバトルの速報だよ! そして今日のゲストはレイドボス戦を撮影していた加藤さんだ!』
『どうも、加藤です』
『加藤さん、早速だけど今回のレイドバトル凄かったねえ』
『そうですねぇ。なんせアレですからねえ』
『そうだねえ、アレだったもんねぇ』
『撮影のやりがいはありましたよ』
『だよねぇ。えーっとそうか、色々と経緯を知らない人のために簡単に説明したほうがいいかな。このセルランダって世界は定期的に街を襲う巨大な敵が出てくるんだ。それを私たちはレイドボスって呼んでる、そしてそのボスとの戦いをレイドバトルって言ってるんだよ』
『半年前は街が全壊させられましたからねえ』
『そうそう、まさかあそこまでガチンコで壊しに来るとは思わなかったよね』
『その時の映像もありますよ』
『え? ほんと? 見たい見たい。って加藤さんあの時も参加しないで撮影してたの?』
『自分カメラマンですから』
『それはしょうがないねえ。ん? しょうがないのか?』
『まあまあ、細かいことは気にせずに。それよりも映像みますか?』
『そうだね、じゃあまずは半年前のレイドバトルいってみよう!』
『うん、まあ、あれだね。手も足も出ないとはこのことだね』
『もうレイドボスに蹴散らされるみなさんが、ククク、羽虫のようでしたね。蹴散らされる人々、破壊される街、ククク、素晴らしい映像が撮れました』
『加藤さん?』
『おっと失礼』
『いやまあ、趣味は人それぞれだしね、まいいけどさ』
『おお、あなたはわかってくれますか!』
『いや全然わかんない』
『そうですかそれは残念。それにしても容赦無かったですよね』
『私も参加していたけど、あの時の私たちがどうにかできる相手じゃなったよ。しかも複数とか、あれなんて無理ゲー?』
『1体でもどうにもならないのに5体でしたからね』
『わざわざ色違いで出てきてさ、戦隊ものかっての』
『なるほどそういう見方もありますね』
『いやいや無いよ。そしたら私たち悪の戦闘員になっちゃうじゃない。しかもこっち側は怪人とかなしだよ』
『戦闘員だけの悪の軍団に巨大ロボ出されたら、勝ち目もないですよね』
『だねえ、まあ番組としても全く盛り上がらなそうだけど』
『そうですか? どんな敵でも油断せず全力で叩き潰すっていう教訓にはなりそうですが』
『それはそうだけど、そんな番組じゃグッズも売れなさそうじゃない?』
『それもそうですね』
『っと話がそれちゃったね。じゃあ気を取り直して、みなさんお待ちかねの今回のレイドバトルだ!』
『素晴らしい映像ですよ!』
『うん、私も現地にいたけど、こうやって改めてみるとまあ色々とすごいね』
『そうですね見どころがありすぎて困ってしまいますよね』
『じゃあ、その見どころを映像付きで語っていこうか!』
『素晴らしい!』
『まだまだ続くからねえ』