2話 特殊能力
寒!!
今度は一面氷の世界か。
そういえば、氷河がどうとか言ってたしな。
『やあ、みんな。元気かな?』
寒くて凍えそうだ。
『大丈夫、直ぐになれるよ』
慣れるって。
……。
あまり寒くなくなってきた。
『ほらね、平気になったろ?』
自称神。
忙しいんじゃなかったのか?
『もちろん激務の真っ最中だよ』
いや、余裕そうだろ。
『ああ、そうそう。ここに映っている僕は映像だから質問とかは答えられないよ』
本当か。
心なしか、受け答えができてる気がするんだが。
『みんな、見たこともない場所に一人で寂しいかと思うけど、これが終われば元いたところに帰れるからね』
やっと帰れるのか。
『さっきも言ったように、これからみんなにはチュートリアルに挑んでもらうよ』
チュートリアル。
簡単に終わるかどうか怪しい所だが。
『大丈夫、チュートリアルって言うくらいだから。最初の一歩だからね、そんなに難しくないよ。一部の人を除いてはね』
……。
『そうそう、流石に何の案内も無いのは可愛そうだから、今回だけは簡単な説明書をみんなに送るよ』
簡単な、か。
『あ、ただ10分で消えちゃうから、気を付けてね。それじゃあみんな、頑張ってね』
やっと消えたか。
キャピキャピしたおっさんとか勘弁してくれ。
『一部の人はちょっと、いやかなり大変だけど頑張ってね』
明らかにこっちを向いているよな。
本当に映像なのか?
『嫌だな、映像に決まってるじゃないか六三郎君』
……。
無視だな無視。
相手にすると調子に乗るタイプだ。
『あはは、つれないねぇ』
つれるもつれないもあるか。
あの手のタイプは関わると無駄に疲れるからな。
『でも、君は本当に頑張ってね』
は?
どういうことだ?
くそ、もういない。
意味深な言葉を残していくな、まったく。
それで説明書ってのはこれか。
さっきのボタンで俺へのプレゼントする能力が決まった?
俺の能力は……
【特殊能力:ヤカン拳法】
……。
駄目だな。
なんというか駄目だな。
凄いとか凄くないとか以前の問題だ。