26話 同じ阿呆なら
……。
…………。
何だ?
「ロクサブロウ!」
ルンダルナ先生?
「ロクサブロウ! 起きるのじゃ!」
俺は……。
痛みで気絶したのか。
「ルンダルナ先生」
「ロクサブロウ、大丈夫か?」
「なんとか」
「ふむ、動けそうか?」
「ええ、大丈夫そうです」
「では早々で申し訳ないが、一緒に来てもらうのじゃ!」
「わかりました」
「使い魔のことについては、使い魔を取り込んだ時点で全て主と共有されているはずじゃ。移動しながら確認するのじゃ」
共有?
どういう事だ?
「頭の中で、使い魔に尋ねてみるのじゃ」
尋ねる?
こうか?
………。
なるほど……。
初めて知るはずなのに、既に知っているという感覚。
これは不思議な体験だな。
「どうじゃ?」
「ほぼ把握できました。あとは実践しながらになりますね」
「それは仕方がないのじゃ」
「では早速。ルンダルナ先生、失礼します」
「な、なんじゃ?」
「女性を肩に乗せるのも、小脇に抱えるのも失礼かと思いまして」
「しかし、これは」
「申し訳ありません。もし落ちそうならそのまま首に手をかけて、掴まっていてください」
「は?」
「飛びます」
「へにゃゃぁぁぁああああ!」
空を飛ぶのは初めてのはずなんだが。
まるで歩いたり走ったりといった、普段の行動の一つと同じ感覚だな。
これが共有なのか。
「ろ、ろ、ロクサブロウ」
「ああ、ルンダルナ先生。大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫は大丈夫なのじゃが」
?
「何か問題があれば言ってください」
「特に問題はないのじゃが、がにょごにょ」
?
まあ、問題がないのなら。
それよりも。
これは……視覚が強化されているようだ。
いくら巨大な相手とはいえ、この距離で普通は認識はできないからな
「ルンダルナ先生。巨大な魔獣、四体確認できました。現場に向かいます」
「わかったのじゃ」
「しっかり掴まっていてください」
四体それぞれが足止めされているようが、
一体はかなりこちらが押しているな。
二体は拮抗かやや、押されぎみ。
一体はかなり押し込まれつつあるな。
押し込まれつつあるところには使い魔を。
拮抗している二体のところには取りあえず俺が。
などど都合の良くいくのか?
「ロクサブロウ」
ルンダルナ先生?
「悩むでない。好きにするのじゃ」
?
「既にこれだけの戦じゃ。お主一人が失敗を気にする段階ではないのじゃ」
確かにその通りだな。
「それにじゃ。阿呆になって、祭りを楽しむのが冒険者の醍醐味なのじゃ」
なるほど。
同じ阿呆ならか。
「好きにやってみるのじゃ」
「わかりました!」
折角の祭り。
全力で楽しんでみるか!
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