25話 邂逅
「全員一度学舎に戻るのじゃ。シルシル、お主が生徒達の指揮を執れ」
「はい! へ? 僕ですか?」
「妾とロクサブロウは先行して街に戻る」
?
俺はルンダルナ先生と一緒なのか。
「ですが指揮と言われても」
「大丈夫じゃ、戦闘に参加するわけではないからな。焦らずゆっくり、クラスの皆を学舎に連れていくだけでよいのじゃ。獣強化したお主ならば問題ないのじゃ!」
見た目も声も迫力があるし、力も強い。
確かに引率だけなら問題なさそうだ。
「わ、わかりました」
「皆もシルシルの指示に従うように」
「「「はい!」」」
「ではロクサブロウ妾達も行くぞ!」
ルンダルナ先生、見た目と違って足が速いな。
さっきの魔獣との一戦は、俺達が足枷になっていたようだ。
だが、この方向は学舎。
何故別行動を?
「ロクサブロウ」
「なんでしょうか?」
「このまま、邂逅の間に向かうのじゃ」
かいこうのま?
「お前と初めて出会った部屋のことじゃ」
「あの水晶のある部屋ですか?」
「そうじゃ、あそこであの竜をお主の完全な使い魔にする」
「完全ですか」
「うむ、今のお主達は宿す者と宿される者でしかないのじゃ」
?
「難しい話はいつか講義でする。今は簡単に説明するから、よく聞くのじゃ」
「わかりました」
「あの竜をお主が取り込むのじゃ」
「取り込む?」
「そうすることによって使い魔の力は主と共有され、主は使い魔を自由にこの世界に呼び出すことが可能となるのじゃ」
簡単な説明?
セラルンダの住人としては常識なのか?
ルンダルナ先生の様子からすると、必要な事であるのは事実のようだが。
「そこで私は何をすれば?」
「うむ、そこまで難しいことではない、行けばわかるのじゃ」
またここに来たか。
というかまた学舎を壊すことになるんだが。
「ルンダルナ先生。学舎の修復は終わったばかりでは?」
「かまわん、緊急事態なのじゃ。さあ、ロクサブロウ、今度はこ水晶にふれるのじゃ」
赤い水晶?
えらく禍々しい気がするが。
「さあ、あまり時間がない。急ぐのじゃ!」
これに、触れるのか。
竜が。
でる!
……。
また学舎の一部を破壊してしまった。
「ロクサブロウ、くるぞ!」
は?
な、竜が!!
体の中に!?
「はじまったのじゃ。ロクサブロウ、後はただひたすら耐えるのじゃ!」
は?
身体中が!
こ、これは、確かに、キツいな。
「あああああああっ」
体が引き裂かれてるのか?
あり得ないほどの激痛なんだが!
「頑張るのじゃ、ここからが本番じゃ!」
な?
「あがぁぁぁあああ!」
「安心するのじゃ、今のところその激痛で命を落とした者はいないのじゃ」
び、微妙な気休めをっ。
!?
「がああああぁぁああ!」
これは、流石にっ!!
厳しい……な………。




