表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/36

19話 配信、セラルンダ放送局 その4


『みなさんこんにちは! 今日はティアムの街で起こった謎の竜騒ぎの速報だよ! 今日のゲストは現場をたまたま見ていた鈴木さんだ!』


『どうも、鈴木です』


『そうそう。こっちの事情に詳しくない人のために、説明するよ。ティアムの街っていうのはね、日本から初めてセラルンダに来るときに降りる街だよ』


『補足すると、俺達日本人が基礎を作った街ですね』


『そうそう、最初は神父様達の教会と戦士の学舎くらいしかなかったもんね』


『そうですね。最初の頃は本当になにもありませんでしたね』


『みんな手探りでさ。あれはあれで楽しかったよね。初日の裸祭とかさ』


『そこに関しては俺はノーコメントで』


『えー、なんでだよ』


『何万という裸の野郎が、所狭しと溢れでる絵面は、まさに地獄絵図でしたから』


『……うん、まあ、何万は私も遠慮したいかな。好みの男4~5人くらいでいいや』


『確かに、好みの女性……いや、違う、違うんだ! 誤解だ、これは』


『どうしたの鈴木さん?』


『いえ、なんでもないです』


『いや、明らかにテンション駄々下がりじゃない』


『いえ、大丈夫です』


『なに? 携帯になにかきたの? どれどれ』


『あっ、ちょっと』


『正座? なにこれ?』


『いや、えーと』


『また来た』


『正座?』


『わかりました』


『鈴木さん? どうしたの急に正座なんかして、携帯の指示に従わなきゃいけないの』


『いえ、はい、とにかく気にしないで話を進めてください』


『? まあ、事情はわからないけど、頑張ってね』


『はい』


『それじゃ、みんな竜騒ぎの速報だよ! さっきもちょっとだけ話した戦士の学舎に大きな竜が現れたんだ! しかもなんの前触れもなく、いきなりだよ! 私は別の祭に参加してたせいで、教会送りだったから見てないんだけど』


『ああ、あの一嬢三姫の騒ぎ見に行っていたんですね』


『うんうん、今日も見事な四人同時KOだったよ』


『あの四人も相変わらずですね、見た目が綺麗でもあれじゃ……ちょ、だだから違うんだ!』


『また、携帯? 逆立ちって書いてあるね』


『……』


『え? 鈴木さん、やるの? 逆立ち』


『……』


『正座の次は逆立ちか。なかなか愉快な人だね、鈴木さん』


『ど、どうぞ、お気になさらず進めてください』


『なんか凄い絵面になってきたねー。まあいいや。それでここにいる、鈴木さんなんだよ』


『ど、ど、うも』


『大丈夫?』


『ま、全く、も、問題なしです』


『そうかー。そうは見えないけど、話を進めるね。それではみなさんお待ちかね、鈴木さんが撮影していた一部始終をご覧下さい』




『はい、これでおしまいです。ってなにこれ? 学舎半分くらい吹っ飛んでるよね』


『そ、そう、ですね。俺もこ、これを見たときは正直驚きました』


『大きいって聞いてたけど、あれはあり得なくない? しかもなんの予兆もなしにあんなサイズの竜とか。あんなのポンポン出られたらたまったもんじゃないよね』


『そう、ですね。ただ、今回の件は、ど、どうやら戦士の学舎にいた、初心者が、げ、原因らしいです』


『鈴木さん、逆立ち大変そうね』


『大丈夫、で……す』


『しかし、あの竜の原因が初心者なんてねぇ? ホントにありえるのかな? っと今日はここまでかな。続報が入り次第また、紹介するねー。鈴木さんもありがとうございました!』


『ど、どうも』


『あ、そうそう。ランニング中の初心者の女の子の隠し撮りは、あんまりよくないよ』


『いや、え? なにを?』


『いやいや、私もたまーに学舎の周りを走る、好みのセラルンダの男の子隠し撮りしてるからわかるんだけどさ』


『ち、ちが』


『あのアングルで、しかも竜が出る前からとかあり得ないからね』


『ち、違うんだ!』


『あ、着信』


『いやだあぁぁぁぁあああ』


『それではみなさん、また会いましょう!』


『違うんだあぁぁぁぁあ』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ