18話 力の分身
「ようこそ、戦士の学舎へ」
門番?
「勝手に中に入っても? それともあなたに案内を求めた方がよろしいですか?」
「どなたかからの紹介でしょうか?」
「神父様からここに行くようにと」
「かしこまりました。確認して参りますので、こちらでお待ち下さい」
門番が入り口を放棄してもいいのかね?
……。
通れないな。
これもさっきのフィールドとかいう奴か?
「お待たせしました。ご案内いたします、私についてきてください」
「わかりました、よろしくお願いいたします」
今度は通れたな。
一体どんな仕組みなんだ?
「どうぞこちらへ」
戦士の学舎というから、無骨なイメージだと思っていたんだが。
えらく凝った調度品やら内装だな。
えらく頑丈な扉だな。
「お客様をお連れしました」
「中へ通すのじゃ」
「どうぞ中へ」
「失礼します」
子ども?
いや、既に理解不能な事が何度も起きている。
勝手な先入観は一旦置くべきだな。
「ほう、妾を見ても侮らぬか」
?
「まあ、よい。よくきたの。早速じゃが、この水晶に触れてもらおうか」
?
「大丈夫じゃ。お主の大まかな力を確認するため、お主の使い魔を呼び出すだけじゃ」
使い魔?
呼び出す?
「なんじゃ? この世界に来る際に神からもらわなんだか?」
そういえばプレゼントがどうとか言っていたな。
「思い当たるふしはあるようじゃな。使い魔とは、お主のうちに潜むもの。試練を越え説き伏せた者にのみ付き従う、力の分身ぞ。さあ、主の分身の姿を見せてみよ」
これに触れればいいのか?
「はよう、触るのじゃ」
考えた所で答えもなしか。
……。
熱い?
なんだ?
首から背中にかけてが異常に熱い。
「なんじゃ、この魔力は? ちょ、ちょっと待つのじゃ。おい、一度手を離すのじゃ」
?
とにかく手を。
……。
離れないな。
「申し訳ありません、手が離れません」
背中がさらに熱くなってきた。
「おい、お主。神の試練で何と対峙した?」
「神の試練?」
「初めて神と出会った後で、何かと一戦交えなかったか?」
あのでかい竜のことか?
「戦いました」
「今呼び出しているのがそれだ。それがお主の使い魔ぞ」
あれがここに出てくるのか?
……。
無理だろう。
部屋どころか学舎が壊れるぞ。
「なんじゃ、その表情は」
「先に謝罪をします、申し訳ありません」
「は? お主、なにをその身に潜ませておる!」
「竜でした」
背中の熱が。
尋常じゃないことに。
「は?」
「巨大な黒い竜でした」
「な!? 竜?」
「それとその水晶に触れてから、背中が尋常ではないほど熱いのですが」
「まて、背中を見せてみよ」
「わかりました、では失礼して」
「ちょ、いきなり脱ぐでない! 心の準備がって、なんじゃこれは!?」
不味いな……。
何かが出た。