10話 配信、セラルンダ放送局 その3
『じゃあ、次の質問いこう! セラルンダに一部世代を大量に持っていかれたため、人手不足で困っています。どうしてくれるんですか』
『それ質問なの? だたの抗議にしか聞こえないんだけど』
『私もそう思います』
『まあ、いいや。はっきり言ってそんなのしらないよ。人手不足って、それはその会社なり職場なりの問題でしょ。そもそも僕が来る前はどうしてたの?』
『さあ、どうなんでしょうね?』
『僕は招待状はおくったけど、強制なんか一切してないしね。どうしてもセラルンダにいる人達の人手が欲しいなら、彼等彼女等が働きたくなるような待遇や職場を用意したらいいんじゃないの?』
『その通り、簡単なことなんですけど。どうせ、安く不安定な待遇で働いてくれる人手がいなくなったって事だと思いますけどね。それで困る業界とか多そうですし』
『ふーん、それこそ僕の知ったことじゃないね』
『まあ、その通りですね。今より魅力的な待遇でもなんでも用意してくれれば、私達もちゃんと考えるかもしれませんね。私は少なくとも以前の職場に戻りたいとは思いませんが』
おい、配信主。
だから急にテンション下げるな。
『えーと』
『……』
『ほ、ほら今は楽しんでもらえてるんでしょ?』
『は!? そうだった、あんな最低の職場の最悪の思い出なんかに負けていられない!』
配信主、何があったんだ。
『さ、気を取り直して次の質問。どうやら今日はこれが最後の質問になりそうです。セラルンダの商品が人によって値段が違うのは何故ですか? 不公平ではないでしょうか?』
『人によって支払い能力なんか違うんだから、ほしい人が買える価格で売って何か問題でも?』
『そうですよね。1000円稼ぐのが簡単な人もいれば、凄く大変な人もいますもんね』
『そそ。ちゃんと必要とする人が払える価格になってるんだから、別に他の人がどうかなんて気にしなくてもいいのにね』
『まあ、その辺はね。一部の人には気に入らないのかも知れませんねぇ』
『はあ、よくわかんないや。まあ、それなら誰かが言ってる、嫌なら買うなでいいんじゃないの? 値段が不満なら、無理に買ってくれなくてもいいよ。その分必要な人の所にまわすだけだから』
『そうですねー。確かに買わなければ値段も気にならないでしょうし』
『今日のところはこの辺かな』
『おっと。もうそんな時間ですか。セダさん、今日はありがとうございました』
『いやいや、楽しい1日だったよ。また機会があればよろしくね』
『はい、また質問集めておきますね』
『それじゃあ、またねー』
終わったか。
また無駄に怒りを買いそうな内容だったな。
「ねえねえ、それで君はいつになったらセラルンダに来るつもりなんだい?」
いきなり出てくるなよ。
暇なのか、自称神。
「忙しいといえば忙しいんだよ。今だって、放送に煽られて、よからぬ事をしようとしてる人達にお灸を据えていたところだし」
お灸?
何をしている自称神。
「どれだけ警告しても、自分は大丈夫って思いの人は結構多いってことさ。それよりも君だよ、六三郎君」
俺にもやることってのがあったんだよ。
「やること?」
「俺なりのケジメってやつだ。今の職場には色々とお世話になったからな」
「ふーん。でもあったってことは」
「ああ、しっかりと仕事は終わらせてきた。明日からは俺もセラルンダだ」