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9話 配信、セラルンダ放送局 その2

『さあ、続いての質問です。氷河期世代なのに招待状がもらえなかったのですが、どういうことでしょうか? 説明をお願いします』


『一つはね僕が選ぶに足らなかった。もう一つは、僕の最初の誘いを断ったからだよ』


『選ぶに足らなかった?』


『そうそう。僕の勝手な主観だけだし、基準なんか教えるつもりもないけどね』


『もう一つの誘いを断るってのは? ああ、チュートリアルの後のあれ? 築いてきた地位も名誉も失ったとしても、この先を見てみたいかってやつ」


『そうそう。守りたい地位や名誉があって冒険したくない人はNOって言ったんだよね』


『でもそれって、家族がいたりする人はしょうがないんじゃない?』


『うーん、そういうことじゃないんだな。それは僕の聞いた地位や名誉じゃないからね。家族を大切にしてる人でセラルンダで冒険してる人なんか沢山いるよ』


『たしかに。嬉しそうに家族の話をする人、沢山いますもんね。私にはいまだに無縁の話ですけどね……』


 いや、いきなり自虐はやめろよ配信主。

 自称神も流石に困ってるだろう。


『ええと、元気だして。なんだっけ、そうそう地位と名誉を選んだ人の話だ』


『……』


 配信主、早く立ち直れよ。


『政治家だったり、大きな会社で働いてたり、あとはこっちの世界の人気者っていう人とかが多かったかな。たしかに自分で築いた物なんだろうし、そっちを選ぶのもしょうがないんじゃない?』


『へー、たしかに。立派な立場なら失いたくないと思うかもしれませんね。私達の世代だと、狭き門を潜り抜けて勝ち取ったって自負もありそうですし』


 お、立ち直ったか。


『だよねー。それだけの自負があるんだから、グダグタ言わなきゃいいのにね』


『グダグタ言ってるんだ』


『言ってるよー。自分の方がうまくやれる!とか自分こそが選ばれるべき人間だったはずだとか』


『自分で一回断ってるんですよね?』


『そうだね』


『それ、既にうまくやれてないよね。あと選ばれるべきって選ばれたのに自分で断ってるんじゃん』


『だねー。まあ、さっきも言ったけど、追加で人を増やすつもりはないから、招待状が届かなかった人は諦めてねー』


 いまの世の中の状況を考えれば、グダグタ言う連中の気持ちもわからなくもないんだがな。

 特に自分で参加できるチャンスを不意にした連中は、はいそうですかと納得はできないだろう。

 まあ、それもこの自称神がキッパリ否定したことで、諦めがつくか?


 ……無理だろうな。


 あの時期に人が羨む立場を手にいれた連中だ。

 頭も回るし、死ぬほど諦めも悪い。

 色々コネクションのあるやつもいるだろう。


 あの手この手でグダグタ言い続けそうだな。

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