0話 氷河期世代の冒険者、現実世界と異世界を行く
「アタイに任せろ! くらえこの羽トカゲ共!」
レーニャの炎にひるんだ。
今のうちに。
「グラキエース大きな氷弾を!」
「いきます!」
「ブレア、風刃で氷弾粉砕、破片を加速させて連中に!」
「オレの歌をきけー!」
落ちる奴はいないか。
さすがは飛竜。
羽トカゲとは言われようが、名前に竜を冠しているだけはあるか。
だが、機動力は削ぐことができた。
「トゥルエ、雷撃を! フォローはする、全力で!」
「了解」
範囲は絞った。
トゥルエの魔力の乱れを……。
「いや、トゥルエそんなに体を密着させなくても」
「これぐらいがちょうどいい。特にボクの精神的に」
「はあ、わかった。とにかく範囲指定も魔力制御も問題ない、飛竜共を薙ぎ払え」
「まかせて」
おあ、眩しっ。
大空を焼き尽くす雷光か。
相変わらず、制御が大変な攻撃だな。
だが、苦労するだけの威力はある。
「どやら片が付いたようじゃな」
「ルン後片付けを! 茂助、ルンを上空まで運んでくれ」
「任せるのじゃ、あの空全部驚きの白さにしてやるのじゃ」
「たのんだ!」
今日の仕事はここまでかな?
駆除による被害も出てないし、政府にはボーナスも請求しないとな。
「おーい、ロクサブロウ殿~」
「レーニャ、お疲れ様」
「ロクサブロウさん」
「グラキエースもお疲れ様」
「アニキ~」
「ブレアもおつかれさん」
「ロク、疲れた。抱っこ」
「トゥルエ?」
「あ、アタイも疲れたぞ、ロクサブロウ殿」
「私もなんだか急にめまいが」
「オレはおんぶだ!」
「妾もいくのじゃああああ」
ルン?
茂助から飛び降りたのか!?
トゥルエを下ろして。
とと。
「うむ、良く受け止めたのじゃ。ただいまなのじゃ、ロクサブロウ」
「ルンもお疲れさま」
「ちょ、先生。ずりーぞ!」
「私もそこがいいですわ!」
「ん~、背中背中」
「ボクももう少し、まだまだたりない」
「ふふん、早い者勝ちなのじゃ」
美女に囲まれてるはずなのに、気分は保育園の保父さんだな。
しかし……。
「どうかしたのか、ロクサブロウ殿?」
「いや、まさかこんなことになるとはなと思ってな」
「どういうことですか?」
「いや、異世界なんてものがあって。そんな世界を冒険した挙句、その異世界の魔獣駆除を日本ですることになるなんて、あの時は思いもしなったと思ってさ」
「あの時?」
「ああ、あの自称神に初めて会ったときにな」
「その話聞いたことがない」
「そうだったか?」
「うむ、夫婦の間で秘密は無しなのじゃ」
「「「「うんうん」」」」」
夫婦って。
まあ、いいか。
「まあ、あんな神だからな出会いも適当な感じだったよ……」