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観測室のメリル  作者: 伊和春賀
幕間Ⅰ
32/37

観測室について

せっかくなので、設定の話


 おはよう。

 

 久しぶりだね。

 

 あなたと会うのは何話以来だろうか。それとも、何文字以来だと聞いた方が良いのかな。

 大きな隔たりがある気がするよ。それほど、遠くないはずなのにね。


 でも、こうして、再び会うことができて嬉しいよ。


 いや……。

 僕は本当にあなたと再び会っているのかな?


 僕はあなたに、『はじめまして』って言わなきゃいけないんじゃない?


 まさか、そんなことはないよね。僕と初対面だなんて、悲しいことを言わないでくれよ。

 せめて、『忘れてた。ごめん』くらいの嘘を付けるくらいにはなっておこうよ。


 ………………。


 自分で言っていて、なんか、悲しくなってくるな。


 そうだな……。

 今からでも遅くない。僕が出てきた話を見返してきてはくれないか。


『プロローグ』と題した話だ。最初にある。

 僕の記憶が確かなら、そんなに長い話じゃない。さくっと読めるはずだ。


 え? そんなの読む暇はないって? あれは二千字にも満たないのに?


 まあ、仕方ないか。世の中、時間というものは、とにかく節約した方が良い。時は金なりというしね。


 でも、気になるね。



 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()



 いや、皮肉でも何でもないんだ。単純な疑問さ。不快にさせたならお詫びするよ。

 でも、ここからは、あなたが僕を知っていることにして、話を進めるよ。


 少し間を置こうか。


 ……………………………………。

 ………………………………。

 ……………………………。

 …………………………。

 ……………………。

 ………………。

 …………。

 ……。











 どう? 一休みできた?


 それで、『プロローグ』を読んでくれたのなら、当然、疑問があるはずだ。


『どうして僕が存在しているのか』って。


 僕は確かに、『プロローグ』のために作られ、捨てられる存在だった。

 でも、『あれ』は僕に利用価値を見出した。つまるところ、リユースさ。

 エゴだよ。ただのエゴ。エコロジーのエコじゃなくて、エゴイスティックのエゴさ。


 …………。


 つまらないね。

 いい言葉が思いつかなかったんだ。済まない。


 とにかく、僕はこうして、新たな役割をもって、復活できたんだ。

 で、その理由は――――。


 ん? 何で首をかしげているの?


『あれ』って何か、って……?


 その話はやめてくれ。

『あれ』は『あれ』だ。そこは察してくれ。僕の口からじゃ、『あれ』としか言いようはないんだから。


 話を元に戻すよ。


 僕が復活できた理由はただ一つ。


 なんだかんだで、『観測室のメリル』が十万字を越えたから。

 

 確かに、『あれ』にとっては、すごいことかもしれないけれど、たった、それだけのために、プロローグ用に作られた僕は、呼び戻されたというわけだ。正気を疑うよね。

 そして、与えられた僕の役割は、この世界を説明することさ。解説員としての再任用だ。もちろん、無給で非常勤さ。メリルの髪みたいにホワイトな条件だね。


 それで、今回は何をするかといえば、この観測室の備品紹介だってさ。


 でも、僕はそんなことをしたくはない。そんなの意味がないからね。

 だってさ、考えてみてくれよ。

 天井にぶら下がっているもの。壁際に並んでいる装置。

 その全部が、一度だって、同じ事があったかい?

 基本は同じさ。ここは、あくまで観測室だからね。

 でも、ころころ中身が変わるんじゃあ、僕も紹介のしようがない。僕の上にぶら下がっているぬいぐるみだって、毎回、形が違うんだろうと思うと、やる気なんて出て来やしないよ。

 

 そこでだ。今回は『あれ』の意向を無視して、メインキャラの紹介をしようと思う。これなら、毎回変わることはない。あなたに伝えても、混乱は生じないはずだ。


 さあ、メインキャラの紹介を始めようか。


 まず初めに、神の代理人にして、観測室の主である白髪の少女だ。名前を『メリル』という。この作品のタイトルにもなっている、可愛らしい少女さ。

 真っ白な髪は、雪のように白く、腰まで伸びている。華奢で、すらっとしたシルエットが魅力的だね。

 でも、やっぱり一番の特徴は、右目と右腕を覆っている真っ白の包帯かな。特に右腕は、指の先まで、ぴったりと包帯に覆われている。でも、怪我をしているわけじゃないらしい。だったら、どうして包帯なんか巻いているんだろうね。

 まあ、僕も意味もなく包帯を巻いているから、人のことは言えないんだけど。

 性格については……、うん、そんなに良くないね。表向きは、結構、良い人を装っているけれど、中身は結構、黒いと思うよ。とはいえ、それはただ、メリルが子供っぽいからかもしれない。■■■に■■から■■■■ことだし、成長の余地は、まだ、十分に残されているのかもしれないな。

 そして、メリルの役割は、何といっても、死んだ人の願いを叶えることだ。そのために、その人がどうして死に、どんな願いを叶えるのかを、明らかにしていくんだ。メリルはこれからも、多くの人の願いを叶えていくんだろうね。

 

 次は、操り人形だ。メリルには、こいつとか、■■■とか呼ばれているね。ああ、そうだ。後で話す天使のぬいぐるみは、■■■、って呼んでいるっけ。そりゃあ、本名は『■■■■■■■■■』だからね。大層な名前が付いているけれど、話を終わらせるのは、彼の役目じゃない。名前とは大違いだ。

 そういう意味では、ただの古びた操り人形だね。木製だし、きっとよく燃えるよ。でも、目玉だけは違うみたいだ。ガラス? 陶器? 何でできているんだろう。引き抜いてみればわかるかな。でも、壊せないかも。

 メリルはよく、この人形を叩いたり、バラバラにしたりしている。でも、決して怒ることはない。呆れることはあるけれど、そこまでだ。メリルの父親役なんだろうか。でも、ただの人形だよねえ……。喋るけどさ。

 観測室では、願いを聞き届ける役目を担っているね。願いを聞き届ければ、天井奥の暗闇に消えていく。■はその暗闇にいるのかな。流石の僕でも知らないな。

 でも、この人形の役割はそれだけ。たったそれだけのための人形さ。僕と同じものを感じるね。

 

 続いて、天使のぬいぐるみだ。名前は『てんしちゃん(かっこかり!)』だそうだ。嘘だと思うかもしれないが、これが本名だ。

 結構小さいぬいぐるみで、メリルのひざの高さくらいしかない。いや、ぬいぐるみしては大きいのかな。背中にはフェルトの羽が付いていて、目はただのボタンでできている。ちなみに口はなくて、バツ印の縫い目があるだけだよ。

 でも、うるさいんだよね。叫ぶわ、泣くわで、常にうるさい。しかも、ウザい。発する言葉の一つ一つが挑発的で、高圧的。イライラしない方が不思議だ。メリルがこのぬいぐるみに嫌悪感を露わにする理由が、よく分かる。

 とはいえ、このぬいぐるみの役割は、正直、僕には分からない。話に登場しないことも多い。でも、一応、何回か出ているし、これからも出るから、メインキャラなんだろうね。


 そして、次は■■■■■だ。メリルは■■と呼んでいるね。■■■の■■■を■■■ると■■てくるから、皆も良く知っているはずだ。

 役割としては、メリルに■■■の■■を■■ることだ。といっても、■■自身が伝えるわけじゃない。メリルが事前に、■■■の■■を■■■れているから、それを■■■だけさ。

 でも、その■はとっても汚いんだ。見たことある?  まるで、■■■が■■たような■さ。メリル以外、■■ないだろうね。

 性格はまあ、言わなくても分かると思うけど、■■■■よ。というか、そもそも■■■いしね。操り人形やぬいぐるみが■■■■る方が、本当はおかしいんだから。

 でも、■■がいないと、なかなか■は■■ない。そういった意味では、陰ながらメリルを支える重要な存在だよね。


 あとは、■■■■■かな。本当の呼び方は『■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■』。長い名前だけれど、こう呼ぶのが正解らしい。

 色んな■■が確認されているよ。でも、■■が違うかは分からないな。■■と同じで、■■■■■も■■ないからね。

 それをいいことに、メリルは■■■■■の■■に■■きをしているね。■の■■■とか、■■■■■■とか、■■■■■■■■■とか、他にもいろいろ。でも、どれも■■■■だ。

 ■■■■■の役割は、■■を■■た人が、ちゃんと■■を■■られるように■■■■することだ。だから、何でも■■■くれるんだね。あとは、■■■の■■に使われることもある。何でも■■からね。■■、兼、■■■というわけさ。自分で言っておいてなんだけど、両極端すぎない?


 そうそう。忘れていたよ。■■■■もいたね。名前は『■■■■■■■』。■■だけど■■■■っていう駄洒落じゃなくて、『■■■』っていう意味さ。

どうしてこんな名前かって? それは■■■■■■■は怠け者だからさ。本当に何もしないんだ。しかも■■。■■させるのも一苦労さ。

 けれど、■■■■■■■がいないと困るんだ。特に、■■■がね。そういう意味では、いなくちゃならない存在なんだけど、でも、■■■■■■■が何にもしないで、ただ、■■■■■■■だけなのは、許せないかな。


 以上でメインキャラの紹介を終えるよ。

 どうだったかな。知らないことも沢山あったかな。






 ん?


 あれ?


 どうして、そんな反応をするんだ。


『こんなにキャラがいた覚えがない』って言いたそうだね。

 

 そうだったかな。メリルだろ。それに■■■■■■■■■と■■■■■■(■■■■■■)。あと、■■と■■■■■と■■■■■■■。ほら、どこにも間違いなんてないよ。全員、最初からいたじゃないか。

 もしかして、ちゃんと、『観測室のメリル』を読んでいないんじゃないの?



 そうじゃない…………?


 は?


 ()()()()()()()()()()()()


 まさか。


 僕は何も隠さずに言ったよ?

 どんな秘密も覆い隠さずに――――。


 あれ……?


 もしかして、見られている?

 ■■■である僕が?

 でも、誰に?

 どうして?


 だってここに、『あれ』はいないよ?


 不気味だな。

 ほら、あなたもさっさと行くんだ。

 僕も早いところ、ここから離れることにするよ。


 ……………………………………。

 ………………………………。

 …………………………。

 …………………………。

 ……………………。

 ………………。

 …………。

 ……。













 出口……。どこだ……。


 あれ……、まだいたんだ。

 ねえ、出口ってどこ?

 知らない――――?



 ぼとん。


 

 なんか、落ちてきたぞ。

 何だこれ。見覚えがあるな……。


 …………。


 そういえばさ。『プロローグ』で僕の見た目について、言及した記憶があるんだけど。

 僕の髪の毛は真っ白で、とても長くて、左目を覆うように包帯を巻いていて、左腕にも包帯を巻いている、とか言った覚えがある。

 

 確認なんだけど、それが僕の容姿だよね。


 だよね?


 そうだよね?


 僕は僕だ。あくまでも、僕は、たった□□□□□人の■■■でしかない。


 だから、『これ』は僕じゃない。


 『何が起きたの』って?

 

 あなたは知らなくていい。

 いや、読者であるあなたは、何か知っているかもしれないな。


 少しでいい。ヒントが欲しい。 


 髪の毛は真っ白で、とても長くて、左目を覆うように包帯を巻いていて、左腕にも包帯を巻いている。それが僕なんだ。


 だから、『これ』は僕じゃない。

 

 だって、僕はここに立っているから。


 でも、『■■■』も同じなんだ。


 ■■■は■■■で、とても■■■、■■を■■ように■■を■■ていて、■■にも■■を■■ている。『■■■』もそうなんだ。


『■■■』は一体、誰なんだよ?


 ねえ。


『■■■』は僕じゃないよね?


 ■■だって■■てよ。

 ■く!

 ■■だと■■てくれ■

 ■は□□□□□人■か■■■って、■■■だ■て、■う■■てく■■!



「■に転がった■■■の■■を見ながら、■■■は■■■■■」


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