由宇と晶の罰ゲーム3
全員部活に参加が義務付けられた学校の部活動に馴染めない4人が繰り広げる部活動。
今は楽しい由宇と晶の校内デート。
由宇に手を引かれて半歩後ろを歩く晶のほほは桃色に染まり、口に当てた左手の握りこぶしが保護欲を掻き立てる。
どこからどうみても、可愛い女学生、だが男だ!!
「なあ晶。どうしてこの部活に入ったんだ?」
「僕の家、お金無いから。」
「あぁ。部活するとなんだかんだと色々お金掛かるからなぁ。」
「そうなんです。なので部費も要らないこの部活に来ました。」
「もしかして、その髪も自分で切っているのか?」
「いえ。お母さんが切ってくれてます。だけどこの髪型しか出来ないので。」
晶の髪型は前髪は眉毛で一直線。後ろ髪はうなじ付近で一直線のショートボブだ。
「そうか。お前のお母さんは良い仕事をするな!」
「お母さんが褒められると僕も凄くうれしいな。」
晶へと振り返った由宇が可愛く笑う晶を見てしまう。
「ぐヴぁぅぁ!晶、お前は可愛すぎる。くそう、なんで神はお前の性別を間違えたのだ!」
「栗戸さん。ひどいよ!」
「晶、そこは是非『由宇先輩、ひどいです!』でお願いする。」
「もーう!僕達同級生だよ。」
可愛く怒る晶の後ろ、廊下にある柱の陰から覗き見をしている男達に由宇が気付く。
「くっくっくっ。晶の可愛さに独身男共が寄ってきたわ!明日話題になるな!」
「話題にならないで良いです!それより階段はなんか嫌ですね。下から覗かれそうです。」
「それだけスカート長ければ大丈夫だろう?」
「何となくですけど、不安で嫌なんです。女子は大変ですね。」
「そんなものかね?司なんて動き回りすぎてスパッツとか見えまくりだぞ?」
「あの人は特別ですよ。恥じらいが無さすぎです!」
「それについては同意見だな。とりあえず屋上に着いたな。写真撮るぞ。」
屋上の扉を開けると、カップルだらけの空間だった。
新しい客に周囲からの注目を浴び続ける。
「晶が可愛すぎるからか。それとも男とばれたか。どう考えても前者だな。」
「違いますよ。きっと男ってばれたのです。恥ずかしいです。」
「どっちにしてもカップル共の邪魔するのは悪いからとっとと写真撮って次に行くか。」
由宇は、屋上の扉の裏に隠れている男の一人にガラケーを渡しながら声を掛ける。
由宇も司の影響でガラケーだ。
そこには悲しい物語があるのだが、それは別の話。
「悪いけど、一枚写真撮ってくれないか?晶、もっと近づけよ。フレームに入らないぞ。」
「じゃあ撮るぞ。はい、チーーんぽもげろ!」
「カシャ」と言う音とともに写真を撮る音がする。
こめかみに青筋を走らせながら笑顔でガラケーを返してくれる男。
由宇は、彼にお礼を言ってガラケーを受け取る。
「ところで、隣の可愛い女の子は君の何なのだい?」
「理想の女の子だな!!」
「東海林さんとどっちが大事なんだ!?」
「うん?比べる必要も無く晶だが?それがどうした??」
「どちくしょー!!」
男が屋上の扉の裏に隠れていた仲間達と共に走り去る。
これをフラグに、由宇と晶の罰ゲームは、これから本番を迎えるのである。