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四話目

翌日。

アイツが転校してきた。



神崎藍哉かんざきあいやって言います。先日、この学校に避難させてもらって、いい学校だなって思ったので転校してきました。よろしくお願いします。」


そう言って頭を下げた。当然クラスはざわつく。私も一言言いたい。



さあ、息を大きく吸って、画面の前の皆さんもご一緒に。




幾ら何でも理由に無理があるだろ!?!?






放課後。


「それで、監視のためで?」


「あーうん。」


「もうちょっと頭使え、理由おかしい」


「…しゃーねぇだろ。数十秒で考えた即席の理由だ。名案なんて出るわけない」


「…はぁ。」


「もともと手前がこの学校にいるのが悪いんだよ」


「有紗のいる学校にいるんだよ、文句なら有紗に言って?」


「無理に決まってんだろ…」


昨日と同じ様に屋上前のフロアで密談をしていると、有紗がやってきた。面倒臭い事になるな。間違いなく。


「お?おおお?おおおおお?もしかして!莉奈に会うためにこの学校に転入してきたの?」


「有紗の思考回路おかしいよ」


「でも彼の理由も不思議だよ?」


「うぐ…。まあ、俺がここに来た理由は色々と面倒臭いんだよ。気にしないでくれ。」


「でも、また密談でしょ?なになに、有紗は気になりますよ?」


「有紗の聞いて楽しい事ではないよー」


有紗は私の周りでぴょこぴょこすると、にこっと笑って告げた。


「まあ、本気で好きなってくれるならいいんだけど。もしも遊び半分で莉奈と付き合おうとしたりしたら、それは絶対に許さないからね?莉奈を傷つけるのは私が許さないよ?社会的にも精神的にもずったずたにしてやるから、そこら辺は弁えておいてね?」



…怖っ。

藍哉もちょっと青ざめている。まあ、有紗にこういう気があることはよく知っているが。…前にあったし。


「いや、そういうのって普通本人の前で言うことじゃないんじゃ…」


「莉奈だからいいんだよ。」


「えぇ…」


「とりあえず!そこん所は分かっておいてね!じゃあねー!」


有紗は私の手をとると、強引に階段を降りていった。

藍哉はまだ突っ立ったままである。


有紗は階段を降りながら口を開いた。

「あの男、そういう雰囲気あったの。このまんまだと莉奈のこと泣かせるような事をしでかす気がしたから、釘をさしておこうとおもって。邪魔しちゃったならごめんね」


こっちをみて切なさげに微笑む有紗。やっぱりこの子はとことん優しい。

だから──




絶対に守りきらなくっちゃ。







「ありがとう。有紗。大丈夫だよ、あの人とはそういう関係じゃない。私が本心から傷つくような事になるほど入れ込んでいるのは有紗だけだからね。」


「ふふっ、ありがとう莉奈。でも、もうちょっとほかにも目を向けてくれていいんですよ?」


「善処しまーす。」







夜、連絡先を成哉と交換したので、返信を送る。



────────

from:莉奈


To:成哉


件名:井上有紗について



あいつ、大丈夫か?お前にぞっこんすぎない?

お前にその気が無いとしても、井上があまりにもそんな感じだとこっちでも対処が必要になってくるぞ?


────────


有紗は仲良くなった人には基本あんな感じだよ。

藍哉も仲良くなればあれぐらいの距離で接してくると思う。


────────


それはない。

でもまあ、それならば大丈夫か。

あと、何でお前俺の事、名前で呼ぶの?


────────


特に理由は無いよ?

まあ、しいていうなら態々遠まわしな言い方をするのが面倒臭いだけ。


────────


井上にまた色々と勘ぐられるだろ。そっちの方が面倒臭い。


────────


有紗には申し訳ないけど、当然ながら私恋愛なんてする気ないし出来ないからね。

だから、そこら辺で勘ぐってもらえるならそれはそれでよし。


────────


俺を巻き込むな。

お前の件だけど、基本俺とお前の知り合いで回すと思う。


────────


了解。寝ますおやすみ。


────────


夜行性じゃないんだな、意外だ。

おやすみ。


────────


藍哉の返信速度はまあまあだった。

日頃、有紗との連絡で女子高生として中々の速度になっている私と同じくらいとは。流石、やるな。

あと、別に吸血鬼だからって夜行性じゃねぇ。勝手に決めつけんなアホ。


…あれ、夜だから口がおかしくなったかな?

まあ、いいや。おやすみ…。


私はスマホを枕元に置くと、さっさと寝ることにした。








「なあなあ、アイツってほんとなんなの?」


「莉奈ちゃんはねー…優しい女の子かな?」


「吸血鬼なのに?」


「吸血鬼なのに」


「はぁ…常識が色々と覆されすぎるんだが。」


「しょうが無いね」


「はぁ…」


そんな会話を私の家の上で藍哉と相崎さんがしていたらしい。監視役ってたいへんだね。

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