現地人との初邂逅
声の方を見ると無骨な全身金属鎧の男2名とアニメに出てきそうなとんがり帽子に黒いローブを纏い緑色の宝玉を嵌めたロッドを持つ女性一人がいる。
声をかけてきたのは全身鎧の片方の男のようだった。辺りには彼らと自分しかいないことから自分への質問であることはわかったが、どう答えていいかわからず困っていると、「ああ!突然すまない。俺たちはトンガの街の冒険者ギルドに所属するクラン竜の咆哮の一員だ!敵意はない!」
どうやら無言で彼らを見ていたことと、ソウルイーターを仕舞わずに持っていたことで警戒していると思わせたらしい。しかしゲーム、スターファンタジーの中にトンガという街に記憶が無かったことから、もしかするとここは自分の知っているファイナルウォーの中ではないのか?疑問に持ちつつ彼らを見続けていると、声をかけてきた男性が後ろから緑色の宝玉を嵌めたロッドで頭を叩かれた。
「アッシュ!こんなところで武装したまま突然話しかけて警戒するなってほうがおかしいんじゃないの?!」
アッシュと呼ばれた男は突然の奇襲に頭を押さえながら、じゃあどう話しかければいいんだよと呟いていた。
「改めまして、初めまして。
私はミリア。見てのとおりウィザードよ。いまクランで街の近くに棲んでいる凶悪な竜種の偵察に来てたの。突然で申し訳ないけど質問させて?
その竜を倒した人たちはどこに行ったのかしら?」
倒した人たち?という言葉に疑問を浮かべ、首をかしげ「私が倒した」と言葉を言うと自身の口から今までの自分とは異質の、ソプラノのような高い声が出たことに戸惑いを感じる。しかし、自分の感じた戸惑いと違う戸惑いを目の前の男女は感じているように見えた。
「あんたが倒したって!?
これは竜種のなかでも最強種のファイナルドラゴンだぜ?!」
「ゼイフお前は口を開くなと言っただろ!話がややこしくなる!」
今までの黙してしたもう一人の甲冑が叫ぶ。その甲冑にアッシュが怒るが、ゼイフは止まらない。
「だってこんな小さな可愛らしい女の子が、このファイナルドラゴンをひとりで倒しただなんて、誰が聞いたって信じないぜ?」
アッシュの怒りを肩と手をあげるジェスチャーをしながらゼイフが答える。
取り残されてるなぁと困っていると、三角帽子が「まずは自己紹介しようよ!私はアネス!貴女の名前を教えて?」と笑顔で言ってきた。
「セシル」
まるで自分は産まれた時からセシルという名前だったかのように私は答えた。違う。私の名前は、と思い出そうとすると目の前に壊れたテレビのようにノイズが走る。
そして、私の目の前は暗くなった。