プロローグ2
目の前には高さ6~7m程の巨大な存在が現れた。空から降って来たわけではなく最初からそこに居たかの如く。左腕は巨大であり全てを叩き潰す為に特化したであろう無骨な剣、右腕は全てを阻もうとする巨大な盾、体は黄金色の鱗を纏い、全てを薙払わんとする黄金色の尾を持つ。頭部は中世の騎士が被っていたであろうフルフェイスの兜をもつMMORPG『スターファンタジー』最強の一角『ファイナルドラゴン』だ。
目の前に巨大な存在。此方を敵視し覇気をぶつけてきているのがわかる。しかし、心は冷静になり朦朧とした頭が次第にクリアになっていく。
いつもどうり背中に背負っている愛剣。長さ1m半程ある漆黒の抂剣を抜き、構える。
睨み合い。
瞬間巨大な暴力を感じた!
ファイナルドラゴンが左腕の巨大な剣を振るってきたのを愛剣で受ける。タイミングはいつもどうり。体に衝撃が走る。しかし、このゲームではタイミングが命であり、攻撃も防御もタイミングさえ合わせれば攻撃はクリティカルになり、防御はノーダメージとできるのだ。
巨大な剣、無骨な尾の薙払い、全てを弾き返す盾。
いつもどうり受け、いつもどうり攻撃をする。懐かしい感覚であり、初めての感覚。
スクリーン越しでしか感じたことのないリアルな感触に
酔いしれた。
願わくば、これが本当で有りますように、、、、。
その暴力も次第に弱まっていき、気づけば目の前には黄金色の巨大な竜だったものの残骸があった。