カレーな王様とお出かけ 2
祝!日間ランキング5位ということで更新を早めました☆いつも読んでいただいてありがとうございます♪
「ぉう………ライスさん、こちらいつもお世話になっている騎士のルエンさんです!ルエンさんこの人はライスさんといって研究所で書類の処理とかしてくれているんですが、今日は一緒に街を回ってくれることになったんです。基本的、部屋から出てこないことが多いのでライスさんのことご存知ないかと思いますが仲良くしてあげてくださいね!」
………仲良くねぇ。コイツには仲良くする気なんて更々ないんだろうけどな。
笑顔で握手を求めてきたから応じたけど、差し出した手を思いっきり握り締められて地味に痛い。
それにミーナのやつ、上手く誤魔化したつもりだろうけど俺の事『おうさま』って呼びそうになっただろ?
隙をみて注意しておかないと、またボロをだしそうだな。
「さぁ、そろそろ出発しましょうか。今日は異民街の方に行かれるんですよね?少し距離もありますし急ぎましょう」
ルエンはそう言うとミーナを連れ立って歩き始めた。
もちろん俺の存在は丸っきり無視した態度に腹を立てながら前を歩く2人の後を追いかけた。
◇◇◇◇◇◇◇◇
「ここが異民街か。実際に来たことはなかったが、活気があっていいとこだな」
いつも視察に行く城下町と雰囲気の違う異民街は、各国の民族衣装をまとった人間がたくさん居て露店では個性豊かな商品がところ狭しと並べられている。
興味を引かれて食べ物を扱う屋台を覗いていると、いつの間にか背後に立っていたルエンが馬鹿にしたように笑った。
「ライス殿はこの街に来られたことがないのですか?…あぁ、そういえば貴方はあまり部屋から出ない引きこもりでしたね。てっきり貴族の方は庶民の街には来られないのかと思ってしまいましたよ」
「………ルエン、だったか?お前は何でそんなに俺にケンカ売るようなことするんだ!大体、ミーナの前では猫を被るようなあの態度。王国騎士ともあろう者が情けないぞ!」
そう、この男はこの異民街に着くまでひたすら俺の存在を無視してミーナと楽しげに話をしていた。
時折ミーナが後ろを歩く俺に気遣うように話かけてきてくれたが、それすら邪魔をするルエンに激しい苛立ちを覚えた。
俺とルエンの微妙に険悪な雰囲気を感じていたのか、街に着いたミーナは俺たちには外で待っているようにと告げて馴染みの店に駆け込んだ。
残された俺たちはミーナの居る店の近くに待機しているものの一言も喋らず、互いに距離をとっていた。
それなのに突然近づいてきたかと思えばこの暴言、さすがに文句を言えずにはいられなかった。
「王国騎士が情けないとは聞き捨てならないな、俺は職務に忠実なだけだ。ミーナ様は国王陛下を救ってくださった我が国の救世主のような方だ!そんな尊い御方の周りに胡散臭い人間が居れば警戒するのは当然だろう?」
「………胡散臭いとはまさか俺のことか?」
「そうだ、あんたのことだよ。普段、部屋の中に籠っているにしてはバランスの良い筋肉のついた身体をしている。身なりは地味なのに立ち振舞いはまるで貴族。…これを胡散臭いと言わず何と言う?」
………コイツ意外に観察力があるな。まぁ俺の国の騎士なんだから当たり前だけどな!
でも流石に俺の正体を明かすわけにもいかないし………
「俺が危険な人間だったら国の上層部もミーナに近付けさせないようにするだろ。つまり俺は害のない信頼のおける人物だということ、分かったか?」
納得したのかしてないのか、眉間に深いシワを寄せながら無言になるルエン。
もう仏頂面のコイツは放っといて屋台でなにか食べられる物を見てみるかな?
「………この国の王は素晴らしい御方だ。自国の民だけではなく他国の民にさえも救いの手を差し出し、どんな苦境な立場になろうとも諦め逃げることなく類い前な知識と、時には剣をもって戦うその姿はまさに王の中の王。この異民街に住む人間も故郷を追われた者たちが王の慈悲を受けて住んでいる。…俺も今はしがない下っぱの騎士だがいつかは近衛騎士となって陛下の側に付き、そしてミーナ様と添い遂げる許可を頂くのだ!」
………ちょっと待て!!さっきまで良い感じに王のこと褒めてたのに、何ちゃっかりミーナと結婚する気になってんだ?!許可なんか絶対に出すわけないだろ!!
「あぁ、楽しみだ。毎日仕事から帰ったら家で待つミーナ様が俺の好物のポテチを作っていてくれる。…早く手柄を立てて陛下に認めてもらわなくては!!」
「………」
なんだろう、こいつの戯れ言なんかマトモに聞くことなんてないのに胸がムカムカして気分が悪い。
ミーナの料理を食べるのは俺だけでいいはずだ。何で俺以外の人間がミーナの作る物を当然のように食べているんだ?!
ーーーーーー考えれば考えるほどムカムカが治まるどころか酷くなるばかり。
「………おい、妄想騎士。剣を抜け」
「おや、やっとその気になったんですか?だいぶ挑発したのに意外に我慢強かったのでビックリしましたよ。それにそんな丸腰でいいんですか、怪我しますよ?」
「問題ない、素手で充分だ。」
腰に下げていた剣の柄に手をかけるルエンに、息を深く吐きながら空手の構えをとりつつ向かい合う。
ーーーーーさぁ、久しぶりの戦いだ!!
最後まで読んでいただいてありがとうございます☆一応、次話で『お出かけ編』は完結となっております。
また早めに更新できるよう頑張ります!!




