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カレーなる王様とお出かけ 1 

日間ランキング8位、完結作品ランキング5位を記念して3話ほど新たに投稿しました☆

またまた主人公を差し置いて王様視点です。ライバル登場!

それはそれはよく晴れた日の事、いつものように執務室に(こも)って大量に積まれた書類の山を片付けていく。


「ーーー王様!王様!!ちょっと街まで行ってくるので今日のカレーは誰かに温めてもらって食べてくださいね!!」


「またそれかっ?!」


いつものように城の中を駆け抜けてきたであろうミーナは、息を弾ませながら部屋の中に飛び込んできた。


あからさまに顔をしかめるアーノルドに、頭を抱えて(うな)る俺。

またミーナの悪いくせが出た。


とにかく行動的なミーナは思い立ったらすぐ行動!の人間で、ほっといたらどこまでも突き進んで戻ってこない。

………探しにいく人間の身にもなってくれ。


「………頼むから1人で行くのは止めてくれ。いつもいつも捜索隊を出すのは大変なんだぞ?それにこの前なんて暴漢に襲われそうになっただろ!」


「あ~、確かにこの間の暴漢事件は大変だったね。あれは一歩差で捜索隊の騎士さんたちが来なかったら不味かったよね。だから今回は護衛に騎士さん1人付いてきてもらうことにしたの!ほら、いつか話したポテチの騎士さん!!」


ポテチの騎士さんだと?

いつだか四天王を探しに旅に出ると騒いだ時に聞いた奴のことか?

そういえばどんな奴なのか見たことなかったな………


「よし、俺も街に行くぞ!アーノルド、お忍びで行くからそれ用の服出してくれ!!」


「ちょっと待てやコラ」


泣く子も黙るほど凍てつくような低い声で凄んできたアーノルドに、さすがの俺も冷や汗をかく。


マズいぞ、本気で怒ってるよ………

あっ、ミーナ!なに1人で逃げようとしてんだ?!俺も連れてけ!!!




ーーーーーとにもかくにも、なんとかアーノルドから外出の許可をもらえた俺は説教という名の精神攻撃を耐えきったものの精も根も尽き果てる一歩手前まできていた。


「王様、疲れたんなら無理に買い物に付き合ってくれなくてもいいですよ?」


俺と同様にネチネチとお小言を言われたミーナも疲れが残る表情で溜め息をついた。


「絶対に行く。せっかくアーノルドと交渉して外出の許可が出たんだ、血を吐こうとも行くぞ!!」


そうだ、けっして安くはないアーノルドとの取引でもぎ取ったミーナとの初めての外出なんだ!張り切っていくぞ!!


◇◇◇◇◇◇◇◇



初めてのミーナとの外出、張り切って着替えたお忍び用の服はすぐさま却下された。

何故だ?下級貴族が着るような(よそお)いなのに、これのどこがいけないんだ?


「一言で言えば派手なんですよ!街中を貴族が歩いてたらただでさえ目立つのに!!ほら、これに着替えてください!!!」


渡された服は下働きの者が着るような粗末な服で大いに不満を覚えたが、『似合う、似合う』と言って微笑むミーナを見て文句が言えなくなった。

………いや、ここはバカにしてるのか!と怒るべきなのだろうか?


「王様、次はこれ飲んでください!同僚が趣味で作った薬なんですけど、その金髪碧眼を地味な色に変えることができるんですよ」


変装、変装と、はしゃいだ感じのミーナから薬の入った瓶を受け取ったものの、一抹の不安を感じてなかなか飲もうという気になれない。

もしかして俺を使って薬の効果を試そうなんてしてないよな?


疑心暗鬼になりつつも、外出の時間は限られている。もうどうにでもなれっ!と、瓶の中身を一気に傾けた。


瞬間、口の中に広がる甘ったるい味と香りに気を失いそうになりながらも、必死に飲み込んだ。




◇◇◇◇◇◇◇


「ホント、その髪と目の色すっごく似合ってますよ!これなら誰も王様なんて気付かないですよ!!」


興奮ぎみに語るミーナに苦笑しながら色の変わった自分の髪を指の先で何度も(いじ)る。


薬を飲んでしばらくして髪の色も目の色もこの国ではよく見かける茶色に変化した。

自分で言うのもなんだが、地味な色に変わったとしても際立った目鼻立ちなどは変わらない。

苦肉の策でミーナが用意した(ふち)の黒いメガネをかけることでなんとか周囲に溶け込めそうな姿になった。


「王様、街中では王様って呼べないので偽名使いましょう!ライスって名前どうですか?王様はカレーライス好きだから分かりやすくて良いですよね?」


見慣れぬ姿に興味津々で姿見を覗き込んでいると、そう告げられ正直返答に困った。

カレーライスが好きだから『ライス』って単純過ぎないか?………しかしミーナは自信満々で「ライス、ライス……よし、これなら呼び間違えないわ。」と確認するかのように呟いている。


俺に拒否権はないんだな………




◇◇◇◇◇◇



特に誰にも呼び掛けられることなく城の外に出ることができた俺たちは城門の前で(くだん)のポテチの騎士を待っていた。


ウキウキと騎士を待っているミーナとは逆に俺の気持ちはイライラと落ち着かない。


事あるごとにミーナの話の内容に見え隠れする騎士の存在。

正直、不快で堪らない。

………もし、害のあるような人間だったら即刻処分してやる。


「あっ、来た。ルエンさん、こっちこっち!!」


満面の笑みで大きく手を振るミーナの視線の先、騎士の訓練所の方向からやってきたのは離れた場所からでも目立つ赤茶色の髪をした大柄の男だった。


「遅れて申し訳ありません、訓練に熱が入ってしまって………。ところでこちらの方はどなたですか?」


颯爽(さっそう)とやって来てごく自然にミーナの横に並ぶ男は精悍(せいかん)な顔立ちをしていて、俺とはまた違うタイプの女受けしそうな整った容姿をしている。


ルエンという名のこの男、当然の顔してミーナの横に居ながら挑戦的な瞳で俺を睨み付ける。



ーーーーーこいつ、処分決定。







最後まで読んでいただいてありがとうございます。

続きはまた近日更新します。

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