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魔獣

第三話です。

 イスルギ・ハヤトは、意識を戻さない少女を担ぎ林を出て、飛空艇の墜落現場に行くと、そこには既に数匹の狼型の魔獣『ヘルハウンド』

がうなり声を上げて威嚇して来ていた。


ヘルハウンドは一頭の大きさが2m近くあり、俺よりデカイ。

毛色は黒く、目が赤い。

しかもこいつ等は魔力で自分を強化して戦闘をする習性がある。

今も強化魔法を見にまとっていて、体が薄紫色に発光していた。


一瞥した所、俺の周りには10匹ほど、

さらに林の奥で様子を窺っているものが10匹といったところだ。


ヘルハウンド達はゆっくり、俺を取り囲むように周り、

攻撃の機会を窺っている。


俺は、ガンソードを眼前に垂直に翳し、

半目を開いて何時でも魔法発動が出来るようにの準備をする。


ヘルハウンドがそんな俺の動作に戸惑うが、

数匹が焦れたようで、飛び掛ってきた。


俺はそれに合わせて、目をカッと見開き、波動魔法【ウェービング・モーション】を発動した。


この魔法は自分を中心に魔法を阻害する波動を放つ魔法だ。

祖父はジャミングと言っていた。

こいつを食らった魔物は自分の魔力が制御出来ず。

酔ったような状態になる。


石動流魔古武術の奥義の一つだ。


魔法の範囲は半径20mほど、祖父なら半径100mぐらいまで効果を発揮するが、

俺はまだまだといった所だ。


飛び掛ってきたヘルハウンド達は、俺の魔波動を受けて、

目測を誤り、俺を飛び越して、地面や残骸にぶち当たる。

周りにいた数匹もまともに立っていられないのか、ふらふらと千鳥足だ。


俺は、その隙を見逃さず、ハルハウンドの群れの合間を突っ走った。


ヘルハウンド達は、振り向いて、俺を追おうとするが、

足が縺れて上手く走れないようだった。


俺は他の魔物が来ないうちにこの場を離れるべく速度を上げようとしたが、

そこに、明らかに通常のヘルハウンドより一回り大きい固体が立ちはだかる。


俺は、急停止するしかなかった。


でかいヘルハウンドは威嚇するような低いうなり声を上げながら、

俺の様子を窺う。


『ちっ!この群れのボスか!

さっきの【ウェービング・モーション】の範囲外にいたな……』


ボスのハルハウンドに足止めを食らっている隙に、

波動魔法の威力外にいたと思われるヘルハウンド3頭も俺を取り囲みはじめた。


俺が援軍に駆けつけたヘルハウンドに一瞬気を逸らした隙に、

ボスのヘルハウンドが「ウォウ!!」と吼えた。

すると、俺の足元から「ボゥ」と2m程の火柱が立ち上がる。

火属性魔法【カラム・フレイム】だ。


俺は咄嗟に飛びのき、難を逃れる。


「!!このっ!!

獣の癖に火属性攻撃魔法だと!!」


ボスのヘルハウンドは俺が避けるのを見越していたのか、

その後も【カラム・フレイム】連発してきた。

そして、避ける先に他のヘルハウンドが襲い掛かってくる。


俺に【ウェービング・モーション】を発動させる隙を与えない気だ。

獣のくせに小癪なことだ。


俺はこの状況を打破すべく、違う魔古武術で対応する事にした。


俺はボスのヘルハウンドの【カラム・フレイム】の発動に合わせて、

【縮地】を発動する。

俺は、あっと言う間にボスの背後に回っていた。


【縮地】とは石動流魔古武術の魔術の一つで、敵の死角に一瞬で移動する移動術の一種だ。

地属性魔法で地脈に干渉し、地脈内を瞬時に移動するのだ。


敵には俺が瞬間移動したように感じたはずだ。

何せ、走る動作もせずに、目の前から姿が消え、一瞬で後に移動したのだから。


だが【縮地】の欠点は、地上のある程度開けた場所でないと使用できない事と移動距離は数メートル程度ということにある。

長距離移動は出来ない……

今回は木々の切れ間で、開けた場所だったので使う事ができた。


俺はボスのヘルハウンドが振り向くより早く。

引き金を二回引く。

ガンソードの刃の分部が上下に別れ、銃身が顕にり、

魔弾からパラライズの魔法が「ガゥン!ガゥン!」と二回放たれた。


ボスのヘルハウンドはその場で痙攣をしながら、横倒しに倒れた。

それを見た、数匹のヘリハウンドが後ずさる。


俺は平然と銃口を残りのヘルハウンドに向け。

連続で引き金を引いた。


あっと言う間に、その場のヘルハウンド達もその場で倒れ痙攣する事になった。


俺は一息ついて、周りを改めて感覚強化魔法【インダクション】で確認する。


取り合えずの脅威は無くなったようだ。

この痙攣しているヘルハウンド達は数時間は動けないだろう。


まだ、墜落現場には魔獣達が集まってきているようだったが、

死骸が食べつくされたればあの場所にもう一度調査に行く事も可能だろう。


だけど、それは、駐在兵の人たちに任せよう。


俺は肩に担いだ少女担ぎ直して、村へと向かうのだった。


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